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85.水晶の龍




「行くぞ、直ぐにやられてくれるなよ?」


 運営の人がリヴァイアサンを動かしてリリィの前に立つ。

 リヴァイアサンの長さは25メートルぐらいはあって背筋を伸ばすように立てると他のモンスターより桁外れに高くて見上げるほどだ。




「そんなにでかいならいい的になりそうだねっ! ドーラ、メイデ召喚!!」


 リリィは始めから全力と言うように、二人を召喚した。

 三つ手に別れてリヴァイアサンを囲むリリィ達。




「的か……、そうはならないかもな。【万華鏡水晶】起動!!」


 リヴァイアサンの周りに五つの水晶が現れた。赤、青、黄色、白、黒と様々な彩りがあって浮いている。


 水晶が現れ、リリィは何の効果があるかはわからないが、先手をとることにした。




「【闇の槍】!!」


 真横からリリィが純闇魔法を発動し、リヴァイアサンのダメージ具合を見ようとしたのだが…………




 現れた水晶の一つが動いて、リリィの攻撃を反射した。




「何ぃ!?」


 返ってくる魔法をとっさに横に転がって避ける。

 ドーラとメイデも闇の波動と電気椅子の電流攻撃を放つが、それも水晶によって反射されてしまった。


 反射されたが、距離もあったので、二人も攻撃を受けずに済んだ。






「あれは攻撃を反射する盾ってわけか……」

「そうだ、これが嫉妬の悪魔の能力で『反射』の性質を持つ。物理でも魔法だろうが、跳ね返す!」

「最強の防御だな……」


 リリィは卑怯だとは思わない。リリィの持つ【ベルゼブブ】も案外と卑怯な類なのだから。




「あの水晶を避けつつ、攻撃すればいいだけっ!」


 遠距離攻撃が駄目なら接近して斬り付ければいいだけ。

 突っ込むリリィに合わせてドーラとメイデも武器を構えて前に出る。

 リリィは剣、ドーラは剣と斧、メイデは三枚のギロチンの刃がリヴァイアサンの身体に向かわれる…………




「そう簡単にいかせん! 【水晶飛弾】!」


 リヴァイアサンは身体から水晶が浮かび出る。そして、中心を小さく周り、水晶と言う鱗になっていた物を全位方向に飛ばした。

 リリィ達は早いスピードで水晶を飛ばされ、足を止めて武器で弾いていく。

 リヴァイアサンの攻撃はこれで終わらずにそのまま回って尻尾を振り回してきた。




 連続攻撃に、ふざけんなよ!? と叫びたくなるリリィだったが、弾きながら上にジャンプして避ける。




「まだ終わらんぞ! 【特大晶砲】!!」


 今度はジャンプしているリリィに向かって口から大きな水晶が発射されていた。




「鬼畜過ぎんだろ!? 【闇の槍】!!」


 リリィは迎撃を選んだ。二つの技は突撃して、相殺したのだった。

 相殺したといえ、爆発が起こったのでリリィはそのまま後ろに吹き飛ぶ。

 今ので体力の一割は削れたが、やった意味はあった。




「いっ!?」


 爆発でリヴァイアサンの視界が奪われている内に、ドーラとメイデが自分の武器で攻撃していた。

 今のでダメージはどのくらいかわかった。






 リヴァイアサンの体力バーは10本あり、一本目を100%とするなら、今の攻撃で、5%が減った。






「硬すぎんだろ!? ドーラとメイデのSTRで体力全体の0.5%とかふざけんなぁぁぁ!!」

「お、おう……、それは開発部に言ってくれよ。作ったのは俺じゃねぇからよ……」

「むっ、そうか……」


 割合わないと思うリリィだが、今文句を言っても仕方がないと考え、気持ちを落ち着かせた。




 水晶の龍、リヴァイアサンは防御主体の悪魔と考えるべきだな。そう考えれば、攻撃力は他の悪魔より低いか? それでもフィールドのボスよりは高いみたいだな……




 考えを纏めていくリリィ。ダメージ具合から見て、防御主体で全位方向に攻撃が出来て、しかも周りには反射が出来る水晶の盾が浮かんでいる…………






「もう一度言う。ふざけんなぁぁぁ!!」

「だから、俺に言わんでおくれ…………」


 人の姿だったら涙目になっていそうな声だった。戦いの途中なのに、動きを止めて喋る二人…………






「……いいのか? まだ攻撃が続いているんだが……?」

「……え? あ、イタァァァァァ!?」




 二人が話している時もずっとドーラとメイデは攻撃し続けてダメージを与えていたのだ。


 体力バーは始めの一本目は真っ白になり、二本目に入っていた。

 リヴァイアサンは慌てて身体を振り回してドーラとメイデを吹き飛ばして距離を取った。




「話している時ぐらいは止めようよっ!?」

「知らねぇよ! というか、痛みで気付けよっ!!」

「う……、話していたら忘れていたみたいな?」

「まぁ、卑怯な身体をお持ちなんだから、それぐらい許せよ?」

「むぅぅぅ……」




 ここら辺がAIが入ったモンスターと違う点だと理解する。AIだったら今みたいに攻撃されたらすぐに対応するだろう。

 だが、話をしていて隙を見せてしまい、攻撃されるのは今みたいに誰かが入っている時だけだろう。




「……案外と、人が入っていた方が戦いやすいのかもな……」




 リリィは誰にも聞こえない音量で呟き、リヴァイアサンに目を向ける…………







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