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70.飛ぶ水龍

はい、どうぞ!

もうひとつのも読みに来てね!



 ラウンド2が始まり、先手は水龍だった。




『この霧の中で生きていけるか?【紫霧の陣】!!』




 水の翼が紫になったと思ったら、気化してフィールド全てにばらまかれた。




 なんだ、霧で姿を隠す技か?




 だが、その推測は違った。霧だが、水龍の姿はハッキリと見えたのだからだ。

 なら、この霧は……


「なぁっ!?」

『体力が減っていく……?』

『もしかして、毒?』


 今も、少しずつだが、確実に体力が減っていた。つまり、あの紫色は毒だったのだ。


「まさか、あの台詞では永続に続く霧なのか!?」


 そうなると、体力は何もしなくても減っていくことになる。

 回復薬は沢山あるが、無限ではない。しかも、三人で使うとなると、すぐに足りなくなるだろう。


「ドーラ、メイデ!早めに倒すわよ!!」

『了解しました!』

『でも、飛んでいたら攻撃が届きません……』

「いえ、たまに降りてくるはずよ。もし、剣士ばかりのパーティだったら、クリア不可能になってしまうもの」


 メイデの技はほとんど近距離技ばかりだ。電流攻撃は遠距離技だが、距離が離れているから簡単に当たってくれないだろう。

 しかし、水龍もずっと飛ぶことはないとリリィは考えている。


「【黒太刀】!」


 まず、この【黒太刀】でどれくらい減るのか確認する。

 だが、避けられてしまった。


「やっぱり、距離があるわね……なら!【ベルゼブブ】!!」


 飛行する敵には、飛行で当たるのが良いと考え、【ベルゼブブ】を発動した。


「もし、体力が半分になったら必ず報告を!!」


 召喚モンスターは、アイテムボックスがないから、回復薬を持つことが出来ないから、回復させる役はアイテムボックスを持つリリィがやるしかない。




 まさに、ソロ殺しね……




 もし、パーティにプレイヤーがいたらリリィが攻撃に徹しても回復は他の人に頼めたのだ。

 いないことは考えても仕方がないと思い、水龍に向かって飛ぶ。


「早めに終わらせてやる!!」

『むっ、我が領域まで飛んで来るなんて、罰当たりな!!』

「そっちこそ、ふざけんな!!」


 【黒太刀】を連発するリリィ。地上からも遠距離攻撃をするが、当たっているのはリリィだけだった。


『まず、下の小さき者を消してやろう!【下降突進】!』


 急に軌道を変えてドーラ、メイデに向かって上から突進してきた。

 メイデはアイアンメイデンを遠くに飛ばした。おそらく、【身代わり】を使うようだ。

 ドーラは逃げずに剣と斧を構えていた。


『そっちから来るならチャンスです!!』


 ぶつかる寸前に切り付けるようだ。上手く避けて横から斬る魂胆だろうが………………、ドーラの体力が残り3割になってしまった。

 水龍の方も一本の2割は削られていた。

 つまり、相打ちだった。


「回復しろ!」


 リリィはすぐにドーラに向けて回復薬を投げる。


『すいません!』


 一本では、2割程度しか回復出来ないので、二本渡したのだ。

 しかし、相打ちでドーラは4割減り、相手は一本の2割しか減っていなかった。

 上手く避けられないなら、相打ちは止めた方がいいだろう。


「相打ちは止めとけ! 私が打ち落とすまでは遠距離攻撃だけに集中しなさい!!」


 指示を出し、すぐに水龍に向かう。今は攻撃を受けてないが、毒のせいで7割まで減っていた。

 リリィは水龍に近付いて、〈聖母殺しの剣〉で直接斬りまくる。

 水龍は邪魔なハエを打ち落とすように暴れる。

 だが、リリィは避け、水龍にダメージを与えつづける。

 水龍の動くスピードはそれほどに早くはない。【下降突進】は凄まじいスピードだが、普通に動く場合は早くはなかった。

 今、リリィは水龍の翼を1枚、切り落とした。


『貴様!?』


 水龍の翼は全部で8枚あり、もし全てを切り落としたなら、水龍は地に墜ちると予測出来る。

 体力バーはまだ一本しか削り切れてない。攻撃が当たるのは一人だけだと、回復薬が先に無くなるだろう。

 だから、翼を全て切り落とし、全員でぼこる方が確実だろう。






 飛ぶ水龍になり、戦い続けてから、10分経った。

 翼は残り一つで体力バーはあと3本になっていた。


『許さん!許さんぞぉぉぉ!!【水槍の豪雨】!!』


 水龍の側に沢山の槍が作られた。


「げっ!【影の守り人】!!」


 リリィは下に降りて、影で盾を作り、ドーラは打ち落とすつもりで剣と斧を構え、メイデはアイアンメイデンを盾にする。




『これだけじゃないぞ!!【嵐雨】!!』




 一つの技だけではなく、続けてもう一つの技で、沢山の槍が吹き荒れるように不規則な動きでこっちに向かってきた。

 これでは、リリィはともかくドーラとメイデはヤバい。

 ドーラは沢山の槍がバラバラの方向から向かわれては、簡単に打ち落とせない。

 メイデのアイアンメイデンは、一方向しか防げない。


「くっ、少しだけ残ればいいから、耐えなさい!!」

『『はっ!』』


 不規則に荒れる嵐が槍を風に載せて襲ってきた。






 吹き荒れる嵐の中にいたのは、リリィとドーラだけだった。


「く、メイデは耐えられなかったか……」


 メイデは、ドーラと比べて体力が少ない。ドーラがギリギリだったのに、メイデが耐えられるわけがないのだ。


「だけど、今がチャンス!!」


 リリィはドーラに回復薬を投げ渡して、大技でしばらく動けない水龍に向かう。


『まさか、アレを耐えるとは!?』

「私達を舐めんな!!」


 ついに、最後の翼も切り落とした。






『貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!』






 落とした水龍は落下ダメージを受けて、体力バーがあと一本しか残っていなかった。

 さらに、大技の反動もまだ残っており……









 呆気なく、リリィは第三のボスを討伐したのだった…………







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