15話 魔法の理
「確かに異世界から来た奴らは何かに優れている事はあるけど、基本的には秀でた才能があるくらいでお前さんみたいに魔法の理から外れる事はないんだがな……。」
「え? そんなにすごい事なんですか?」
「凄いなんてもんじゃないぞ? お前さんの魔法は……まだ試してないからわからんが、どんな物でも抽出できてしまうなら、どんな物でも分解できてしまうという事だぞ? それは武器や防具破壊だけではなく、下手したら魔法を抽出してしまったり、人をも抽出で殺せてしまうかもしれないのだぞ?」
「え? 人を抽出で殺す? そ、そんな事はしませんよ!? 何言ってるんですか!?」
そう、はじめのエクストラクションは無限の可能性がある。
例えば人から血だけを抽出したりもできるのだ。
(いやいやいや、流石の俺だって人を殺す事の善悪はあるよ? むしろそんな血生臭い事に出くわしたくないわ。)
まあ、使用する人間がこれだから害はなさそうだ。
「とりあえず、今日はもう遅いから明日色々試してみるか……。 この事は誰にも言わん方がいいからな! お前さんは全く理解していないと思うが本当に大変な事なんだぞ!」
「誰にも言わんと方がいいと言われても、そもそも自分まだクロムさんとミリアさんしか会った事ないんで話す人いませんよ……?
(俺の口からボッチ発言させるなよ。 言ってて虚しくなるじゃねえかよ。)」
「おう、そうだったな‥すまんな‥とりあえず俺は色々と調べてみるから、明日はお前さんのエクストラクションとリカバリーも試してみるか。」
(謝るなよ。 余計虚しくなるじゃん。)
そう言い残し、クロムは自室に戻って行った。
はじめは一人で食べ終わった皿を片付ける。