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49.『逃走者』予選編◆前半◆

おはよう!

また運営イベントが始まります!


 今日は第2の運営イベントの日だ。ただ今、広場には沢山の参加者が集まっていた。


「うわぁ、多いな!!」

「はぅはぅ……、千人以上もいる……」

「千人以上か、多すぎるわね……」


 『逃走者』に参加者する人が沢山いるので、予選でふるい落とすようだ。


「はぅはぅ……、どうやってふるい落とすのかな……?」


 クナイはリリィの後ろに隠れながらも、話を続ける。


「うーん、始まらないとわからないな」

「ああ、ルールは発表されたが、内容は詳しく書いてなかったな」


 情報源のwiwnでは、こう書かれていた。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇




『逃走者』のルール



1.まず、予選が始まるまでに、今持っているスキルの中から一つだけ決める。この運営イベントでは自分で選んだ一つしか使えないようになります。

※本戦に進んでも、途中で使うスキルを変えることは出来ません。運営イベント中はMPを回復することは出来ないのでご注意を!!



2.戦闘職と生産職との差を埋めるために、HP、AGIは全員が100になります。

※スキルによってAGIだけは上げることも出来ますが、武器や防具の効果では上げることは出来ないのでご注意を!!



3.本戦では、黒服の鬼が追い掛けますが、物理攻撃無効、魔法攻撃無効、状態異常無効となっていますので、倒すことはせずに、逃げるだけに集中した方がいいです。



4.黒服の鬼の攻撃は、物理攻撃、魔法攻撃も全て50ダメージと決まっています。つまり、2回攻撃が当たると退場となります。

※プレイヤーがプレイヤーに攻撃してもダメージを与えられませんのでご注意を!!



5.本戦は2時間やります。2時間、逃げ切ったプレイヤーだけ、賞品が与えられます。



ここからは予選用のルールになります。

※1のルールも予選にも適用します。



6.予選で本戦に進む10人までに絞られます。

予選も本戦と同じように逃げつづけるだけです。敵は本日にて、発表いたします。



7.予選は10人が生き残るまで続けられます。

※予定では1時間と考えていますが、長引くと敵が増えて行動が素早くなります。



この運営イベントは速く動ければいいだけではありません。上手く、頭を使って勝ち残ってください!!





◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 という、ルールになっていた。なんというか、予選の敵は本日に発表されるなんて、何考えているんだ?と思ったリリィだった。


「まず、スキルを決めておかないと参加出来ないな」

「そうね。スキルは何にするか決めた?」


 リリィは【ステップ】にしようかと思ったが、みんなも選びそうで、面白みが足りないから【ベルゼブブ】に決めた。

 【ベルゼブブ】は30分しか使えない制限があるが、予選は出来るだけ使わないで逃げ切ろうと考えている。


「私は【全位歩行】かなぁ」

「ふむ、移動系は【ステップ】しかないしな……」


 地形はまだわかってないが、クナイは【全位歩行】にするようだ。ギロスは戦闘系のスキルばかりで移動系のスキルは【ステップ】しか持ってない。

 ギロスは防御が高いから移動系スキルは少なくてもしょうがないだろう。


「決めたか。あと10分で逃げ回るフィールドに移ってから説明されるようだな」

「うん、説明されている内にフィールドを確認できるね」

「ああ、運営はそこまで考えてフィールドに移ってから説明するんだろうな。そこに気付いているプレイヤーはいるかな?」




 フィールドに移されてから説明されるのは、説明する時間を上手く使えるかが、生き残る道だと三人は考えている。




「まぁ、フィールドだけでなく、説明もちゃんと聞かないとな」

「そうだな、フィールドを確認していて説明を聞いてなかったとならないように気をつけないとな」

「前に話したけど、念のためにフィールドに移される前に手を繋いでおくわよ」

「そうですね!もしかしたらバラバラに移されるかもしれないですし」

「ああ、三人が一緒に移ることが出来たらフィールドを確認するのもすぐに終わるだろうな」

「ええ。でも、手を繋いでもバラバラになるかもしれないわ。その時は生き残れるように頑張りなさい」

「了解」

「頑張ります!」


 時間を見ると、あと20秒でフィールドに移される。

 三人はリリィを真ん中に、手を繋いだ。




 3………2………1………0!!






◇ ◆ ◇ ◆ ◇






「ん、ここは……?」


 プレイヤー達が移されたのは、高層ビルが沢山建っている街だった。まさに、東京の新宿のような場所だった。


「おいおい、リアルすぎんだろ!?」

「凄い……」


 リリィの隣には、クナイ、ギロスがいた。つまり、バラバラにならないで済んだようだ…………



『はーい!ビックリしたぁ?』



 と、声が上からして、空に目を向けると…………



『またまた会いましたね〜!貴方達のアイドル、ミサだよぉ〜〜〜』



 上空の全体にミサの顔が映っていた。前の運営イベントでアナウンサーをしていたAIのミサだった。



『皆さん、こっちを見ていますね?これから予選の説明をしますから、聞いてくださいねっ!!』



『まず、予選の敵なんですが、決戦みたいに襲って来るような人型ではありません!!わかりやすく言えば、予選の敵の名は…………』



 何、人型ではないって……?









『【天の玉手箱】!!』








 はぁっ?【天の玉手箱】だって?



『名称からわかると思いますが、敵は天空から襲ってきます!!いくつかの玉手箱が天空から出てきて、手一本に一人を捕まえます!まさに、ホラーのような手が出てきますともっ!!』



 つまり、敵は上空から襲ってくるから上空を注意しつつ、逃げ回れということだ。



『手に捕まったら5秒後に広場へ転移されます。転移されたらアウトになります!!天空から襲ってくる敵からどうやって逃げ切るのか頭を使ってくださいねー!!では、1分後に玉手箱から手が出てきます。頑張って逃げてねー…………』



 上空からミサの顔が消え、代わりにいくつかの玉手箱が浮かんでいる。


「マジかよ……、上空からって丸見えじゃねぇかよ」

「早く隠れないと!!」

「そうね。敵は手と言っていたが、どうやって認識するんだろう?」


 リリィは疑問を浮かべた。手は人を捕まえるのはわかるが、先に狙われるのはどんなことをした人なのか。

 例えば、動く人、スキルを多く使った人、さ迷う手の近くにいる人、止まっている人など…………

 それぞれの行動が最優先となるのかを先に突き止めないと、ずっと走りまくることになってしまうのだ。スタミナに限りがある人にとっては走り続けるのはキツイだろう。


「まず、建物に入れるか確認しないと!」

「そうだな。まさか、手は透過しないよな…?」

「ホラーみたいな手と言っていたから可能性が高いよぅ……」


 近くにあった扉を開けようとするが…………


「駄目ね……、建物の中に入れないわ。道だけで逃げ回れということね」

「なら、箱からできるだけ離れるか?」

「ええ、今はそうするしかないね……」


 三人は箱から少しでも離れるように、走り続ける。AGIが同じになっているから三人は離れることはなく、ビルとビルの隙間に隠れた。


「そろそろ1分よ!!」






 ………1………0!!



 1分経つと、玉手箱の箱が開いて、透明に近い大きな手が沢山出てきた。


「うげっ、多過ぎだろ……」

「あぅあぅ……」


 隙間から覗くと、玉手箱から20〜30ぐらいの手が出てきた。玉手箱は見える限りだが、5個はあった。


「むっ、全位に広がって2〜3本がこっちに向かっているな」

「あ、手の平に瞳が付いている!!」

「視認されたら襲われるみたいね……」


 視認されないように、気をつけつつ、隙間に隠れていたら…………






「うわぁぁぁっ!?」






 手が何もない所を掴んだかと思ったら、手の中に人の姿が出てきた。

 つまり、その人は【隠密】と言うスキルで姿を消していたが、手には姿を確認出来ていたように、一目瞭然に向かって掴んでいた。


「視認をごまかすスキルは効かないみたいね……」


 リリィは襲ってくる敵は厄介だな……と考えていた。視認をごまかすスキルが効かないというと、何らかの察知能力がその手に備わっている可能性があるのだ。




 リリィ達はあの玉手箱から残り10人になるまで、逃げ切れるのか…………?





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