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86.流れ如く水晶

少し遅くなりました。



 リリィは右手に〈聖母殺しの剣〉、左手は〈血濡れの短剣〉。

 さらに【魔屍のオーラ】でSTRを上げ、久しぶりに【浮遊術】と【ステップ】のコンボで空中を蹴って進む。




「ああ……、そういえば、そんなことも出来ていたな……」

「久しぶりに使ったけどなっ! 【黒太刀】【黒太刀】【黒太刀】ぃぃぃ!!」


 最近は【ベルゼブブ】の飛行に頼りっぱなしだったから使っていなかったが、反射してくる水晶には飛行よりも【浮遊術】と【ステップ】のコンボの方がいいと思ったから久しぶりに使っている。


 リヴァイアサンの周りを動き回りながら【黒太刀】を連発する。

 リヴァイアサンは【万華鏡水晶】でいくつか跳ね返すが、撃った瞬間にリリィはもう移動し終わっているからリリィに当たらない。

 防げなかった【黒太刀】は自分で回避していくが、全てを避けられるわけでもなく、ほんの少しだけダメージを受けていた。ドーラとメイデは遠距離攻撃はせずに隙が出来た箇所に攻撃していく。




「これでは【万華鏡水晶】が役に立たへんな……。【水晶流星】!!」

「むっ?」


 リヴァイアサンは上空に大きな水晶が撃ち出されると、そのまま水晶が浮く。

 そして、大きな水晶から小さな水晶が分裂するように生まれていく。


 そこでリリィはリヴァイアサンがこれから何をしようとしているのか理解させられた。




「まさか!?」

「そのまさかだ。落ちろ!!」


 空から煌めく星のように水晶が落ちてくる。その数は100に近い。

 しかも、まだ大きな水晶から生まれ続けている。




「メイデ!!」

【はい!!】


 リリィは避けるのは無理だと判断し、破壊不可能のアイアンメイデンを持つメイデに指示を出す。詳しく言わなくとも伝わったようで…………




【マスター、ドーラ、早く後ろに!】


 アイアンメイデンを盾にして上空からの水晶を防ぐ。

 だが、リヴァイアサンがそのまま終わらすつもりはなかった。




「【水晶飛弾】!!」


 さらにリヴァイアサンの身体から水晶が飛び出してくる。

 上と横からの攻撃、アイアンメイデンは一つしかないからどちらかにしか防げない。




「【影の守り人】!」


 横の攻撃はリリィの魔法で防ぐが…………




「クソッ! すぐに破れてしまう!」


 受けつづける【影の守り人】にヒビがはいっており、このままでは壊れるのは目に見える。




「くっ、闇魔法は攻撃に特化しているからな…………あ、メイデ! 【電磁砲】をここに当てろ!」

『マスター!?』

『……! なるほど、【電磁砲】!』


 メイデはリリィの言いたいことがわかったようで、指示通りに動く。

 【電磁砲】を三人の中心になる場所に撃ち出して封印に似たドーム状の壁が三人を包み込む。




「む?」


 【電磁砲】で発動したドーム状の壁が上と横の水晶攻撃を完璧に防いでいた。




『あ、成る程。私達は動けなくなりますが、完璧な防御になりましたね』

『ええ、上の攻撃が終わるまで堪えればいいけど……』


 しばらくすると【水晶流星】が止み、上からの衝撃がなくなった。




「硬いな……。次からは5分後か……」

「5分後か、あんな避けられない攻撃を連続で使われたら堪らねぇよ。まぁ、クールタイムが必要ぐらいに強力な攻撃を防ぐ【電磁砲】もスゲェけどな!

 その代わりに、私達はしばらく動けねぇな」

「ほぅ、試してやるか」

「え?」


 急に試すとか言うかと思ったらリヴァイアサンは力を溜めはじめた。


 おいおい、まだ上があんのかよ!?


 リリィは攻撃して止めたかったがまだ【電磁砲】は解除されていない。メイデも【電磁砲】の中にいるため、解除が出来ないようだ。

 なら、この【電磁砲】が堪えられることに期待するしかない…………


 リヴァイアサンは溜めが終わったようで、身体が虹色に光っていた。まさに虹のレインボードラゴンと言ってもよいほどだった。






「【虹光息吹】!!」






 口から虹色の光線が撃ち出され、その光線は綺麗な七色の光が調和しているようだった。それがリリィ達がいるドーム状の【電磁砲】と衝突する。




 と、ドーム状の壁にヒビが入り…………






 パリィィィーーーン!!






 な……、割れただと!?


 リリィ達を守っていた壁が壊れて虹色の攻撃が来る…………! と思ったが、リヴァイアサンの声が聞こえるだけだった。




「あ、有り得ないだろ!? 最終攻撃をしてようやく壊せるなんてどんだけ硬いんだよ!?」

「知らねぇよ! 開発なんとかに言え!! お前なら直接会えるんだろ?」

「は、はい……」


 びくつくリヴァイアサン。中身は思ったより弱気なのかもしれない。




「ってか、まだ体力バーが八本も残っているのに最終攻撃を使ってもいいのかよ? さらにまたドーラとメイデが攻撃をしてんだけど?」

「いつの間に!?」


 今も体力バーが減っていく。ようやく気付いたリヴァイアサンは身体を振り回そうと思ったが、動かない。




「あれ? え、ええぇっ? ………………あ、あぁぁぁぁぁ!! 硬直時間を忘れていたぁぁぁ!!」

「硬直時間?」

「あ、あぁ。最終攻撃を使ったら一分は動けないんだ」

「はぁ? 最終攻撃を避けたらぼこり放題じゃねぇか」

「というけど、お主は最終攻撃を避けれるのか?」

「それは…………」


 そう言われると、【虹光息吹】を避けられるかは否と言うしかない。

 溜めがあって隙が多い技だが、発動されたら光のように光速で迫られたら避けられる自信はない。

 リリィは受けてもHPは1だけ残るが、ドーラとメイデは退場されて馬鹿げた防御力を破るには、攻撃力不足でいつか負けただろう。


 それほでに最終攻撃【虹光息吹】は凄い技なのだ。




 …………なのに、あのアホは【電磁砲】を壊せるか試すだけのために使って、今は硬直時間で隙だらけになっている。




「……まぁ、あのアホのおかげでやりやすくなったからいいか……」




 動かなくなって隙だらけのリヴァイアサンにリリィも近付く。

 どうやって倒すか考えながら…………







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