11話 賢者
「えーと、ミリアさんはお手伝いで毎日ここに来るんですか?」
「いえ、私は家が農家をやってるのでその合間でクロムさんに回復薬の作り方を教わっていますよ。」
「お前さんに教えようとしてたとこだが、回復薬といってもな、この世界では色々な怪我に合わせて色々回復薬があるんだよ。
主に怪我などの外傷に使う回復薬や、体力の低下や体調不良に使う回復薬などだな。
その中で回復魔法は殆ど万能に近く大概の怪我や病気にも効く、しかし回復魔法の練度や魔力量によっては効果はまちまちだな。
まあ、殆どの回復職は軽い怪我は治せても大きな怪我や病気は少しづつ治すか経過を遅らせるくらいしかできん。
その中でも賢者と呼ばれるくらいなんでも治せる輩がいるがな。」
(これはおれが賢者になる的なやつか?)
いや、賢者になんかそんな簡単に至る事はできない。
異世界転移したからといって直ぐ楽な方楽な方とする考えが、はじめの残念極まるとこだ。
「まあ、お前さんの魔力量だと相当な努力をしても至る事ができるかどうかわからんがな!」
(さっそく出鼻をくじくなよ! 俺の夢が賢者だったら泣くぞ!)
確かにクロムの言い方は悪いかも知れないが賢者になる夢なんてないのにこの思いようである。
「とりあえず賢者になるとかはわかりませんが努力はしてみます……。」
「はじめさんは回復職なんですね!」
(え!? なに!? この子も回復職を馬鹿にする前衛職の方ですか!?)
「そうです……。 ミリアさんは前衛職とかですか?」
「はい! 私は水系統の魔法の適性です!
って言っても水球作るくらいで家の農業にしか使ってないですけど。
正直、はじめさんの回復適性は羨ましいです!
お家のお父さんやお母さんの怪我治したり、村の皆んなの治療できるから。
それができないのでクロムさんの所で回復薬の作り方を教えてもらってるんです。」
(ええ子や、ええ子や……。)
「お前さん、回復職といっても冒険者や王国の衛兵とか以外には馬鹿にされる事はないぞ?
何処の国や町に行っても仕事には困らんしな!」
(俺、異世界来てまで仕事したいわけじゃないんだよ。)