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77.午後の予定


 珍品を買いまくったリリィは、そろそろクリアしてくる他の冒険者を待っていた。

 クナイやギロスのことなんだが、彼らは自信があるようで負ける心配はしてなかった。

 しばらく待っていると…………




◇ ◆ ◇ ◆ ◇




「あ、来たか」


 【ネリフィの街】の広場に転移してくる冒険者達。

 その中にはクナイやギロスの姿が見えた。

 つまり、第三のボスに勝ったようだ。




「よっ、全員いる?」

「おう、落第した奴はいないぞ」

「情報通りにウツボみたいな奴から倒したら、簡単に終わったよ〜」

「やっぱりか……」


 やっぱり、倒す順番によって難易度が変わるみたいだな。

 リリィは精霊から倒してしまったから、ハードになってしまったが、クナイ達は水龍を先に倒したからイージーかノーマルでやれただろう…………




「しばらく休んでから、行くか?」

「いえ! 今すぐに行きましょう!」

「ん? その後に何か用があるのか?」


 前に約束していたクナイに返事をもらっている時に、ギロスもその後のことが気になったようだ。




「その後に製薬術や服装に使う素材を集めに行くのよ」

「そうか、俺も着いて行っていいか?」

「私は助かりますが、疲れはないのですか?」

「大丈夫だ。少し歩けば回復する!!」

「疲れは筋肉痛じゃないんだから…………」


 歩けば疲れは取れる! というのは初めて聞いたが、本人がそう言うならいいだろう。




「そう、久しぶりに三人で組むね」

「そういえば、そうですね!」

「リリィはほとんどソロだもんな…………いや、ドーラとメイデがいたか……」

「二人ともボス級だからね」

「そりゃねぇよ。ボス級の三人が同時に掛かってくるなんて、悪夢としか言えねぇぞ……」


 確かに、リリィもボス級以上の実力を持っているから、その認識は間違っていないんだが…………


 なんか、ギロスは私のことをモンスター扱いしてない……?




 そんな考えが浮かんだが、話は途切れて聞くことは出来なかったのだった。

 予定通りに材料集めに、【ネリフィの街】の南にある【妖精の隠れ森】と言うフィールドに向かった…………











 向かったのはいいが、そこで問題が起こっていた。




「ま、待って下さいぃぃぃぃぃ!!」

「ヤダヤダ〜」


 なんだこれ? と思うかもしれないが、クナイが追っている者は…………




「まさか、妖精がいるとはね……、先に言ってほしかったわ」

「すまねぇ、忘れていた」


 そう、クナイが追っているのは妖精だ。

 では、何故、そんなことになっているかは…………




「返して下さいぃぃぃぃぃ!! 素材をぉぉぉ」


 クナイは妖精にさっき手に入れたドロップ品、素材を盗られていたのだ。

 ここ、【妖精の隠れ森】は妖精が出現し、プレイヤーから物を奪って逃げるのだ。

 まさに、悪戯の妖精。


 だが、奪われる物は決まっていて、【妖精の隠れ森】で落とすドロップ品、素材だけなのだ。

 妖精に触れてしまうだけで、一瞬で素材を一つだけ奪われ、30秒間を逃げ切れてしまうと妖精は消えてしまうのだ。

 消える前に、触れるか攻撃が当たれば、取り返せるのだが、妖精は小さくて素早いから捕まえるのは難しい。

 だから、奪われないように気をつける必要があるのだが…………




「またぁ!?」


 クナイだけ沢山奪われていたのだ。

 妖精はスキルでの感知は出来なくて、目視で避けなければならないが、スキルでの感知に慣れてしまっているので、クナイには避けるのが難しかったようだ。

 ちなみに、リリィとギロスは迎撃するから何とか盗られていないのだ。

 身体に触れてしまうと、盗られるなら、触れられる前に撃ち落とせばいいだけだ。




「確かに小さいから当たりにくいけど……、動きが単調だよね」

「ああ。フェイントがないしな」


 リリィはスキルだけに頼らない戦いも沢山経験しているし、格闘関係のもVRをやったことがあるのだ。

 ギロスもリアルで格闘経験があるから、リアルと同じように目視だけで妖精を撃ち落としているのだ。


 そこがクナイと違う点だっただろう。

 クナイは警戒が足りないとも言えるが、安全が確定されているゲームでは難しいだろう。

 当たれば痛みも僅かにあるのだが、慣れてしまえば、警戒心が減ってしまうのだ。




「わぁぁぁ!! また盗られた!?」

「はぁ……」

「盗られる物が制限があるからそこは助かるな……」


 もし、【妖精の隠れ森】でのドロップ品、素材だけに制限されていなかったら持ち物が無くなっていた可能性が高いのだ。




 クナイの叫びが森に広がる中、二人は溜息を吐いていた…………







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