69.リベンジ
「最強で最凶な兄妹転生」も連載していますので、こっちも見に来てくださいね!
メイデを仲間にしたリリィは再び、ボスへのリベンジを決行することに。
「『召喚』ドーラ、メイデ!!」
リリィの両端に召喚モンスター、ドーラとメイデを召喚した。
『マスター、リベンジですね』
『マスター、私にお任せを』
二人とも、やる気になっている。
リリィも自分の武器を出して目の前にいるボスに向き合った。
「ドーラとメイデは水精を頼む!」
『『了解しました!』』
ドーラとメイデはよい返事をして、それぞれの水精に向き合った。
『『クスクス、一人増やしたの??無駄無駄〜』』
相変わらず、笑ってこっちを馬鹿にしてくる。
あれ、あの水精はこっちのことを覚えている?
AIでも積んでいるのか?と疑ったが、それはないと考えた。
もし、積んでいたなら、あのボス達は戦う度に成長してしまう。
それで、後から挑むプレイヤーがなかなか勝てなくなるのだ。
なら、相手が誰なのか、認識しているだけかもな。
つまり、ビデオのように記録されていて、相手が誰なのか記憶していて、何かが変わった所があったらそこを指摘するような感じだろう。
「AIが入っていないなら、この布陣で勝てるはずだ!」
前の敗因は、ウツボみたいな水龍を放って、水精を狙っていたからだ。
何故、あの水龍が動かないのは、溜めの動作なのだ。
ギロスの話では、ダメージを与えたら攻撃のためのエネルギーを減らすことが出来る。
つまり、ずっとダメージを与えつづければ、発動するためのエネルギーがなかなか溜まらず、攻撃をしてこないのだ。
だったら、水龍だけに攻撃すればいいのでは?と思うかもしれないが、それも間違いである。
反対に水精を無視したら、回復魔法を使われたり、水龍の変わりに【水精の祈り】で水龍が攻撃するためのエネルギーを溜めてしまうのだ。
だから、同時攻略が正解なのよね……
水龍と水精を同時に攻撃しないと駄目なのだ。水精の攻撃は簡単に退けるのは難しいから、ただ数を揃えばいいだけじゃ、勝てない。
「このメンツなら、私が攻撃している間、足止めぐらいは簡単でしょうね」
リリィの召喚モンスターは、どちらも稀少イベントで出るボス級の実力を持っている。
そんなメンツが足止めさえも出来ないなら、他のプレイヤーでは、難しいというか、無理だろう。
今、ドーラとメイデは上手く水精と戦えてるようで安心したリリィ。
リリィも見てるだけじゃなく…………
「【黒太刀】【黒太刀】【黒太刀】ぃぃぃ!!」
休まずに、水龍にダメージを与えていた。
これならエネルギーを溜めても削られて攻撃出来ないだろう。
この調子で、水精と水龍は同様に体力バーは残り二本になっていた。
このまま行けば、水龍から攻撃なしで勝てるだろうと思った先に……
「なっ!?」
水精は防御を無視して、【水精の祈り】をしてきた。しかも、二本同時にだ。
そのおかげで、水精の体力バーはあと僅かとなったが、水龍のエネルギーが溜まってしまった。
その攻撃動作は……【ウォーターレーザー】か!!
リリィはそれほでに慌ててない。対策は考えてきたのだから。
「メイデ!こっちに!」
『了解しました』
メイデは、リリィの前に来て、ドーラもその後ろに立った。
発射する寸前に、メイデは、破壊不可能のアイアンメイデンを盾にした。
【ウォーターレーザー】の攻撃範囲は狭い代わりに、威力が桁外れだ。
だが、破壊不可能と言う設定があるチートなアイアンメイデンを盾にすることで、防ぐことに成功した。
それを見た水精は驚いたような顔で見ていた。
あれ、AIは入っていないんだよね……?もしかして、防がれたら、驚く隙が出来る設定なのかな?
疑問が浮かんだが、動きを止めていて、わずかな体力しかない水精を先に倒した。
『『ああ!やられた!!水龍が解放される!!』』
そんな言葉を残して、水精は消えていった。
言葉で「解放」という言葉が出ていたことに気になったが、さっさと水龍も倒そうと思ったら………………身体が動かなかった。
「なんで動かない!?」
『私も動きません』
『始めのと似ています……』
リリィだけじゃなくて、召喚モンスターの二人も動かないようだ。
「始めと同じ……?まさか!?」
リリィはどういう意味なのかわかったようだ。
つまり…………
『小さき者よ、解放されたことにお礼を言おう』
「やっぱりかよ……」
そう、演出だ。動きを強制的に止められて、その流れを見るしか出来ない。
この流れでは、アレだよな……
リリィには、その後に起こることは予測出来ていたので、げんなりとしている。
『我がは今まで、水精に操られていた。そのため、本来の力を使えない状態だった。
解放してくれた小さき者よ、お礼に本来の力を見せてあげよう。
そして、塵になって消え去れ』
酷くねぇ!?解放してやったんだから、優しくして欲しいんだけど……
まぁ、これは演出だから仕方がないと諦めて、大人しく見ていた。
想像していた通り、変身時間だった。
動いてなかった水龍に、水で出来た翼が出来て、空に浮かび始めた。
さらに額に角が生えた。
変わったのは姿だけではなく、地形も変わり、水龍がいた場所にも立てるようになった。
それだけなら、良かったんだけど…………、何故体力バーが元に戻っているんだよ!?
今まで削った体力バーは全て回復していた。
まさに、これからラウンド2と言うように元通りだった。
『では、始めよう』
水龍はウツボの姿だったが、いくつかの翼があり、空中を泳ぐように飛んでいた。
ただの翼ではなく、水で出来た翼であり、その翼からも攻撃が来る可能性があった。
はぁ……、またダメージを削っていかないと駄目か。間違いなく、前よりは強いだろう。
能力もさらにアップしている可能性もあるので、警戒を高めて攻撃方法を探るリリィ。
召喚モンスターの二人も、リリィのように警戒して水龍を睨む。
これらが、ラウンド2が始まる瞬間となった…………