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42.第2の大ボス

はい、どうぞ。



 リリィはソロで、中ボスを倒し終わって、今は大ボスの部屋に向かう扉の前にいた。




 中ボスは、ドラ○もんが喚いて逃げ出すような、一メートルはある大きなネズミが3匹いた。名称は【トリプルチュー】だった。

 名称が『安易すぎねぇ?』と思ったが、結構強かったと思う。

 なにせ、赤、青、茶色ときて、それぞれ異なる魔法を使ってきている。直接攻撃は少なく、素早い動きで魔法の連携を見せてきた。

 赤は火、青は水、茶色は土と威力はそんなに強くはないが、避けにくい状況に動かされるのだ。

 だが、リリィは数分で、その中ボスの癖というより、ローテションの法則を見つけ、一匹に集中して倒していったのだ。【トリプルチュー】は、円動きで赤→茶色→青と、魔法を放ってきたのがわかり、次のネズミを注意しとけば、攻撃は怖くなかった。


 最後に残ったネズミが他のネズミを吸収して、巨大化した身体を使ってきて直接攻撃も混ぜてきたのは驚いたよなー。


 だが、身体が大きくなった分、スピードが落ちていたから簡単に避け、攻撃を加えることができたのだ。

 こういう戦い方で中ボスの【トリプルチュー】を倒したリリィだった。




「ふむ、何が出るか?楽しみだな〜♪」


 バトルジャンキーとも言えるリリィは鼻歌を歌いながら扉に手をかけた。

 扉の向こうは、前みたいなコロシアム風ではなく、砂漠のような場所だった。


「え、砂漠?」


 第2の街の周りには砂漠はなかった。

 いや、よく見ると、さっきは蜃気楼でよく見えなかったが、岩場が所々にあった。

 そして、扉が消えると第2の大ボスであるモンスターがフィールドの真ん中に出てきた。

 その姿はラクダのような形をしていた。だが、ラクダとは異なるとこがある。そのフタコブが火山の火口のようなものが2つも並んでいた。それに口からも湯気のようなものが出ている。名称は【火流の駱駝らくだ】と出ていた。


 運営は面白いモンスターを作ったわね。でも…………やはり、あの名称は安易すぎっんだよ!?

 名称がそのまんまだったから心の中でつっこんでいた。


「まぁ、いいわ……。やるか!」

「ブルゥゥゥゥゥ!!」


 ラクダは鳴き声を発し、火口からファイアボールを作成し、こっちに撃ってきた。


「早い!!」


 中ボスの【トリプルチュー】が放つ魔法とのスピードが違って早かった。リリィは砂場で足をとられるのを煩わしいと思いつつ、【ステップ】で避ける。


「魔法で撃ち込んでくるタイプのボスかしら?」


 ファイアーボールを避けつつ、近付くが…………


「な、消えた!?」


 近付いたら急にラクダが消えていた。リリィは一度足を止めると、横からファイアーボールが来ているのを感じた。


「くっ、いつの間にっ!?」


 横にはラクダがリリィから離れて立っていた。が、またすぐに消えた。


 どういうこと……?瞬間移動?


 ラクダがやっていることを掴めていなかった。瞬間移動のようにパッと消えているわけでもなく、掠れて消えるような感じだった。


「また横から!?なら、こっちも魔法で!【闇の槍】!!」


 リリィは近付くと消えてしまうから仕方がなく、魔法で応戦する。

 ラクダはさっきみたいに消えずに、動いて避けたのだ。距離があったから避けることが出来ていたが、リリィは違和感を感じていた。


 なぜ、さっきみたいに消えない?


 さっきみたいに瞬間移動でも避けられたはずだが、今は自分の足で避けたのだ。そこがおかしいと感じつつ、もう一回、【闇の槍】を放った。


 また自分の足で避けた?なら、さっきのは瞬間移動ではないということか?


 またファイアーボールを放ってきたが、距離もあるので当たらない。リリィはある推測を持って、また近付いてみる。


「また消えた……いや、そこにいるはず!【闇の槍】!!」


 リリィはラクダがさっきまでいた何もない場所に魔法を放った…………


「ブルゥゥゥゥゥ!?」


 ビンゴっ!!やはり、瞬間移動をしたわけでもなく、姿を隠していただけなのね!!


 そう、ラクダは砂漠の熱、地理を利用して、蜃気楼で姿を隠していただけだったのだ。


「そこにいるわね!」


 姿は見えないが、そこにいると、確信していた。と、ラクダは隠れるのを止めたのか、姿を現して、ラクダの周りに湯気を纏まった。


「むっ?」


 強化?いや、違う、ただの湯気のように見えるけど…………


 湯気の正体は掴めないが、そのまま攻撃することにした。〈聖母殺しの剣〉でラクダの胴体に斬り付けた。


「ブルゥゥゥゥゥ!!」

「熱っ!?」


 ラクダは胴体を斬られて体力バーを減らしていたが、リリィの体力も1割減っていた。


 まさか、触れたらダメージを受けるというの!?なら、遠距離で…………


 リリィは近距離での攻撃はダメと考え、【黒太刀】や魔法で攻撃することにした。ただの力押しは面白くないが、自分からダメージは受ける趣味はないので仕方がないと考えた。


「体力もあるみたいだな【魔死のオーラ】!」


 普段は使わないが、体力バーを見ると6本もあるから、使うことにした。


「【黒太刀】!!」


 ラクダに向けて撃つが、ラクダは簡単に当たってくれるわけもなく、避けられた。


「む、この距離じゃ、当たらないのね。これでどう!?」


 リリィは湯気に触れないように気をつけ、近い場所から【黒太刀】を撃ちまくった。ラクダは流石に、近くから撃たれてしまっては、簡単に避けられない。

 ラクダも受けるだけで終わるわけでもなく、ファイアーボールを撃ってきて、たまに蜃気楼で姿を隠してしまう。


 面倒な相手だな…………



◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 さすがに、ミノタウロスみたいにすぐに決着することはなく、30分経ったところで、ようやく最後の1本の半分になった。


 やっとあと半分で終わるか。しかし、あの巨体で避けるの上手すぎるじゃない?それに防御が高いなんてね…………


 リリィは知らなかったが、ラクダは水属性の魔法を撃ち込まれば、湯気が消えて、防御が弱くなることを。

 だから、防御が高いラクダにダメージを与えるのは大変だったのだ。


「ブルゥゥゥゥゥ!!」

「えっ、何これ……?」


 ラクダが鳴いたと思ったら、ラクダの足元に砂が吸い込まれているように集まっていた。


 なんか、ヤバい!?


 リリィは危険を感じ、離れたが、その行動は無駄だった。




「ブルゥゥゥゥゥ!!」




 ラクダの足元の砂が全位方向に津波のようなのが襲ってきた。


「はぁっ!?避けられない!!」


 5メートルの高さもある砂の津波が襲ってきたのだ。リリィは避けるすべもなく、喰らってしまった。






 リリィは起き上がった。今のHPは1だけ。そう、〈菊花の和服〉のおかげで生き残った。だが、またさっきのような攻撃をされたら、リリィは敗北するだろう。


「くっ、あと半分だけなんだ」


 リリィは回復薬を3個ほど飲む。ラクダはそれをさせないようにファイアーボールで攻撃してきたが、リリィは避けながら飲み、体力の半分ぐらいは回復した。

 先程の津波で攻撃されたら意味はないが、HP1でいるよりはマシだろう。


「【黒太刀】!!」


 リリィは再度、ラクダに近付いて攻撃を浴びせるが、ラクダの足元に砂が集まっているのを確認し、リリィは舌打ちをした。


 これでは、ラクダが倒れるよりこっちがやられる。どうしたら…………


 ラクダの方は準備が終わり、砂の津波を放ってきた。




ドバーーーーーーーーーン!!




 リリィはすぐにラクダから離れたが、砂の津波に飲み込まれた…………






「ギリギリセーフだったわ…………」






 これで終わりのはずだったが、リリィは立っていた。蝿の王の証であるドクロの模様を浮かべている羽を生やしてだ。


「まさか、この技は魔法の分類に入っていたとはね。まぁ、助かったけどね」


 そう、砂の津波は土の魔法になる。ラクダの全位方向に発動されてしまっては絶対に避けられないと思うが、考えた運営の人はそんなに非情ではない。ちゃんと回避する方法があったのだ。

 それは、所々にある岩場の影に隠れるだけで良かったのだ。だが、それを知らないリリィは【ベルゼブブ】の【暴食】で無理矢理に、何とかしてしまったのだ。


「返すわ!!」


 リリィは先程、吸収した魔法を発動し、砂の津波がラクダに襲った。


「ブルゥゥゥゥゥ!!」

「トドメよ!!【闇の槍】!!」


 砂の津波を喰らい、あと少しだけ残った体力バーだったが、リリィはすぐさまに魔法でトドメを刺した。




「ブルゥゥ…………」




 【火流の駱駝】は短い悲鳴を残し、光の粒になって消えた。




『おめでとうございます。リリィ様は【火流の駱駝】を討伐いたしました』



『リリィ様は、次の街である【ウィータの街】に行けるようになります』



『では、その後もお楽しみください』



 と、アナウンスが流れ、リリィは第2の大ボスを倒したのであった…………




次回はウィータの街に行きます。

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