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84.嫉妬の悪魔


 三つ目の扉、一つ目と二つ目の扉と違ってそれは大きく、立派な装飾で造られていた。

 おそらく、最後の扉になるだろうとリリィは予測出来た。




「向こうに悪魔がいそうだな…………、ん?」


 扉には鍵穴が一つ。

 今までの道で鍵を手に入れてはいない。なら、この鍵穴は…………




 〈七罪の鍵〉をまた使うということか?




 アイテムボックスを調べると、〈七罪の鍵〉が〈嫉妬の鍵〉に変わっていることに気付いた。

 おそらくだが、始めに使った時に鍵の種類が変わったのだろう。


 〈七罪の鍵〉は他の悪魔がいる封印場で使えるが、入口を開けたら名前が変わって他の場所では使えなくなるようになっている。




「この鍵で間違いはないな」


 鍵穴に差し込んだらカッチリと噛み合った。

 鍵穴から魔法陣が浮かび、扉に絵が浮かんだ。絵は龍の様な……、いや、蛇に近い形をした物だった。龍みたいな手足があるものではなく、蛇のように細長い身体で顔には角?が突き出ているのが描かれていた。




「これが、嫉妬の悪魔ってことか? なんだ、あの角は?」


 リリィは顔の部分に疑問を持ったが、それは扉がゆっくりと開いたことで、考えを打ち切られた。




 …………何も起こらないということは、中に入ってから始まりそうだな。




 リリィはもう準備は終わらせてある。手には〈聖母殺しの剣〉に、ドーラとメイデを召喚する準備も出来ている。

 完全に開かれた扉の中に進むリリィ…………






◇ ◆ ◇ ◆ ◇











 扉をくぐったリリィは広く何もない場所に移された。ただ一つの水晶、悪魔が封印されている水晶がポツンと置いてあるだけ。

 その大きな水晶の中には扉に描かれていた絵と同じ龍のようで蛇の形をした悪魔がいた。






『嫉妬のリヴァイアサンが封印解除されました』






 アナウンスの声が流れたら、水晶にヒビが入った。少しずつヒビが広がって閉じられたリヴァイアサンの瞳が開かれてリリィを視界に収める。

 リリィはボス戦前と同様に身体を動かせなくて見ているしか出来なかった。




 普通なら封印と同時に攻撃するんだが、動けないなら仕方がないな……




 そんなことを考えている時に、リヴァイアサンの封印は完全に解かれた。




「……お主が封印を解いたのだな?」

「そうだが?」


 台詞は決まっているのだから、返事をしてもしなくても同じだが、まだ動けないリリィは暇潰しに答えたのだった。




「そうか、何のために封印を解いた? 答えて見せよ」

「…………力を求めるためだ」

「力か。そんなの求めてどうするつもりだ?」


 何かおかしいことにリリィは気付いた。何故、そんなことを聞くのか、さらに受け答えが出来ていることに疑問を持つ。




 まさか、こいつもAIが入っていると言わねぇよな?




 もし倒されたらボスと違って復活はせずに終わるのに、AIが入っているのはおかしいと思う。

 だが、その考えは否定はされた。




「答えはせぬのか?」

「…………」

「答えはないのか?」

「…………」

「答えは……」

「…………」

「答えろよ!? 進まねぇだろうが!!」

「おわっ!?」


 急に怒鳴られて驚くリリィ。黙っていたことに怒っているリヴァイアサン。




「これは普通なら答えるんだろ?」

「……お前はやっぱりAIが入っているのか?」

「……はぁ、そんなことを考えていたのか? 所長が言っていた通りに変な奴だったな」

「所長……?」


 ファンタジーな世界に似合わない所長と言う言葉、それでもう一つの可能性にたどり着いた。




「まさか、運営の関係者か?」

「本来なら説明することはないんだが、このままでは進まないから特別だぞ? そうだ、運営の関係者で間違いはないな」

「なんで、運営の関係者が悪魔役をやってんだよ?」

「口の悪いお嬢ちゃんだな……、所長から通達があったんだよ。リリィと言う者が天使か悪魔を解放するならお前達が相手をしてやれと」

「…………なんで?」

「そりゃ、このゲームは始まったばかりでAIはまだ育っていないし、リリィ相手では役不足だと判断して俺達が代わりに相手をすることになったんだ」

「……それでいいのかよ? 運営の奴らは……」

「仕方がないだろ。お主は色々な功績を出しているのを自覚してんのか?」

「あ、お主は素で言っていたんだ?」


 ロールプレイングで言っているんじゃないんだ。と変なとこに気付くリリィだった。




「……自覚してないな。とにかく、お主の相手はこの俺がやろう」

「貴方がやると言うことは、かなり強い?」

「まぁな、他のゲームでは殆ど上位に入っている。もちろん、この身体でも戦うのも問題はないからな。人じゃない身体で遊ぶゲームもあるからな」

「ほぅ……、楽しめそうだな。特別扱いについて言いたいことはあるが、AIより楽しめるならいい」

「そりゃ、どうも。文句は所長に言ってくれ。…………で、もう一回聞くぞ。お主は何故力を求める?」

「それは答えなければならないのか……。んーーーー、ゲームの中で一番になりたいだけかな?」

「ほぅ、すでに一番に近い位置にいるのにか?」


 今までの功績を見れば、リリィは他の者と比べて突き抜けている。それでも一番を求めるリリィに苦笑する運営の関係者。

 運営の関係者もその気持ちはわかる。プレイヤーであった時も一番を求めていたのだから。




「いいんだろ? そんなことを聞かなくても貴方ならわかるでしょ?」

「くくっ、面白いな、お主は。所長が気に入るのもわかる。

 話が長くなったが始めようか」

「ようやくね」


 リリィの身体が動くようになり、嫉妬のリヴァイアサンと戦いが始まったのだった…………







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