14話 エクストラクション
本人は才能の塊の一言で勝手に片付けているが、はじめはエクストラクションという魔法を全く理解していない。
エクストラクションは鍛治職の適性のみが使える魔法で、その効果は鉱物から武器や防具、貨幣などの精製に使える鉱物の抽出である。
自分の頭の中での想像と理解が重要で、その鉱物からなんの物質が抽出できるか、またはその鉱物が何が合わさりできているかをまずは理解する事がとても重要な事。
なのでエクストラクションを使用する目的は、ほとんどが武器作成の為の鉄や砂鉄、国の貨幣の作成の為の金銀銅などの抽出や、稀に宝石商が宝石として扱われる鉱物の抽出である。
また、既に鉱物から作成された武器や防具などに形を変えてれば鉱物としての扱いではないので抽出はできない。
しかし、はじめが行なった事は果実から糖分を抽出するというのを想像し、その成分があれば抽出できてしまうという全く別の魔法になってしまった。
本来のエクストラクションでは作用する事のないことが起きたので、クロムさんは余りにも理解が追い付かず呆然としてしまった。
「お前さん‥これはもうエクストラクションと言っても全くの別の魔法だな。
砂糖なんて高級食材がこんな簡単に作られてしまうとは……」
「そうなんですか? エクストラクションって抽出の魔法だからいけるかなー? くらいの感じでやってみたらできました。」
「くらいの感じって……そんな軽くできたら世の中の鍛治職人は今頃大金持ちにになってるわ。
本来鉱物が何でできてるかなども勉強し、その鉱物の成分とかも学んで理解して使える魔法なんだけどな……。」
(まあ、伊達にニート期間含め趣味がネットサーフィンだからな! 無駄に知識は多いぞ?)
はじめは元の世界でネットサーフィンしてたときの知識で、ある程度鉱物の構成成分は知っている。
しかし、その知識だけで完全に理解するというには程遠いのにできてしまったのが問題なのだ。
そしてそれが鉱物ではなく果実という鉱物以外に使えるのがこの世界の理から外れている。
(やはり俺は特別か……ってかこれなんでも抽出できるなら相手の武器や防具破壊できるんじゃね?)
まさにその通りである。
はじめのエクストラクションは、はじめが想像した成分さえあれば抽出できてしまうので、たとえそれが作られてものでも抽出できる、もはや分解にあたるような魔法だ。
しかし、こんだけ万能な魔法だが使う人間が完璧とは限らないし、別の所で落とし穴があるとはまだ知る由も無いはじめであった。