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63.沈んだ王都

はい、どうぞっ!



 イベント報酬は〈拷問セット〉だった。これがリナの言う凄い武器と言うことなのか?

 内容を調べたら、とんでもない物だとわかった。




 拷問セット(譲渡、売却、解呪不可能)


 拷問セットは三種類の武器を同時に装備可能になる。(STRは全てを合計するのではなく、攻撃が当たった武器+自分自身のSTR=合計となる。ただし、INTは装備しているなら、常に合計される)


 効果1……装備している間は一歩も動けなくなる。(【身代わり】以外での移動は不可能となる)

 効果2……装備している間は被ダメージが二倍になる。



〈武器1〉

 呪鉄の処女 STR+150 (破壊不可)

〈スキル〉

 【アイアンスタンプ】、【身代わり】



〈武器2〉

 呪飢の三刃 STR+70(一枚ずつでSTR+70になる)(操作数は3枚)

〈スキル〉

 【三羽刃】



〈武器3〉

 呪雷の椅子 INT+60

〈スキル〉

 【電磁砲】

 【常時電流】




 と言う物だった。まず、呪鉄の処女のスキルを見たら…………



【アイアンスタンプ】

 スキルを発動したら、任意の場所に動かし、落とすことが出来る。

 ※スキルを使ったら消費は無しだが、五秒間動かせない。


【身代わり】

 呪鉄の処女との居場所を変えられる。

 ※スキルを使ったらMP30消費し、30秒間【身代わり】は発動不可になる。



 装備すると、動けなくなるから【身代わり】の使い所に気をつけないと駄目だな。次は……



【三羽刃】

 三枚の刃を融合させ、槍の穂先の形になり、発射スピードは自分のAGIに関わる。威力は三枚分になる。

 ※スキルを使ったらMP80消費し、すぐに動かせるが1分間、呪飢の三刃のSTRが半減する。



 スキルを使うと武器の威力が半減してしまうんだな……。なら、トドメ用に使うのがいいだろうな。最後は呪雷の椅子か…………



【電磁砲】

 雷系の捕縛魔法。弾として打ち出して三メートルほどのドームを作り出して30秒間、動けなくなる。

 ※スキルを使ったらMP200消費し、3分間【電磁砲】は発動不可になる。


【常時電流】

 常に電流を流している。椅子に電流が垂れ流すだけなら、何も消費しない。

 ※電流を放射するのは可能だが、一回にMP10消費する。

 ※直接、呪雷の椅子をぶつけた場合は、ダメージは与えられないが、10%確率で〈麻痺〉を与える。(電気を流しやすい武器で触れた場合も同じになる)



 へぇ、細かく設定してあるんだな……。スキルはわかったけど、STRはややこしいな……


 STRは装備しても常に合計されないで、当たった時だけ(当たった武器+自分自身のSTR=合計)になるようだ。


 まぁ、効果と言うか……、呪いのような物は性能が高いだけに、キツイが上手く使えればいいだけだしな。

 これで大体はわかったし、あとは実戦で馴れていくだけね!


 これで〈拷問セット〉についてのことは終わり、ここの部屋は最後ではなく、まだ先があるようだ。


「ん〜、まだこの先があるんだよね……」


 ドーラは一日経たないと復活しない。もしまたメイデンのような敵が出てきたら一人では勝てないだろう。

 だが、続けてボス戦はありえないし、定番で行けば、この先は守られた宝があると予測出来る。




 悩んでいる時に、またアナウンスが聞こえてきた。だが、いつもと違う声だった。



『あ〜、テステス。そこの少女、聞こえているか?』

「え?」



 いつもと違って呼び掛けるような声だった。ここにはリリィしかいないからリリィに向けての声だと思うが……



『聞こえているか?聞こえているなら返事をしろよ?』

「あ、聞こえていますよ?」

『急にアナウンスを流してすまないな。こっちは開発部の所長だ』

「えっ!?」



 急に開発部の所長からアナウンスが来るとは思わなくて、驚いたのだ。



「え、ええと……。何故開発部の所長が私に……?」

『あー、お前が【沈んだ王都】の稀少イベントをクリアしたと聞いてな』

「それが何か問題が……?」

『大有りだ!!……と叫びたいわな』

「もう叫んでいますが……」



 急に大きな声で叫んできたので鼓膜がビリビリと響いている。



『クリアされるのは問題ないが…………、早過ぎたんだから直接話をしたかったのだ』

「そうでしたか。でも……、早過ぎるんですか?」

『ああ、ここの【沈んだ王都】をクリア出来るプレイヤーは今の時点ではおそらく、お前だけだ』

「えっ、そうなんですか?」

『そうだ。まぁ、他の人はまだこんなイベントを起こすことさえも出来ないだろう』

「……つまり、私はイベントを起こせるだけの何かがあったから稀少イベントが起こったと?」

『そうだ』



 いつの間にか、イベントを起こせるだけの何かを達していたということらしい。でも、その条件とは……?



『このイベントを起こすには、スキルレベルが合計で、ある数値を超えることだ』

「ある数値とは……?」

『ああ。合計Lv.500を超えることだ』

「500……」



 リリィはすぐにステータスを開いて調べてみたら…………






「確かに、500超えていますね……」

『それをクリアしているのはお前だけだ。他の人は300〜400ってとこだな。おそらくスキルの種を沢山手に入れたことが原因だろうな』

「まぁ、他の人よりスキルスロットが沢山ありますからね。さらに私の種族が座敷童子であったこともありますね」

『座敷童子か、初めからスキル上限が11個だったな』



 リリィは座敷童子の固定スキルである【浮遊術】が初めから付いていたから11個からスタートして、今はスキルの種を手に入れ続けたから500を超えていたのだ。



『俺達の予測では第四の街が開かれた後にここのイベントを受けられる人が出ると思っていたんだが……』

「そこにまだ第三の街を開いたばかりなのに、クリア出来るプレイヤーが出てしまったということなのね」

『しかも、『拷問少女』相手に一人と召喚モンスターだけで勝つなんてどんだけだよ!?』

「うーん、確かに強かったしね」



 本来なら、第四の街に進んだ時点で挑むボスということだったが、リリィは勝った。つまり、リリィは……



『ドーラだったか?その召喚モンスターなら強いのはわかるが……、お前が呪いの装備やスキルを上手く使って格上のボスを倒すとはな』

「そうですね。スキルの組み合わせによって上手く使えば私より格上の敵を倒せるとわかりましたし」

『ふふっ、面白いな。話はここまでだ。時間を取らせてすまなかったな』

「いえ、私も開発部の所長と話せるとは思いませんでしたし、色々話せて良かったと思いましたよ」

『そうか。その後の活躍も楽しみにしているぜ……』



 アナウンスはもう流れて来なくなった。

 この先はまだ進める道がある。少し考えてみたが進むことに決めた。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇




 道を進んでいくと、宝箱がポツッと置いてある部屋に突き当たった。


「やっぱり、宝箱か。何が入っているんだろう?」


 宝箱に向かい、開けてみた。中身には…………




 七罪の鍵×1




 が入っていた。


 ん?名前に心当たりがあるんだが…………



 七罪の鍵(譲渡、売却不可能)

 何処かに隠されている、封印された七つの大罪の悪魔を解放する鍵。






 はぁっ!?……まさか、自分が持っている【ベルゼブブ】と同類の悪魔を解放ということか?


 まさか、ここで七罪に関する鍵を手に入れるとは思わなかったのだ。




「……まぁ、いいか。凄い物を手に入れたが、悪魔がいる場所を探すのは後になるだろうな」


 今はまだ序盤に近い。なら、悪魔が封印されているのはまだまだ先だろうと考えたのだ。

 もう道はなくなったので、ここから去ることにした。


 ……しかしなぁ、あの少女の最期の言葉は何だったのか?


 メイデンが最期に残した言葉、頭の中に残りつつ、ここまで進んだ道を歩いた…………




◇ ◆ ◇ ◆ ◇




 街に戻ったリリィはすぐに武器屋に向かった。凄い武器の居場所を教えてくれたリナにお礼を言うためにだ。


「あ、リナ!」

「あら?無事に戻ったみたいね」


 武器屋に行くまでもなく、道の途中で会えたのだ。


「情報をありがとうね!」

「その様子を見るには、手に入れたみたいね」

「うん、あ、あの【沈んだ王都】についてのことを教えてもらえる?」

「うん?」


 リナにメイデンとの戦い、最期の言葉のことを話した…………






「そうでしたか。あの子は無事に解放されたのですね」

「えっ、あの子って……」

「はい。私は昔、王都に住んでいたのですよ」




 ………は?何を言っているんだ……?




 どう見ても20代近くにしか見えない。なら、思い付くことは……


「もしかして……」

「はい、武器屋の娘と嘘をついて、すいません。私はあの子の姉であり、第一王女リナ・イミス・リーディアと言います。ずっと苦しんでいた妹を解放して頂いてありがとうございます……」

「え、あ、まさか、王女だったの!?」

「はい」



 リナ王女の話を聞いたら…………






 今から500年前、【沈んだ王都】の正式名は【リーディア王都】と呼ばれていた。



 王都には二人の王女がいた。

 第一王女リナ・イミス・リーディアと第二王女メイ・イミス・リーディア、17歳と10歳であった。



 あの日が来るまでは幸せな日々だったが、怪しい黒いロープを着た男が、ある物を持ってきたことにより、幸せな日々は終わった…………



 黒いロープの男は夜中に第二王女の寝室に忍び込み、呪われたアイアンメイデンを第二王女メイ・イミス・リーディアに渡されてしまい、第二王女は呪われたアイアンメイデンによって激変してしまった。



 次の日に、親である王様、女王を拷問にて、殺した。その第二王女は拷問することで苦しむ。人を拷問し続け、殺し続けることで自分も苦しむ悪しきな呪いだった。



 狂っている妹が親を殺しているところを見てしまったリナは、恐怖して【リーディア王都】からある場所に逃げたのだった。



 ある場所は願いを叶えると言われている場所。そこでリナは自分の命を代償に妹を解放して欲しいと願った…………






 その結果、王都ごと沈め、妹は苦しみから解放された……



 人がいなければ、拷問も出来ないし、殺すことも出来ない。そう…………



 願いを叶えてたある者は、王都にいる人を全て殺すように沈めたのだった。だが、第二王女はまだ呪われたまま、魂がさ迷うようになった…………



 そのことを知ったリナ王女は当然、憤慨した。リナ王女は妹を助けたかった。解放したかった。

 なのに……、【リーディアの街】にいた人、呪われた妹が死んだのだ。しかも妹は呪われたまま、魂がさ迷っている。



 つまり、まだ解放されてない。そのことを訴訟したが、聞いてくれず、代償としてリナ王女は命を奪われて、死んだ。



 …………【リーディア王都】は地図から消え、リナ王女はこの世界に無念を残し、幽霊として【ウィータの街】によってさ迷うことになった…………









 話を聞いていたリリィは、最期に残した言葉の意味がわかった。


 はぁ、そんなストーリーがあったんだ……。なら、あの時は解放してくれてありがとうと言ったわけか……


「なるほど。それで凄い武器と言いつつ、本当は妹を解放して欲しかったよね?」


 リリィは納得している時に、リナ王女からまたお礼の言葉を言った。


「はい、本当のことを言わなくてすいません。でも、妹は無事解放されたことがわかり、私は嬉しく思います。ようやく逝けます。ありがとうございます…………」


 リナ王女の身体が薄くなり、消えていった…………









 リナ王女が消えた後、リリィは思考に落ちていた。


 ここまでの話がまさか、フラグじゃないよな……?


 話を聞いて、気になったことがあったのだ。


『願いを叶えて王都を沈めた者』



 そして、アイテムボックスから取り出す。



〈七罪の鍵〉



 この二つの繋がり…………









 まさかね…………





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