68.二体目の召喚モンスター
いつもより少し短いですが………、どうぞ!
第三のボスに負けたリリィは死帰りして、教会の棺桶の中で寝っ転がっていた。
デメリットを受け、お金とステータスは半分になっていた。お金のほとんどはギルドに預けていて、手持ちは5万ぐらいだったので、懐は痛くないが、ステータスの方は、一時間も半分になってしまい、身体が怠くなって動きたくない気分だった。
あー、だるー。一時間、このままいようかなぁ……
棺桶の中で一時間、じっとしていようかなと考えていたが、しばらくすると、神父に追い出された。「この中にじっとされていると、次の方が出てきませんので!」と言われて。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
棺桶から追い出されたリリィはひとまず、ギルドハウスに戻っていた。
「あー、まだ怠いなー」
「あ、リリィ?」
「怠いって、もしかして死帰りしたの?」
ギルドハウスには二人がいた。クナイはリリィの言った言葉から死帰りしたことがわかったようだ。
そのことを聞いたギロスは目を開いて驚いていた。
「おいおい、死帰りしたって……、この辺らに強いモンスターがいたのか?」
「いやぁ、そこらのモンスターじゃなくて、第三のボスにね」
「第三のボスにソロで挑んだの!?」
「へっ?」
何故、クナイがそこで驚くのかはわからなかったのだ。その理由は、ギロスが教えてくれた。
「そういいや、リリィは掲示板を見ないんだったな……。第三のボスはソロ殺しと呼ばれているんだよ」
「ソロ殺し?」
「そう、ソロ殺し。リリィも戦ったなら、その意味はわかるだろう」
「確かに……。ドーラと一緒にやったが、歯がたたなかったわな。つまり、ギロスはもっと数がいたら楽に勝てる相手と言うのか?」
「まぁ、第三のボスは二体だっただろ?」
「は?いや、三体だったよ」
「え、三体?待てよ、精霊と変なウツボみたいなやつの二体だろ!?」
その情報はもしかして、β時代の時のか?
「自分で直接、見たか?今回、戦った時は精霊が二体でウツボが一体と出て来たよ」
「マジか!?β時代のと変わっているな……」
「やっぱり、β時代の情報だったのね。つまり、強化されているか……」
「そうなるな……。三体なら、六人で挑んだ方が確実だな。攻撃方法はどうだったか教えてくれるか?」
「私にも教えてほしいです」
ここでクナイも話に加わった。ある程度はギロスに聞いていたが、三体と増えていたから他に変わっている可能性もあるのだ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
第三のボスの情報をギロスとクナイに渡し終わった私は今、【沈んだ王都】に来ていた。
何故、そんなところにいるというのは…………
「仲間を増やせるか……?」
そう、【サモンテイム】のレベルは50を越えている。それでようやく、二匹目の召喚モンスターを召喚出来るようになったのだ。
それで、この間に戦った敵、【拷問少女】を仲間に出来るか試しに、ここに来ていたのだ。
この間は、イベントの途中だったから、仲間に出来なかったが、今なら……?
何故、この前に仲間に出来なかったのかは、まだ姉であった幽霊の王女に報告と言うイベント進行があったためだ。
もう、それは終わったのでもう仲間に出来る可能性があると考え、王都の中に入った。
「……あ、あれは……」
戦った場所まで行くと、そこには人魂が一つだけで浮いていた。
あれは……、拷問少女?
人魂の上には、【メイの魂】と出ていた。なら、あれが【拷問少女】に間違いない。
「……って、これは仲間に出来るのか?」
『【拷問少女】を仲間にしますか?【Yes/No】』
近付いたら、【殺戮の人形】の時と同じ勧誘メッセージが出ていた。
良かった、仲間に出来るみたいだな…………ん?
勧誘メッセージの後に、まだ続きが書かれていることに気付いた。
『注 仲間にする場合は、〈拷問セット〉が手持ちから無くなります』
え、せっかく手に入れた武器がなくなってしまうの!?
…………少し考えてみたら当たり前のことだった。この武器は元々、【拷問少女】が持っていた物なのだ。
もし【拷問少女】を仲間にするなら、武器は彼女の手物に行く。
「少ししか使ってなかったけど、【拷問少女】が仲間になるなら、仕方がないねっ!」
リリィは【Yes】を押した。アイテムボックスから〈拷問セット〉が消え、【メイの魂】が戦った時と変わらない姿の少女が目の前から現れた。
「お前の名前は『メイデ』だ!」
『初めまして。名前を頂き、有り難うございます!マスター』
メイデと名付け、仲間にした。ステータスはこうなっていた。
メイデ(拷問少女)
レベル11(ランク3)
HP 1000
MP 1000
武器 拷問セット
防備 高級ドレス
だった。スキルは拷問セットを装備したのとあまり変わらないようだった。一つだけ違うのがあり、メイデだったらアイアンメイデンを【浮遊術】無しでも、自由に動かせるようだ。
リリィが戦った時と同じように動けて、自分が拷問セットを使うより、上手く扱うだろう。
メイデと仲間になり、【沈んだ王都】にはもう用はないので、すぐに街に戻った。
これで、数の不利は無くなったはず…………
他に足りないとこはないか、確認した。
「うーん、後は回復薬を作るだけかな……」
リリィは回復薬以外に足りないとこはないとわかり、ギルドハウスで回復薬を作りはじめた…………
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
3時間後、リリィはボスへのリベンジに、扉の前で立っていた。
「【召喚】、ドーラ、メイデ!」
『『マスターお呼びでしょうか?』』
「これから、ボスに挑む。二人には水精を任せるわよ!」
『了解しました!』
『はっ、必ず倒して見せます!』
ドーラはこの前で負けたことが悔しかったのか、やる気は高かった。
メイデも、これが召喚されて、初めての戦いになる。足手まといにならないように、きっちりと命令に答えようと声を張る。
「よし、行くぞ」
再び、あのボスに挑むべく、扉を開いて進む…………