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54.『逃走者』本選編その3



『ハーイ!指令の時間になりました!!始めの指令だから、とっても簡単だよ☆』



 ミサ……もとい、ウサギがテレビの右下に映っており、テンション高くアナウンスを流していた。他の画面には、指令となる文が書いてあった。



『01:35:00までに観覧車に隠された鍵を見付けて広場にある幽鬼の源である『魔力の噴水』のパワーアップを防げ!!』



 と書かれていた。今の制限時間は01:46:20となっているからあと10分ぐらいしかない。


「始めにしては、厳しくない!?」


 確かに、今から観覧車があるステージに向かって観覧車で鍵を探してから始めに転移された広場にある噴水に鍵をさして幽鬼のパワーアップを阻止するのは、難しいかもしれない。一見にしてはそんなに難しくないように見えるが、残り10分しかないのがキツイのだ。


「急がないと!!」


 『魔力の噴水』のパワーアップをさせてしまうと、幽鬼がパワーアップしてしまい、プレイヤーが生き残れる可能性が減ってしまう。

 リリィは走りながら上空に出る文章の続きを見ていた。そしたらとんでもないことが書いてあった。



『阻止成功したら賞品のランクが上がり、阻止失敗したら、幽鬼が一匹増えて、【範囲魔法】が解禁される』



 やはり、【範囲魔法】は今の時点では使えなかったみたいだな。これは絶対に阻止しないと!



 リリィにとっては、幽鬼が増えるのはキツイが、それより【範囲魔法】を解禁されるのは勘弁して欲しいのだ。普段のスピードなら、避ける自信はあるが、今の状態では、障害物がある時は避けきれない可能性が出てしまうのだ。


 よし、観覧車を見付けた!残りは8分か………



ピーピーピー!



『ガイ選手、『幽鬼』からダメージを受けました。あと一回で退場になります』



 またダメージを受けた人が出たようだ。知らない名前だったので、気にせずに観覧車の近くまで走って行った。


「ん、あれは……」

「あ、リリィちゃん?」


 もう既に着いていたプレイヤーがいた。そのプレイヤーは、知っている顔で、カリンだったのだ。


「鍵は見つかりましたか!?」

「まだよ!さっき着いたばかりだから!」


 カリンはまだ鍵を見付けてないようだ。


「何処に……あ、あれは!」

「あ、あんなとこに!?」


 二人が見付けたのは、宝箱だ。見付けたが、置いている場所は観覧車の中心と言える場所にあった。そこまで行くためのはしごが付いているが、昇って降りるのに、時間がかかりそうだ。


「くっ、私が昇って行くからリリィちゃんはここで待ってて!鍵を投げるから!」


 カリンが昇って鍵を下で待つリリィに投げて渡すつもりだ。それなら降りる時間を稼げるが……


「駄目よ、もし昇っている途中か降りる途中に飛べる赤い鬼が来たらアウトわよ」

「え、赤い鬼が飛べるの?」

「ええ、飛んでいる所を見たわ。攻撃方法はファイアーボールしかないけど、はしごを昇っている途中か降りている途中に攻撃されたら避けられないでしょ?」

「う、確かにそうだけど……、どうするのよ?昇らないと鍵を手に入らないよ」

「早めに使いたくなかったけど、仕方がないわ……【ベルゼブブ】!」

「えっ?ええぇぇぇっ!?」


 リリィは安全に鍵を手に入れるために【ベルゼブブ】を使うことにした。見たことがなかったカリンは驚いていたが………


「行くわね!」

「え、あ、うん」


 時間が勿体ないから説明もせずに【飛行】で直接に宝箱があるところに向かった。


「よし、これならすぐに鍵を手に入るわ!」


 リリィはすぐに宝箱を開けたら鍵が入っていた。簡単に宝箱を開けて鍵を手に入れることが出来たが…………






ピーーーーーピーーーーーピーーーーー!!!






「なぁっ!?」


 急に宝箱から大騒音にアラームが鳴りはじめたのだ。


「まさか、アラームトラップだと言うの!?」


 下で待っているカリンまでも大騒音に鳴り響くアラームが聴こえているようだ。


「やはり、はしごを使っていたら降りている途中に鬼に出くわす可能性があったわね……、でも、私には無駄だったね!!」


 リリィはまだ【ベルゼブブ】のままの状態で飛んで逃げることが出来るから少しの時間だけでカリンのとこに向かって降りることが出来たのだ。

 二人はすぐに観覧車から離れて別の建物の影に隠れた。隠れた瞬間に、赤い鬼が反対側から飛んでくる姿が見えた。


「やっぱりリリィちゃんの言う通りだったわね。もしはしごを使っていたら鬼に出会っていたわね……」

「私は【飛行】を使えたから良かったけど、他の人だったら危なかったかもしれないわね……」


 二人はそう話しつつ、赤い鬼に見つからないように『魔力の噴水』がある広場に向かった。残り4分、鍵を見付けて広場に向かうリリィ達は間に合うのか?








 残り2分、二人は広場の前まで鬼に会わずに行けたが…………


「くっ、なんで青い鬼が……」

「まさか、待伏せされるとはな……」


 『魔力の噴水』の前には青い鬼がいた。あの鬼を引き離さないと、鍵を指すことが出来ない。いや、ダメージ覚悟で突っ込めば、ダメージをもらったら追撃してこないが…………




 一回までしか受けられないなんて、無理して行けないじゃないかよぅ……




 ダメージ覚悟での突撃は出来ない。なら、残った方法は……


「どちらかが囮になるかだね」

「それしかないね……」


 あと1分30秒。囮になる人は回避主体に鬼を『魔力の噴水』から離させる。その隙に鍵を持つものがクリアすればいいのだ。


「囮は私がやるわ」

「……そうね。リリィちゃんの方が回避が上手いものね」


 囮はリリィがやることに。時間はもうそんなにないから決めたらすぐに行動を移した。


「はい、鍵を!」


 鍵をカリンに渡して前に出て、短剣を青い鬼に投げた。


「くっ、すり抜けるのかよ!?」


 短剣はすり抜けてしまったが、こっちに気を向けることに成功した。


「こっちに来いよ!」


 リリィは続けて短剣を投げつづける。短剣は鍛治でスキル上げのために沢山作ってあったからまだ沢山、アイテムボックスに入っているのだ。

 『幽鬼』はダメージを受けないのだが、いつまでも短剣を投げつづけるリリィをうっとうしいと思ったのか、近付いてきた。


 よし、まだこっちに来てもらわないとな……


 リリィは少しずつ後ろに下がりつつ、短剣を投げつづける。


『…………』


 青い鬼はゆっくりとリリィに近付いて、手を挙げてきた。ウォーターボールを発動してこっちに撃ってきた。


「甘いよ!」


 リリィと青い鬼の距離は余裕を持って、魔法を避けられる距離なのだ。だから魔法は当たらず、それに青い鬼も気付いたのか、歩きから走りに変わった。





 予定通り!私はこのまま、逃げてやる!!





 こっちに引き付けることに成功したリリィは隠れているカリンに合図を出した。

 広場から少し離れたら、【ベルゼブブ】で飛んで逃げ出した…………






『ハーイ!ただ今、カリン選手がクリアいたしました!!よって、賞品ランクが上がりました。次の指令が出るまで、精々、生き残ってくださいねっ!!』




 結果はカリンがクリアしたことで敵は増えず、【範囲魔法】も使えない状態に留めることが出来たのであった。喜ばしいことだが、リリィにとってはそうでもなかったようだ。


「くっ、【ベルゼブブ】があと21分だけか……」


 そう、スキルの発動時間が残り21分だけになってしまったのだ。まさか、最初の指令で【ベルゼブブ】を使うとは思わなかったのだ。

 リリィは上空にある制限時間を見る。






『01:33:46』






 まだ90分も残っているのだ。上手く使って行かないと、最終に【ベルゼブブ】無しで逃げ切らないと駄目なのだ。


「はぁ、こんなので大丈夫なのかな……」


 リリィは愚痴を言いつつ、始めの目的である沢山の逃げ道がある場所を探すのであった………





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