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56.『逃走者』本選編その5



 二つ目の指令が始まってから、60分経ち、残り30分になった頃…………




 いくつかの指令が出てくる内、『幽鬼』の数が五体に増え、【範囲魔法】が解放されていた。

 人数も五人に減ってしまい、リリィが知っている参加者はカザミが退場し、カリンとギロスはあと一回で退場になってしまう。クナイは上手く逃げまくってダメージは受けてない。

 リリィの方では……






「畜生ぉぉぉぉぉ!!」






ピーピーピー!




『リリィ選手、『幽鬼』からダメージを受けました。あと一回で退場になります』




 リリィは運悪く、二体の『幽鬼』に追われていた所に、障害物がない道で二体共、【範囲魔法】を使われてしまったのだ。AGIが100に落ちているリリィは避けられるでもなく、ついに、ダメージを受けてしまったのだ…………


「まさか、ここで二体同時に範囲魔法を使ってくるとは……」


 『幽鬼』が増え、【範囲魔法】を使われるようになってしまっているのは、一つ前の指令にあるのだ。つまり、一つ前の指令はクリア出来ず、『幽鬼』一体と【範囲魔法】が解放され、二つ前の指令の『幽鬼』も合わせて三体も徘徊しているのだ。

 始めの三体も加えると、今は六体もいるからたまに二体に追われることもあるようになってしまっている。


 くっ、【範囲魔法】を使える『幽鬼』が二体に追われてしまうと逃げ切れない……


 【ベルゼブブ】を使えばいいんじゃないか?と思うかもしれないが、使用時間があと7分しか残っていないのだ。


「まだ30分も残っているのかよ……、これ以上増えると……」


 まだ『幽鬼』が増えると逃げ切れない可能性が高いと考えるリリィ。今はとりあえず、建物の影に隠れるように動くと……




ピーピーピー!




『あれあれ〜、まだ半分も残っているんだ?』



 テレビの画面にウサギの着ぐるみを着たミサが映っていた。



『残っている参加者達は凄く優秀なんですねぇ!30分の時点では2、3人だと予測していたんですから〜!』



 確かに、思ったより多く残っているなぁと思う。



『次の指令を出します!『アイスステージにある〈氷結のティアラ〉を手に入れて、テーマパークステージの広場で待つ私に渡してください☆』です!』



 今回も失敗したら敵が増える指令か?



『クリアしたら、賞品ランクが上がります。失敗したら『幽鬼』が二十体も解放されます!!』



 …………………はぁっ!?二十体ぃぃぃぃぃっ!?



 失敗した方のリスクが高すぎて驚いてしまった。このリスクだったら、残った人は全員、動くしかないだろう。



『制限時間は、残り10分までなので、それまでに広場で待つ私に〈氷結のティアラ〉を渡してくださいね〜』



 もし、失敗したら残った10分間は、【範囲魔法】を使って来る二十六体の『幽鬼』に追われることになってしまう……


 今のでもいっぱいいっぱいなのに、さらに二十体も増えるなんて、勘弁だぞ!?


 リリィはすぐにアイスステージに向かった。今までの指令の中でも時間は20分と、いっぱいあるが、油断せず早めに終わらせることにしたのだ。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇




 リリィがアイスステージに向かって、5分経った。〈氷結のティアラ〉がある場所は、地図に表示されているから迷わずに行けたが…………


「くっ、想像通りかよ……」


 一回目の『魔力の噴水』と同じように『幽鬼』が立っていた。色は新しく解放されて初めて会う緑の鬼だった。

 初めて会う鬼だからどんな攻撃してくるかはわからないのだ。赤い鬼の場合は地雷のような魔法もあったのだ。なら、緑の鬼にも範囲魔法以外に警戒すべきの魔法もあるに決まっている。


「あの祠に近づければ……」


 〈氷結のティアラ〉は祠の中に飾られていた。気付かれずに近付くなんて、難しいとリリィは考えている。もし、さっきダメージを受けていなければ、ダメージ覚悟で突撃出来たが、あと一回ダメージを受けたら退場なのでその案は却下となる。




 他の人がいたら囮作戦が出来るけど、ここまで誰にも会わなかったし……




 一回目の指令ではリリィが囮になって、カリンが鍵を掛けることが出来たんだが、今だにも、他のプレイヤーに会わなかった。つまり、囮作戦も使えない。

 他に出来ることを考えてみたが、思い付かなかった。


「くっ、仕方がない……」


 鬼の死角……はあるかはわからないが、鬼がリリィがいる反対側に向いたら、走り出して祠に向かうことにした。



 …………

 ………

 ……


「い、今の…………えっ?」



 鬼が向こうを向き、走り出そうと思った時、急に鬼が向こうに走り出していた。


 どういうことだ?と思ったら、向こうから声が聞こえた。






「見付かったですっ!?」






 ……あ、クナイの声だ、ナイス!!


 運よく、向こうからクナイが来ていたようで、リリィは心の中でナイス!と親指を立てた。緑の鬼に見付からずに祠に行くことが出来た。


 よし、ゲットしたか。しかし、クナイは大丈夫か…………いや、ダメージは一度も受けてなかったっけな……


 クナイはまだダメージを一度も受けてないことを思い出したから、ほっとくことにした。

 クナイと鬼が行った道を避けて、ミサがいる広場に向かうことにした……








 あと10分も残っている。もうすぐで広場に着くことが出来るリリィだったが、また試練が起こった。




「はぁ……」




 リリィはため息をつき、芝生に隠れながら広場を見た。そこには…………




 赤い鬼、青い鬼、黄の鬼




 がいた。






 ふざけてんのか?難易度高すぎんだろ!!運営ぃぃぃぃぃ!!!






 先程みたいに一体でも大変なのに、三体とかは、無理ゲーだろ!!と大声で叫びたいリリィだったが、グッと我慢した。




 広場にいるだけではなく、ウサギを囲んでいないか……?




 そう、リリィが見た通りにウサギを三角の形に鬼達が囲んでいた。これでは完璧にウサギに近付けない。無策に突撃してもダメージを受けて退場するだけだ。




 いっそ、【ベルゼブブ】で飛んで、上からウサギに〈氷結のティアラ〉を投げ渡してやろうか…………




 とんでもない方法を考えていたが、そっちに飛べる赤い鬼がいるから上空に飛ぶのは諦めた。




「あー……、一人じゃ、無理だ……」




 リリィは一人では限界だと感じた。時間もまだあるので、他の参加者を捜して協力する案に決めた。




 というわけで、広場前から離れて他の人を捜しはじめたのであった…………





次でイベントは終わりになるかも。

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