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81.ウォール・シャドゥ


 石像のリリィが二体…………、わかりにくいから偽リリィ1と偽リリィ2と呼ぼう。

 偽リリィ1は一人称が『私』で、2の方は『アタイ』になっている。




「アタイと言う奴の相手を頼むぞ!」

『了解です』


 分担し、一対一になるように戦うことに。




「アタイは、あの人形みたいのと相手になるんだ?」

「私は本物と? ありえないわ。特別な力を持っていても一対一では勝てないわ」

「そうなのん? じゃ、コンビネーションでやる?」


 二人は話し合い、一対一にせず、コンビネーションで戦うことが望ましいと決まったようだ。

 偽リリィ1が言う特別な力と言うのは、本物のリリィが持ってない【壁潜水】のことだ。

 これがあれば、壁の中に潜って移動できるのだ。

 ただ、地面は壁と判断されないし、潜っている時は息が出来ないからたまに外に出て息する必要があるのだ。




「行くよ〜」

「行くわ〜」


 二人の掛け声によって壁の中に潜った。リリィとドーラは背中を合わせて武器を構える。




「…………」


 リリィは音に集中する。さっき、偽リリィ2が移動してくる時、音がしたのだ。

 今は音がしてないから、まだ動いてないと言うことだ。






 ドバァッ!




 音が聞こえた場所に目を向けると、手一本だけ出ており…………




 純闇魔法【闇の槍】を撃ってきた。




「くっ! 【闇の槍】ぃぃぃ!!」


 リリィは同じ魔法で相殺を狙い、魔法に当てたのだが、そこに隙が出来てしまった。



 ドバッ!



 壁からリリィの死角に向かって〈血濡れの短剣〉を持った偽リリィ1が出て来て短剣を突き刺してきた。

 だが…………




『させません!』




 魔法が衝突と同時にドーラが偽リリィ1の攻撃を防ぐ。

 だが、それで終わらずに偽リリィ1も、【闇の槍】を近距離から撃ってきたのだ。




「当ててたまるか! 【影の守り人】!!」


 リリィはドーラの影を踏んで発動する。【影の守り人】で魔法を撃ってくる手を上に行くように殴りつける。

 偽リリィ1の魔法は発動したが、上に向かって撃たされたため、ドーラにダメージはない。

 ドーラが偽リリィ1に攻撃しようとするが、〈聖母殺しの剣〉を投げつけてきたため、追撃を断念させられた。




「なかなかダメージを与えられないな! 【闇の槍】!」


 また偽リリィ2が魔法を撃ってきたが、狙った場所がリリィとドーラの間の地面だった。




「これでは、両方に盾を作れない!」

『私はいいです! マスターだけ守ってください!』

「悪い!」


 リリィは地面から爆発が起きる瞬間に、まだ発動していた【影の守り人】で影の盾を作り出す。

 ドーラは両手に持った武器でクロスになるように構えて衝撃に備えていた。

 壁から出ていた偽リリィ1は2が投げた武器を回収して壁の中に潜っていた。






 ドバァァァァァァァァァン!!






 爆発が起き、リリィはなんとか防げたが、ドーラは200ぐらい減っていた。直接に狙われたわけでもないから、半減ぐらいで済んだのだ。




「く、壁は破壊不可能のままだから、敵は無傷かよ……」

『厄介ですね……』


 そう、壁は破壊できないから、壁の中にいる偽リリィ達はダメージを受けないのだ。

 ぷぱぁっと、顔を出して笑ってこっちを見てくる偽リリィ2。




「ようやく一人はダメージを受けてくれたみたいだな」

「お前は私だよな……? まさか、魔法は全部使えるのか? 【ベルゼブブ】も……?」


 そうだとしたら、勝てないと思っていたが、偽リリィ2の答えは、




「残念ながら、それらは制限があるんだよねぇ。魔法は一つしか使えないし、【ベルゼブブ】はお前の物だからね〜」

「……教える必要はないじゃない」


 偽リリィ1も顔を出して話に加わってきた。

 偽リリィ1と2は性格が違うようで、偽リリィ2は口が軽かった。


 それにしても、リリィは制限があることにホッとしていた。




 やっぱり、私ってギロスの言う通りにボス級なのね……




 ギロスの気持ちがわかった瞬間だった。本物より弱いといえ、この力、武器などは反則に近いとリリィさえも戦いたいとは思えない。




 だが、先に進むには勝つしかないんだよね…………




 リリィは覚悟を決め、まだ顔を出している敵に短剣を投げる。〈血濡れの短剣〉ではなくて普通の短剣だが…………




「きゃっ!?」

「危なっ!?」


 二人とも話に意識を奪われていたのか、ギリギリ避けていた。

 だが、普通の短剣が当たりそうになっただけであの慌てようは…………




「私と同じ防御面に難ありなのね……」


 ステータスはリリィとほとんど変わらないなら、弱点は同じのようだ。

 〈菊花の和服〉を着ているため、一度だけ死に耐えてHP1を残すことが出来るが、向こうは回復手段はない。




「ようやく攻略法を見付けたかな……」

『マスター』

「ああ。向こうは壁に潜ったら無敵なんだから、持久戦になるが、やるぞ」

『はい!』




 リリィは持久戦になることに覚悟を決め、敵に挑むのだった…………







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