44.ホーム&ギルド
はい、どうぞ〜。
リリィは【ウィータの街】から【ミディアの街】に移っていた。
攻略はゆっくりでいいや、と考えたから【ミディアの街】に戻ったのだ。
「え、ギルド?」
「はい!ホームを買えば、ギルドを作れるんです!」
今は広場でクナイとゆっくりしていた時に、クナイからギルドのことを話してきたのだ。
「ギルドがあれば、ギルドでの運営イベントに参加出来ますよー。いつやるかはまだわかりませんがね」
「なるほど。先にギルドを持っていれば、後が楽そうですね」
「だけど、ギルドを作るには、ホームがないと駄目なんです。そのホームが100万yenで、カスタムするとさらにお金がかかるんです……」
ふむ、100万yen程度なら払えるな。でも、場所によって違うんじゃ?
「場所によって金額が違うとかはないよね?」
「いいえ、どの街でもカスタムをしないなら、100万yenと決まっています!」
なるほど、ならホームを建てるならあそこだな。
「よし、【ウィータの街】にホームを建てるか!」
「あー、綺麗な景色が見えそうでいいですね。でも、まだ行けないんですよね……」
「あれ、知らなかった?私はもうボスを倒したから行けるけど?」
「もう!?あー、私だけじゃ、勝てないよぉ……」
「なら、一緒に戦わないか?」
「「えっ?」」
クナイがまだボスを倒す実力がないことに嘆いているとき、後ろから声をかけられた。
その人は、リリィが決勝トーナメントで戦ったギロスだった。
「あ、貴方は……」
「おう、ギロスでいいぞ。リリィがもうクリアしたのは驚いたんだが、クナイはまだボスを倒してないよな?なら、一緒に倒しに行かないか?」
「あぅあぅ……」
クナイは人見知り発動中。だが、いつもリリィの後ろに隠れていないが、今はなんとか前に出ている。
「ゴメンね。クナイは人見知りをするからあんな反応なの」
「そうなのか。戦いとかは大丈夫なのかよ?」
「ああ、戦いなら戦いに集中しているから大丈夫よ。ほら、挨拶しなさい」
「あ、あう……は、初めまして、クナイと、言います……」
「ああ、私はギロスと言う。で、さっきの話はどうだい?」
「え、えっと……」
「ねぇ、あのボスは二人で勝てるの?難しいなら私も手伝ってもいいわよ?」
「そうか、それは助かる!水属性は私が買っておいたし、火力は多いほうがいいしな!」
「え?水属性って?」
「は?水属性ったら、防御を下げるために必要だろ?」
えっ、そんなわかりやすい弱点があったの!?
「まさかと思うが……、リリィは水属性なしで勝ったのか……?」
「え、えっ!?リリィ、水属性なしで勝っちゃったの!?」
「え、えっと……まぁ」
「かぁー、なんてな奴だよ……。つまり、防御が高いままで倒したか……、なんてな火力だよ!?」
ギロスが有り得ないような目で見てくる。クナイも口を開けたままだった。
「その情報は、βテスタが掲示板で?」
「もしかして、リリィは掲示板を見ない口か?」
「うん」
「ええと、砂の津波の回避方法は知っているんですか?」
「え、そんなのあったの?」
「「……………………」」
って、そんな回避方法があるなら、クナイに聞いてから挑めば良かった…………
「え、えと、まぁ、リリィですもんね……」
「あ、あぁ……、リリィだからか……」
二人は諦めたような様子だった。
「まぁ、いいや。リリィが来るならあのボスも簡単に終わるだろうな」
「は、はい。よろしくお願いします」
「いいよ、私もこれからPTを集めて挑むつもりだったからちょうど良かったのさ」
「そんな方法があるなら、すぐに終わるでしょうね」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
大ボスに挑んだ三人は、問題なくクリアして【ウィータの街】にいる。
「やっぱり、リリィは目茶苦茶ですよぉ……」
「約束だ。教えてもらおうか?」
約束とは、ボス戦で【ベルゼブブ】を使ったからそのことを詳しく聞きたいと。ボス対戦中に説明するのは無理だから終わってから教えることにしたのだ。
というわけで、説明することに…………
「なるほど……。MVP賞品で手に入れたんだな」
「まさか、砂の津波が魔法類だと思わなかったよ〜」
砂の津波に対して、二人は岩場に隠れて、リリィだけは【暴食】で吸収して防いだのだ。
「短期間で、さらに強くなりやがって!私も負けられないな!」
「まぁ、頑張ってね。それよりクナイ、ホームのことなんだけど……」
「ちょっといいか?」
クナイにホームのことを詳しく聞こうとした時、ギロスが中断してきた。
「二人共、ホームを買って、ギルドを作るんだろ?」
「は、はい。そのつもりでここまで来たのです」
クナイはまだ人見知りをするが、答えられたようだ。
「で、そのことだが、私も入れてくれないか?」
「ふむ、ギロスだったら私はいいけど、前のPTはいいの?」
「ああ、臨時PTだったしな。もしギルドに入ったって、他のPTを手伝うのは駄目とかはないだろ?」
「確かに、そうですね。私達はギルドを作っても、基本的はソロですし、必要な時に組む程度でいいので自由ですよ」
「それでいい。で、クナイもいいか?私も入っても」
「は、はい!大歓迎しますよ」
ギルドを作ったらギロスも入ることに決まった。
「あ、でも100万yenを準備しないとホームを買えないし、ギルドも作れないですよね……」
クナイが思い出したように、言ってきた。
「確かに、その金額はキツイよな……。私は10万なら出せるが、クナイは?」
「うぅっ、3万yenしかないです……」
「残り、87万か。やはり、人数を増やさないと駄目か……」
やはり、すぐに作れないか。と諦めていたギロスだったが…………
「その必要はないわよ。私が全部出すから」
「「えっ?」」
「私達のギルドは、少数精鋭を目指したいし、団員の募集は私がやりたいからわざわざ人数を増やすことはしなくていい」
「ち、ちょっと待て!全部出すとはどういうことだ!?」
「そ、そうですよ!そんなお金を持っているんですか!?」
「あるけど?」
「「…………………」」
二人は口を開けたまま、また黙ってしまった。
「決まりね。クナイ、何処で買うの?」
「え?あ、ふ、不動産があります」
「なるほど。では探してみますか」
「ははっ………、もう驚き疲れた………はぁ〜」
ギロスはもう諦めたような様子でリリィとクナイについていく。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ここは、これからリリィ達のホームとなる建物の前にいる。
「なるほど、ホームは基本、何処も同じようだな」
中身は、一階がリビングで、二階が個人のプライベートルームとなる。
リリィは、カスタムをして、鍛治が出来る所を追加した。後から追加出来るが、リリィはまだお金に余裕があったからすぐに追加した。ちなみに、鍛治場は10万yenプラスとなっている。
「ほぉ、一階のリビングに扉が追加されるんだ〜」
鍛治場はリビングに出来た扉を通れば、鍛治場がある。さらに、鍛治のカスタムを行ったため、【鑑定】をプレゼントされた。【鍛治】を持っているのはリリィだから、リリィが使うことに。
ふむ、これならわざわざ鍛治場に行かなくて済むか。それに、スミスハンマーももらえるなんて、ラッキーだ。
スミスハンマーは、リリィが持っている初心者ハンマーより、成功率が上がる代物だ。
「ねぇ、さっきから黙っているみたいけど、どうしたの?」
「え、えっと……」
「まさか、110万yenをポンと出すなんてどんだけだよ!?と言いたいわ……」
「えっと、ギロス、口に出しちゃってるけど……?まぁ、いいじゃないか。クナイとギロスは新しい武器や防具の更新が必要じゃない?私はこのままでもまだ大丈夫だから二人共、払わなくてもいいと思っただけよ」
それに、お金はまだ余っているし、カリンが【ウィータの街】に来たら増えるし〜
「リリィはそこまで考えて、私達のお金を拒否していたの〜?」
「それだったら、助かるが……」
二人は納得してないようだが、リリィが説得して、最終的には、無理矢理納得させた。
「では、次はギルド名ね!」
「リリィが買ったんだし、リリィが決めてもいいよ〜」
「そうだな、ギルドの方針は、全てリリィに任せるからリリィが決めてもいいぞ」
二人はリリィに名付けを任せるようだ。
「そう?じゃ、遠慮なく決めてもらうね。ギルド名は…………」
「『魔妖伝記』よ!」
こうして、ゲームで初めてのギルドが建てられたのだった……
連絡があります。
リアルで忙しくなり、書く時間が足りないので…………。
投稿日は毎日ではなく、土、日に変更させていただきます。
よろしくお願い致します。