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74.新しい仲間

 明日、クナイ達がボス戦をクリアしたら、再び材料探しをするが、それまでは暇だなーと思うリリィがいた。




「あー、ゲーム内で暇する私ってなんだろうなー。これが五月病?」


 なんてなことを独り言で呟きながらギルドハウスでゴロゴロするリリィ。

 新しい街に行ったリリィだが、【ネリフィの街】に入れるプレイヤーが出てくるまでは未知のフィールドを探索するのは控えようと思った。

 なんか、先に一人だけで探索するのは勿体ないように感じたからだ。


 うーん、ゴロゴロしていても時間の無駄だし、【ウィータの街】で散歩をしようかな?


 とりあえず、散歩に行って新しい発見があるといいな、と思いつつソファーから起き上がり外に出る。

 ちなみに、五月病とか言っていたんだが、現実は秋である。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇






「私とバトルをお願いします!!」


 ギルドハウスから出たら、いきなりそう言われたリリィだったのだ。

 目の前の少女は魔女のような格好をしており、杖を持っているから後衛タイプのプレイヤーだとわかる。

 そんな少女がたった一人だけで、リリィに挑むなんてただの自殺行為だ。

 リリィは前衛、後衛どちらもいけるが、AGIが高いから相手が後衛一人だけだったら簡単に近付かれてすぐに終わってしまうのだ。




「ええと、なんで私とバトルを?」


 まず、理由を聞いてみた。




「あ、あの、私は『魔妖伝記』に入りたいのですっ!!」

「私達のギルドに?」

「はい! ギルドに入るためにはリリィさんに認められないと駄目と聞いたので……」


 ……だから、バトルで挑んできたわけか? 目の前の少女が私に勝てそうだとは思えないけど……?


 どうみても私に勝てそうな雰囲気には見えないのだ。




「あ! 自己紹介を忘れていました! 私はマナと言います」

「マナね。知っているけど、私はリリィよ。バトルは受けてもいいけど、本当にバトルをするの?」

「はい! 勝てないけど、認めさせることは出来るかと!!」


 ほう? 勝てないと断言している所はネガティブな考えだが、認めさせるだけの何かがあると言うのか。……ちょうど、暇していたし、見せてもらおうかな?




「わかったわ。勝敗は関わらずに私を認めさせたらギルド入会を歓迎するわ。それでいいね?」

「ありがとうございます!」


 リリィはバトルを受けて、非観戦のバトルフィールドに移った。

 リリィは〈血濡れの短剣〉を装備して、マナに向かい合う。




「わぁー、呪いの武器ですね」

「まぁね。先手は譲るわ」


 このバトルはマナの実力を見るためのバトルだ。

 なので、一瞬で終わらせるのは無しで、先手を譲ったのだ。




「いいのですかっ!? 良かったです。一撃で倒されたら実力を見せる瞬間がないので、ドキドキしていました」

「やっぱり、マナさんは後衛なのね」

「はい! あ、あの……、呼び捨てでお願い出来ますか?」

「呼び捨てがいいの? だったら、私に認めさせたら呼び捨てで呼んでいいし、私もリリィでいいわ」

「あ、はい! 必ず、認めさせます!!」


 開始のカウントも終わり、マナは俊敏に、アイテムボックスから薬品が入ったビンを出していた。

 まるで、いつもやっているように慣れた動作だった。


 もしかして、初めに出していた杖は使わないのか?


 杖はアイテムボックスに仕舞っており、マナはビンを指に何本か挟んで持っていた。




「行きますっ!」


 マナは勢いよくビンをこっちに投げてきた。

 高いレベルの【投擲】を持っているのか、距離があっても正確にリリィに向かっていた。


 この投擲は凄い正確なんだけどね………………なっ!?


 このまま動かなかったら全弾命中するが、遅いと感じたリリィだった。

 あれは何だろう? と思って【鑑定】を使ったらギョッとしたのだ。

 名称が〈爆裂ビン〉と出ていたから、爆弾だと気付いて、迫って来る爆弾から遠くに逃げようとしたのだ。




「今です!」


 マナはまた爆弾とは違う物を上に向けて、広く散らばるように投げていた。

 また【鑑定】を使うと、〈小麦粉〉だとわかった。

 中身が零れて、周りに散らばってリリィがいる場所の全てに小麦粉がばらまかれたのだ。




「粉塵爆発か!?」


 すぐにマナが何をしようかはすぐにわかったが、小麦粉はもうリリィに掛かっており、周りも小麦粉だらけ。

 それが、〈爆裂ビン〉が爆発したら…………






 ドオオオォォォォォォォォォォン!!!






 リリィが言った通りに、粉塵爆発が起こり、リリィがいた場所は火の海のようになっていて、地面が焦げていた。




「……もしかして、勝っちゃった?」


 リリィの姿が見えないことで、勝ったのか? と思ったが…………






「ふぅ、ヤバかったわ。私じゃなかったら、マナさんが勝っていたわ」

「えっ!?」


 後ろを振り向くと、羽を生やし、触角が見える姿になったリリィがいた。

 そう、【ベルゼブブ】を発動したリリィの姿だ。




「今回は私の勝ちだったわね」


 リリィは首、心臓に向けて短剣で体力をゼロにしてバトルを終わらせたのだった…………




◇ ◆ ◇ ◆ ◇




「ううっ、負けた……」

「粉塵爆発を起こしたまでは良かったけど、姿が見えないだけで、勝ちを確実しては駄目だよ?」

「はい……」

「でも、面白いわね。あんな物を作れるの?」

「はい。材料さえ、あれば面白いのが作れますし、自分で作った物で相手に勝ったら嬉しいのです」

「そうなんだ。よし、合格だ!! 私のギルドにマナが来ることを歓迎しよう!!」


 リリィはマナに指を指して、結果を発表したのだった。




「……え! いいのですか!?」

「うん、マナの戦い方が面白いのもあるが、私も【ベルゼブブ】が無かったら結構ヤバかったしね」

「あ、私の名前を……」

「約束したしね。これからは呼び捨てでいいわよ」

「あ、ありがとうございます!!」




 その経緯で、『魔妖伝記』に新しい仲間が増えたのだった…………







風塵爆発→粉塵爆発に直しました。

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