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30.運営イベントその2(クナイ、ドーラ編)

はい、今回はクナイとドーラの編です。


 クナイは、リリィ、ドーラと別れて西の砦に向かっている。


「ん〜、大体1.5キロってとこかな?」


 その数字は砦と砦の距離だ。大体でその距離で決まっているわけじゃないが、それだけわかっていればいいのだ。


 私の推測では、あっちの3PTが組みそうですね…………


 そう推測した理由は、リリィ、クナイはソロで大ボスを討伐し、ドーラはボスクラスであることは知れ渡っていることだからだ。


「そうなると、3対18になるんですよね……」


 そう、口を出すと絶望しそうなんだが、クナイはなんとかなるかな?と楽観的に考えていた。


 リリィが簡単にやられるのは想像出来ないし、ドーラも前と姿が変わっていていたから進化したみたいだし〜。


 そう、仲間が簡単にやられるとは思えなかったからだ。


「そろそろ着くと思うけど……」


 地図を見ると、もうすぐで敵の砦に着くところだ。


 周りでうろついている敵はいない……わけないよね!


 クナイは何か動きを感じ取り、前に【ステップ】すると、木に矢が刺さっていた。


 やっぱり待ち伏せしていたかな?


 クナイは木の陰に隠れて、矢が来た方向を見た。そこには、エルフが1人いた。木の上で、クナイが出て来るまで弓矢を構えていた。


「もし出たら矢に撃たれるね〜。他の敵はいないのかな?」


 周りを見るが、誰もいない。エルフみたいに木の上にいる可能性もあるけど、まさか、木の上にエルフ以外の遠距離攻撃をしてくる人がいるとは思えなかった。

 さらにさっき攻撃してきたのは1方向だけ。もし他に敵がいるなら攻撃してきたはず。ならば、今はエルフ1人だけだと判断したクナイ。


「アレを使った方が早いよね」


 クナイはまだ見せてない2つの内のスキルを使うことにした。


 ええと、距離は30メートルかな?なら、少し近付かないと。


 クナイはそう決めて、すぐに木の陰から出て、まず放れた矢を避けた。そしてエルフに少しでも近付くように前へ進んでいく。


「こっちに来てるだと?【分裂】!」


 エルフは、矢を放ち、さらにスキルを発動した。【分裂】によって、1本の矢が10本に増えた。【分裂】は、MP10×増やしたい数となる。矢にしか使えない。


「これなら避けれないだろ!」


 エルフは勝ちを確信していた。ほとんどの矢は広域に放れた。今から避けようとしても遅い。


「無駄ですよ♪【影移動】!」


 クナイは下にあった影の中に落ちた。矢は地面にささり、【分裂】の効果はなくなって1本に戻った。


「な、何処に行った!?」

「ここですよ」

「は?」


 クナイはエルフの後ろにいた。クナイは振り向く隙を与えずに、【暗殺剣】の【刺突】を首の後ろに繰り出した。


「がぁっ!?」

「まだですよ〜」


 【刺突】の効果で、クリティカルヒットが出たが、STRがまだ低いので、一撃で倒せなかったから、さらにまた【刺突】で心臓があると思われる場所に繰り出し、退場させた。


「よし、一人……え?」


 アナウンスが聞こえて、リリィが4人、さらに1人、また1人と退場させたと言うアナウンスがあった。


「リリィはいきなり6人を退場ですか……」


 こっちはようやく1人なのに……トホホ……


 クナイが使った【影移動】は、名前の通り、影から影へ移動が出来る。移動できる距離は、初め、半径10メートルだったが、スキルレベルが上がると、1メートルずつ増えるから今のスキルレベルは5になっており、半径15メートルになっている。距離に関係なく、MPは30消費になる。


 というのがクナイのスキルだ。【影移動】は、【暗殺剣】と【無音歩行】の2つを持っていないとスキル屋に出ない特殊なスキルなのだ。


「はぁ、いいですよ。周りに他の敵はいないみたいだから、砦の方に向かいますか」


 クナイは砦に向かった。砦はすぐに見つかって敵も砦の2階にいるのが見えた。


 2人とは、やはり3PTが組んでいる可能性が高いね。ここで砦にあるフラグに触れたら、ここの1PTは退場になるはず。だったら無理に2人と戦うよりフラグに触れることに集中すべきか?


 クナイは少し考えて、やっぱり2人は自分の手で退場させることにした。クナイはプレイヤーとの対決経験は、少ない。だから、ここで経験を積んでおくのもいいと考えたからだ。


「戦士と魔法使いの2人っぽいね」


 まず、魔法使いを片付けるか。砦の2階は狭そうだしね。


 魔法使いを先に片付けるのは、砦の2階では、魔法を避けるのは難しそうだからだ。砦の2階の広さは四角形のような形になっており、縦横は15メートルほどの広さしかない。


「よし、そう決まれば、行動のみね!」


 クナイは魔法使いの15メートル以内に入るように正面から行った。


「!?クナイか!」

「私に任せて!【アイスストーム】!」


 魔法使いが範囲魔法を使ってきた。だが、距離もあり、さらにクナイはリリィほどじゃないが、AGIは結構高い方だから【ステップ】を使いつつ、横に避けた。


「動きが早い!?」

「慌てるな。こっちは2階だ。階段から上がってくるところを狙えばいい」


 どうやら、階段から上がってくるところに狙うようだ。だが、それは無駄だった。


「残念無念ね〜【影移動】!」

「は?」

「消えた!?」


 クナイは階段を使わずに、【影移動】で魔法使いの影から出てきて、【刺突】を発動した。


「キャアッ!?」


 クナイはまだ固まっていた魔法使いの首に【刺突】を繰り出し、クリティカルヒットを出すことを成功した。魔法使いは先程のエルフと違って防御が弱かったようで一撃で退場させた。


「な、いつの間に上がってきた!?」

「言うと思っているのですか?安心してください。貴方を倒すまではフラグに触れませんから」

「はぁ?なんでフラグを先に狙わない?」

「だって、そうしたらリリィに頑張ったと評価されなそうですし」


 始まる前に約束した抱き着く5分間の権利が欲しいのだ。だから、頑張ったと離れているリリィにわかってもらえるには、アナウンスで誰が敵を倒したのかが1番わかりやすいからだ。さらに敵を無視して、フラグを先に狙っていたらリリィに努力したとは思われないかもしれない。

 クナイはそう判断して、先に敵を倒すことにした。


「なので、私に倒されて下さいな♪」

「あれ、お前は人見知りじゃなかったか?」

「え?そうですが?」


 クナイは何言ってんだ?と言うような目で敵を見ている。


「だったら、何故俺と話せているんだ?」


 敵は時間稼ぎをしている。意味はない話をして。先程のアナウンスで、砦の防衛をする人が1人やられたなら攻撃しに行った人が何人か戻ってくるはずだと考え、このように時間稼ぎを始めたのだ。


「あぁ、簡単なことですよ。敵は人と認識してないからですよ」

「はぁっ!?」

「敵は魔物と考えて討伐していますから、目の前にいるのは喋る魔物とは変わりませんよ」

「何言ってんだ…………え?」

「あら?」


 またアナウンスが流れてきた。その内容は、ドーラが5人を倒したと言うアナウンスだったのだ。


「な、なんだと……」

「むっ、私が討伐数は2人でビリなんですか。なら急いで別の砦にも行かないと【麻痺付加】!」

「え?」


 クナイが急に動いたと思ったら、とっくに腕を斬られていた。


「な、早い!……動かない…?」

「あら、運よく一撃で【麻痺】になってくれたわ」


 【麻痺付加】は、【暗殺剣】の技で、武器に麻痺効果を付加する技だ。麻痺になる確率は20%だが、運よく一撃で【麻痺】になったようだ。

 【麻痺】は20秒間動けなくなる状態異常だ。


「では、私は急ぐので退場してください【四撃死線】!」


 クナイは敵が動けない今の内に、【四撃死線】を発動して4撃を当てた。

「ガァァァッ!?」


 戦士は何も出来ずに退場した。クナイは退場する敵の姿さえも見ずにフラグに手を取った……

 と、アナウンスが『百鬼夜行』がフラグを手に入れたと流れた。

 さらに同時にリリィが2人の敵を退場させ、別の砦でフラグを手に入れたとも流れた…………



◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 ドーラの方では…………


『反応あり。5人の敵がこっちに近づいている』


 ドーラは森の中にいる敵をとっくに見つけていたのだ。しかも、2階にいるからまる見えでドーラはスキルにはないが、感知能力は高い。


『それで隠れているつもりなら、舐められているのかしら?なら、1階にいる分身にやらせて見ようかな?』


 リリィがいないと、ドーラは独り言が増えるようだ。


『行ってきなさい』


 1階にいる分身に命令を出した。分身はわかったように、敵に向かっていく。






「おい、あいつを一人にして良かったのかよ?」

「ああ、あいつのスキルは仲間を巻き込む可能性があるからな。そして、森林フィールドはソロの方が動きやすいと言っていたから任せたわ」


 あいつというのは、弓使いのエルフのことだ。


「たった5人だけであの砦を潰せるのですか〜?」

「それはわからん。『遠見』のスキルで見た限りはリリィちゃんとクナイはいなかった。さらに見たことがない人で同じ顔をした3人がいた」

「あ?3人PTだったはずだ。なら、残っているのはドーラのはずだろ?」

「なら、アレがドーラで残りはスキルで増やしただろうな」

「見たことがないって、お前はドーラを見たことがあるんじゃなかったか?」

「ああ、動画で見たことがあるんだが、人形のような感じの女の子だっただろ?」

「?そうだが…?」


 意味が掴めてないようで、疑問文になっていた。


「あそこにいる女の子は人間っぽいんだけど……?」

「はぁっ!?」

「待って、ドーラが人間みたいに見えるの?」

「ああ、どう見ても人間だぞ。となると……」

「進化した可能性があるか……」

「ゲッ、前のドーラでもキツイのに、進化したなら、どうなんだよ?」

「百パー、強くなっているわね」


 敵にとっては未知の敵になる。それがボスクラスとなると、笑えないのだ。


「なら、別れたもう一つのPTと合流するか?」

「それしかないわね……」


 と、ここでアナウンスが流れた。クナイが弓使いのエルフを倒し、リリィが6人のPTを退場させたというアナウンスだった。




「なっ…!?」

「もうやられちゃったのぉ!?」

「あいつもやられたのか……」

「リリィちゃんだけで6人PTを退場させるなんてどんだけだよ……」

「ということは、合流することが出来なくなったな」

「仕方がない……、俺達だけでドーラをた……」

「な!?」


 途中で言葉が止まったと思ったら、胸から剣が生えていた。後ろには、ドーラの分身がいた。


『……………』


 ドーラの分身は何もいわずに、分身の武器であるコピーの〈猛毒の斧〉で首を斬り、1人が退場した。


「くそ!1人やられた!」

「うおぉぉぉぉぉ!!」


 大太刀を持った男が分身に切り掛かる。だが、分身は避けずに身に受けたが……すり抜けた。


「効かない!?」

『……………』


 分身は大太刀をすり抜けたまま、零距離で【怨霊の波動】を発動し、男をさらに後ろにいた魔法使いの男も巻き込んで喰らっていた。分身はまだと言うように、ぶっ飛んだ2人にコピーの〈ミスリルの剣〉と〈猛毒の斧〉でトドメをさし、退場させた。

 これで残りは2人だけ。

「くそ!ドーラのコピー……いや、分身か?」

「分身まで強すぎるじゃない!」


 分身は言葉を聞きもせずに敵に向かう。


「おそらく、物理無効を持っている可能性があるから魔法を!」


 男は落ち着いて振り抜いてきた剣を盾で受け止め、女の魔法使いに言う。


「わかったわ!【ファイアボール】!」


 魔法を発動し、分身に攻撃したが、避けられた。分身は魔法使いが危険だとわかったのか、魔法使いに向かっていた。


「ヤバい!」

「離れてなさい!範囲魔法を使うから!【ファイアストーム】!」


 魔法を発動したが…………


「えっ、嘘!?」


 急に分身が武器を投げてきた。2本ともだ。

 結果、分身は、魔法を喰らって消え、魔法使いはすぐに武器を避けることが出来ずに2本とも喰らって退場してしまった。




「なんだと……まさか、投げるとは」

『それは私が命令したことだからよ』

「えっ?」




グサッ………




「え、ええ?」

『隙だらけでしたから攻撃させてもらいました。では、退場してもらいますね』


 そこには本体のドーラがいた。今、〈ミスリルの剣〉で心臓を突き刺しており、〈猛毒の斧〉でトドメを刺すところだった。


「くそぉぉぉぉぉ!!」


 ドーラは一人の男の首を切り落とした。


『終わりですか』


 ドーラはそういって自分の砦に戻った。






 その後、リリィとクナイはそれぞれ、フラグを手に入れた。

 残ったフラグはリリィとクナイがたまたま合流したので、一気に攻め込んで1分だけで残ったフラグを手に入れた。




 結果、Bグループは18人の敵を退場させ、全てのフラグを手に入れた『百鬼夜行』が決勝トーナメントに進むことに決まった…………





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