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32.運営イベントその3

運営イベントはまだ続きます。


『はい!ミサだよぉ♪決勝トーナメントに進む4PTが決まりました!』


 たった今、Dグループの戦いが終わり、決勝トーナメントに参加する4PTが表示された。



Aグループ『魔砲員』


Bグループ『百鬼夜行』


Cグループ『黒騎士隊』


Dグループ『流星群』



 この4PTが勝ち残り、これから決勝トーナメントを始めることになった。




「ほぇー、何と言うか、PTの名称はそれぞれの個性が出ていますねー」

「やはり、このPTは『百鬼夜行』がピッタリだったわね」

「まぁ…、それは否定しませんが……」

「どうしたかね?化け猫君?」

「だからなんで化け猫なんですか!?」


 いつものようにクナイを弄っていたら、後ろから話し掛けられた。

 リリィは振り向いたが、誰?としか思わなかった。目の前には、黒い鎧を来た騎士のような人で、顔は結構渋い系だった。ヒューマンのようだ。


「急に話し掛けて、すまなかった。私は『黒騎士隊』での臨時PTをやっているギロスと言う者だ。決勝ではよろしく頼むよ」

「あ、はい。私は『百鬼夜行』のリーダーをやっているリリィと言う。貴方のと戦いを楽しみにしていますよ」


 そう、リリィがギロスと戦うのを楽しみにしているのだ。決して、社交のために言ったわけではない。目の前の男は純粋に強いとリリィは考えていた。


「Cグループでの戦いを見ましたよ。貴方はPTでの戦いよりソロの方がやりやすいのでは?」

「ははっ、見抜かれていますね。そう、私は今までボス戦以外はソロでやってきたので、ソロの方が戦いやすいと思いますよ。フィールドの中で会えることを祈っていますよ」


 と言って、リリィから離れた。どうやら、挨拶だけらしかった。


「ふむ、戦ってみたいが、どうしようかな……?」

「え、ええと…、行きました?」


 クナイは人見知りが発動して、リリィの後ろに隠れていて、話には加わらなかったのだ。


「クナイ、聞いてみたいけど貴方一人で『魔砲員』を潰せる?」

「う〜ん、やってみないとわからないけど、多分大丈夫かと」

「よし、クナイは『魔砲員』を任せるとして、『黒騎士隊』と『流星群』は私がやるわ。もし倒したらドーラと一緒に防衛に回ってくれる?」

「それは構いませんが、一人で大丈夫なんですか?」

「ええ、ドーラの出番が無くなるのは心苦しいけど、私が楽しみたいから仕方がない!!」

「なんてな身勝手!?……まぁいいよ。ただし負けては駄目よ?」

「ふふっ、わかっているわ」


 リリィは楽しそうに、決勝トーナメントの始まりを待っていた。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇




 『黒騎士隊』のPTでは…………


「なっ!?それは本気か!?」

「はい、私に任せて下さい」


 『黒騎士隊』のリーダーは驚いていた。ギロス以外のPTメンバーも驚愕の顔を浮かべていた。

 リーダーはギロスが出した案はまさに一か八かのような案だった。


「やれるのか……?決勝トーナメントには、化け物が出るぞ?」

「ええ、わかって言っています。どうか私の案を受けて頂きたい」

「それは……、リリィちゃんと戦うためか……。なら、自分達より先に退場するな。それさえ守れるならその案を受けよう」

「ありがとう。私も初めから負けるつもりはない」


 そうして、『黒騎士隊』の作戦は決まった。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇




 ロードが率いる『流星群』では…………


「え、攻撃には誰も出ないってどういうこと?」

「ああ、まず『百鬼夜行』の対策が必要のはわかるな?」

「え、ええ。それはわかりますが……」


 ミネアはロードが何をしたいのかわからないのだ。


「おそらくだが、ここにはリリィが一人で来る可能性が高い」

「ふむ、確かにBグループでは一人ずつで砦に攻めていたな?」

「さらにリリィは戦いが好きだ。つまり、戦うなら強い奴を選ぶだろう」

「まさか、リリィちゃんが来るから5人PT体勢で迎え撃つと?」

「ははっ、たった一人だけのお嬢ちゃんに自分ら5人をぶつけるのか?」


 ケイとガードンはロードの意図がわかってきたようだ。


「攻撃はどうするんだ?」

「リリィを倒せたら砦に行けばいい。時間は予選より決勝の方が長い」

「リリィちゃんが来てくれるのかな?もしかしたらクナイかドーラかもしれんぞ?」

「いや、それはないだろう。勘でしかないが、クナイは『魔砲員』に行き、リリィは『黒騎士隊』と『流星群』を受け持つだろう」


 それは確かに、勘でしかないが、ロードの真剣な顔に、PTメンバーはその案に頷いた。


「まぁ、一度はリリィちゃんとやってみたかったからいいか」

「もう、仕方がないな。これは貸しだよ?」

「面白くなってきたな!!」

「リリィちゃんはどれだけ持つだろうね」


 ケイ、ミネア、ガードン、カザミと順に言ってきた。


「ありがとう。この大会で優勝するのは『流星群』だ!!」




「「「「おー!!」」」」




 『流星群』はリリィが来るまで、全員で砦で防衛することに決まった。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇




 『魔砲員』のメンバーは…………


「魔法で撃ちまくれば相手は防げない!予選と同じように撃ちまくればいいだけだ!!優勝するのは『魔砲員』だぁぁぁぁぁ!!」




「「「「おー!!」」」」



 メンバーは気合い充分と言うように、攻めまくる戦法でいくようだ。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇




 決勝トーナメントが始まり、『百鬼夜行』は北に配置された。今回のフィールドは、『岩盤の陸地』と同じような場所だった。岩盤の高さが砦より高くて、周りの岩盤が砦を隠していた。

 進む道はあるが、砦までに着くには時間がかかる。まっすぐに砦に行くには岩盤を越えないと行けないようだ。


 むぅ、まず砦に行くまで時間がかかりそうだな。


「私はスキルでまっすぐ砦に行ってきますね」

「まっすぐって、岩盤を越えられるの?」

「はい!【全位歩行】で息を止めている間だけは壁や天井を走ったり歩いたりすることができるよ〜」

「おっ、それは便利だね。それに行動によって発動するスキルもあったんだ?」


 クナイの【全位歩行】は、息を止めている時間だけ発動し、MPとスタミナは必要ない。


「私は先に行きますね〜」


 クナイは息を深く吸い、岩壁に右足をつけ、次に左足をつけた。どんどん1番上の岩盤の頂上まで走っていき、姿が見えなくなった。


「さて、私も普通に道を使って行くか。ドーラ、ここの防衛は頼んだよ」

『了解いたしました』


 リリィも迷路のような岩盤の間の道を浮いていく。迷路のように見えるが、地図には自分の位置と砦の場所はわかっているから迷うことはない。ただ、砦への道が遠くなるだけだ。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇




「ふむ、先にどっちに行こうかな……?向かい側が『流星群』だから先に隣の『黒騎士隊』を攻めようかな……?」


 と浮きながら考えていたら、危険察知が反応し、横へステップした。

 リリィがいた場所に魔法が撃ち込まれた。


「避けただと!?」


 岩場から声が聞こえたと思ったら次の魔法が来た。だが、リリィと敵の距離が少し遠かったため、簡単に避けられた。


「あ、当たらないわ……」

「だから止めようと言ったんだ!!」


 ん?なんだ『魔砲員』のメンバーかよ。


 そこにいたのは、『魔砲員』のメンバーの3人だった。おそらく、この3人は、『黒騎士隊』を攻めに行こうとして、たまたまリリィを見付けたため、魔法を撃ち込んできたのだ。


「逃げた方がいいじゃないか?範囲魔法を避けるような化け物と戦うことはない!!」


 リリィを不意打ちするのを反対した男が逃げようと提案していた。


「確かに、こっちの分が悪いかもな」

「ええ、あんな化け物と戦いたくないわ」


 どいつも、化け物よばりしやがって…………


 リリィは少し怒っていた。敵は魔法を避けられてしまっただけで、相手を化け物よばり。

 単純に魔法を放っただけの攻撃をしただけで、勝てないと決めた相手にいらついていた。


 対策もせずに、何も策もなしに、ただ攻撃しただけの魔法を避けられないわけがないだろうが……


 3人は逃げることに決めたようで、リリィから離れて行った。だが、リリィは逃がすつもりはなかった。リリィは【ステップ】を連続で使って距離を詰めた。


「逃がすわけはないでしょ?」

「なっ!?」


 リリィは一番後ろにいた男の肩を捕まえていた。リリィはここに残る資格はないと決めつけ、〈聖母殺しの剣〉で心臓があるところを刺し、首を跳ねた。


「キャアッ!?」


 続けて、【浮遊術】で石を何個か浮かして女の魔法使いの足を狙って転ばせた。リリィは倒れている魔法使いの腹に剣を突き刺した。


「ぐぅっ!?助け………えっ?」


 女の魔法使いは残った男に助けを求めようとしていたが、男の魔法使いは、魔法を唱えていた。


「まとめて消えろ!!【フレイムバン】!!」


 なんと、仲間ごと攻撃しようとしていた。リリィはとっくに刺していた剣は抜いており、すぐに魔法範囲外に離れていた。



ドバァァァン!!



 結果、仲間の魔法使いだけが退場し、リリィは未だにも、無傷だった。


「普通、仲間ごとやるのかよ……」

「これでも当たらないだと………くそがぁ……」

「やはり、不愉快だわ。貴方は苦しんで退場しなさいな」


 リリィは〈血濡れの短剣〉を浮かして飛ばした。


「ぐぅっ!?こ、これは〈猛毒〉か……」


 そう、〈猛毒〉にした。それだけで終わらずに、〈聖母殺しの剣〉で腕を掠らせて、〈麻痺〉も付いた。これで男の魔法使いはしばらく動けなくなったが、男はリリィから必死に逃げようとしていた。




「な、何をするつもりだ…………」

「クスクス、何をするでしょうか〜?」

「あ、あぁ……く、来るなぁぁぁぁぁ!!」






 岩盤フィールドに悲鳴が1分間も続いた…………




またリリィが怒ってしまいました。


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