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79.第二の悪魔

少し遅くなりました。



 運良く、【妖精の迷宮】の出口を見付けたリリィ達。

 三人の中で一番喜んでいたのがクナイだったことに印象が残ったのだった。




 そして、その翌日…………






 リリィは一人だけで水の城を前にして立っていた。

 【ウィータの街】にある水の城、中には大きな水の球体があるだけで特に何もない。

 …………と、他の人はそう思っているだろう。


 だが、リリィだけは違う。

 手に持つ物に視線を落とす。




 七罪の鍵(譲渡、売却不可能)

 何処かに隠されている、封印された七つの大罪の悪魔を解放する鍵。




 この鍵を使う時が来たのだ。

 この前のイベント、【トート・メイデン】を倒して手に入れた鍵であり、そのイベントのストーリーに連なる次の鍵と言うことだ。


 前は普通に賑やかだった王都が今や、【沈んだ王都】に成り果てさせ、メイデの姉が願った相手が、ここにいる。

 どうすればそんな相手に会えるのかはこの鍵が必要だと考えた。


 リリィは中に入って浮いている巨大な水の球体に近付く。






〈この〈七罪の鍵〉を使いますか? Yes/No〉






 当たりだった。ここに間違いなく悪魔が封印されていると確信した瞬間だった。

 リリィはもう準備を終わらせてあるのでYesを選んだ。




〈失敗したら一週間、ここに入れなくなります。それで構わないならば、前に進むように〉




 目の前に水の球から階段とドアが現れた。

 周りにいたプレイヤーが驚いたような顔をして近付いてきたが、見えない壁によって先に進めないようになっていた。


 何かのイベントか? と周りが騒ぐ。リリィはさっさとドアを通った方がいいなと思い、水の球に向かう階段を昇っていく。


 ドアを開けたらいきなりボス戦になるか? と警戒しながら進んでいくが、予想は違った。

 ドアの向こう側は…………






 迷路だった。




 今は迷路の全貌が見えるほどの高さにいる。

 ドアを開けたらすぐに降りの階段になっており、あり程度の高さがあったからここはどんなとこなのかわかった。




 まず、迷路か…………




 昨日は迷宮を歩き回ったのに、今日は迷路を歩き回ることになるのか…………とため息を吐き、階段を降りていく。




「あ、【ベルゼブブ】で飛んで行けばいいんじゃね?」


 早速、思い付いたことをやってみたが…………




「前に進まない!?」


 飛行したとこまでは良かったが、何故か迷路がある方向に進めなかった。

 つまり、ズルをされないように対策はされているわけか…………




「ちっ、【ベルゼブブ】解除」


 飛んで行けないのがわかったなら【ベルゼブブ】のままでいる意味がないのだ。

 正直に迷路を攻略しろって訳か。

 それを理解したリリィは階段を戻り、上から迷路の道を確認する。

 出口までの道を記憶する。迷路は面倒だが、記憶出来るぐらいに広くはなかった。

 もし、途中で迷路の構造が変わらない限り、簡単にクリア出来るのだが、悪魔への道がそう簡単にクリア出来るわけがない。




「……道は覚えたし、行くか」


 このままずっと考えていても答えは出ないと理解していたので、道を覚えたらすぐに迷路に入った。




「ふむ……、この壁は壊せないよな?」


 そう呟いで、短剣を刺してみる。




 カチッカチ、カチッ……




 破壊不可能のオブジェクトだとわかった。何せ、傷一つも付かないのだから。




 壁は破壊不可能ねぇ……、しかし何も起こらないな?


 しばらく進まないと何も起こらないのかなと思い、歩き続ける。






 そして、そろそろゴールまで着きそうだな……と思った時に、ゴールの前で立っている者がいた。




「敵か?」


 そう思って武器を構えるが、向こうは人形のような姿で流通に話しはじめたのだった。




「初めまして、私は見極める者です。ここまで来たのは迷路が簡単だからでしたね? しかし、次からはこの道を使えません!」

「……は?」


 どういうことなのかわからないまま、下に魔法陣が現れた。




「なっ!?」

「貴方にはまた迷路を攻略してもらいます。もう一回言います。次はこの道を使えません……」




 リリィは魔法陣から出られず、そのまま入口まで転移されてしまった。


 また迷路を攻略しなければならないのかとため息を吐きたくなる。

 しかし、さっきの言葉は何の意味があるんだ?


 次の攻略には、さっきの道は使えないと言われたが…………




「まさか!?」


 入口に戻されたリリィはすぐに迷路の後ろにある階段を昇って上から迷路を確認する。




「……あれ? 変わってない?」


 リリィが危惧していたのは、迷路の構造が変わってしまうことだ。

 さらに広くなってしまったら、記憶するなんて無理だ。


 しかし、前の迷路とは変わってなかった。覚えた道は同じで出口まで繋がっていた。


 なら、見極める者と言っていた者はなんでそんなことを言ってきたのかわからなかった。




「……もう一回、やってみるか?」


 見極める者の言葉を無視して同じ道を使って出口まで行ったのだが…………




「あ? ここは……」


 目の前には階段がある。しかし、見覚えのある階段だったのだ。




 ……そう、入口の後ろにある階段にだ。




「いつの間に、入口まで戻っていた?」


 リリィは立ち止まってしばらく考え込むが、わからないままだった。




「やはり、そう簡単にいかないか」




 さすが、悪魔が封印されている場所だなと関心するリリィ。




 何か謎があるとリリィは口元を吊り上げて楽しそうに笑うのだった…………







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