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28.トーナメント対抗戦の前に……ばれた!?

はい、どうぞ!


 あの亀祭りから3日が経って、今は運営イベントが始まる2時間前…………



「ようやく運営イベントだねっ!!」




 クナイはテンションが高かった。やはり、お祭りのような気分だった。

 さらに【ミディアの街】の広場で出店をやっており、まさにお祭りだったから、クナイのテンションが高いのも仕方がないだろう。一緒に来ているリリィの反応とは…………






「もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ…………」






 リリィはクナイの言葉に反応もせずに、屋台で買った焼きそば、お好み焼き、タコ焼き、クレープ、リンゴ飴などをリスごとくに、頬に溜め込むほどに食べまくっていた。


「か、可愛い!!」


 クナイはリリィに反応されなかったことを気にせずに、またリリィに抱き着こうと、飛び込んでいた。だが、リリィは危険を感じて左に動いた。飛び込んだクナイは「ゴブッ!?」と地面をこすっていた。


「なんで、言葉に反応しないのに、抱き着こうとすると、完璧に避けるのですか!?」


 やはり、ダメージは通らず、リリィに文句を言っていた。


「もきゅもきゅ……ごくん。だったら抱き着こうとしなければいいじゃないの?」

「やだやだー!抱き着いてナデナデしたいー!!」


 クナイは子供のように地面でバタバタと暴れる。


 子供かよ!?って15歳なら、まだ子供か……。


「なぁ、抱き着かせない理由はあるのよ……」

「な、なんですか……」


 リリィが、真面目の顔になって話し掛けてくるから、クナイも暴れるのを止めて、言葉を聴き入っている。






「私が狼になってしまうからよ!!」






「な、なんだってー!?」


 リリィは無駄にカッコつけて、ふっと顔をキリッとしていた。食べ物を両手に持ってだけど…………


「なら、仕方がないよね……」


 ん?納得したのか!?自分で言ってなんだが、なんだそりゃ?って思う言い訳じゃねぇのかよ?


 だが、クナイの小さく呟いた一言でリリィは固まることになる。




「そうだよね……、『男』なら仕方がないことですし……」




ピタッ……




 さっき何と言った?聞き間違いじゃないよな?


「え、ええ?クナイ、何と言った?」


 リリィは珍しく、慌てている様子だった。食べ物を落としていたが、気付いてなかった。


「えっ?仕方がないですし?」

「その前!!」


 リリィは声を高めに聞いていたから周りにいた人も何だ?と目を向けてきた。


「いや、プライベートルームに来てくれる?」

「う、うん」


 周りに人がいるのはまずいから、プライベートルームに行くことにした。大会までに時間はまだあるから大丈夫だろうと考えてプライベートルームに入った。


「で、何と言ったの?」

「『男』のこと?」


 やはり、聞き間違いじゃないそうだ。なら、何故、ばれた?


「聞きたいけど、いつからわかっていた?」

「ん〜、初めて会った時からだよ」


 そんな初めから!?周りは私が男だと気付いた様子はなかったが、何故クナイだけがわかったのか?


「では、何故気付いた?」

「え、話しただけで、すぐにわかったよ。それに、たまに男の言葉を使っていたし」

「え、それだけで……?」

「それに、雰囲気が?」

「雰囲気って……もういいわ。では、私をどうするつもり?」

「えっ、どうもしないけど?」


 ……クナイって何も考えてない?なんだか、警戒した私が馬鹿じゃないのよ……


「なら、秘密にしておいて」

「あ、何故男性なのに、女性のアバターでプレイしているの?」

「ん?そうね、初めはバグで女性のアバターになっていたの。やり直しは出来たけど、面白そうだからそのままにしたのよ」

「面白そう?」


 クナイは何故面白いのかわからないようだ。だから、リリィは詳しく教えてあげることにした。






「そう、考えてみて。男性と男性が戦うのを見るより、女性が戦う姿を見るのがいいじゃない!?なんでむさい男が戦う姿を見て楽しまないといけないのか?否よ!!それに、私の身体は少女。悪くみれば、幼女。いかつい男がその少女と戦って勝ち目がなくボロボロにさせるのも面白いじゃない?少なくともプライドはボロズタに出来るし〜。まだまだ理由はあるけど、長くなりそうだから、ここまでにするね」






「リリィの中身は、変態さんですよね?」

「変態で何が悪い!?」

「開き直った!?」

「あぁ、変態で結構さ。その変態がこのゲームの頂点に立ってしまう。悔しい思いをする人々……。それが面白いでしょ?」

「さらに性格が悪いですね?」

「今、気付いたの?」

「いえ、前からでしたね……」


 クナイは諦めたような気分になっていた。


「まぁ、秘密にするのはいいし、それに禁止されていることではないので、大騒ぎにならないでしょうが……、条件が一つあります!!」

「なんだ?」


 リリィはその『条件』と聞いて、警戒するついでに、少し殺気が漏れてしまった。




「す、すいません!!!あの、条件を出させて頂いてもよろしいでしょうか……?」




 初めて出会った時と同じように土下座をしていた。クナイには、今のリリィの顔は般若のような顔に見えていると思う。何せ、殺気が漏れているから。


「聞こう。何を望むかを」

「は、はい!ありがとうございます!!」


 いつの間にか、立場が逆転していた。リリィはまるで魔王のようになっていた。

 さらに、クナイの条件は意外なものだった。




「抱き着かせて下さい!!」




「は?」


 つい、警戒も解いてしまい、殺気もなくなっていた。


 私を男だとわかった上で、抱き着きたいだと?………そういえば、初めからわかっていて抱き着いてきたな……


「わかっているのか?私の中身は男、さらに25歳で年上なのよ。それでも抱き着きたいと?」

「うん!!」

「わかった……。貴女も変態だったということね……」


 リリィは諦めて、トテトテとクナイに近付く。そのクナイは手をワキワキと動かしていた。リリィは危険を感じて足を止めてしまった。


「そのワキワキを止めろ。気持ち悪い」

「気持ち悪い!?」


 クナイは『気持ち悪い』にグサッときたようだ。


「ふぅ、しょうがないわね……」


 リリィは仕方がないと思い、クナイに後ろから抱かせてあげるような感じでクナイの膝に座った。


「ふ、触れてもいいですか?」

「好きにしろ」


 クナイはやったー!と言うように両手を前に回して抱き着く。


「髪が柔らかい〜。抱き込み具合がいい〜」


 こいつ、胸を気にせずに強く、抱き着いてくるな……


「終わりだ」


 リリィは抱き着きの時間は終わりと言うように、回されていた手を解いて立ち上がった。


「ええ〜、もっと〜」

「こいつは……、私が男だと忘れているんじゃないのか?それに、もう大会が始まるよ」


 時間を見ると、もうあと30分になるとこだった。


「もし、イベントで活躍して優勝したら、5分間、抱き着いていいわよ?」

「ほ、本当!?」

「だが、秘密が守られなかったら………わかるよね?」


 また土下座になっているクナイがいた。


「は、はい!リリィの秘密は必ず守りますぅぅぅぅぅ!!」

「よし、行くわよ」

「はい!」


 二人だけの秘密を作ることになったリリィとクナイだったが、切り替えて大会の会場に向かった。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「あ、リリィじゃねぇか!」

「ん?ロードさんじゃないですか。やはりロードさんも参加するんですね」

「ああ、戦うとなるなら、決勝トーナメントになるがな」


 大会の会場に向かう途中でロードに会った。


「そうですね、私はBグループでロードさんはDグループですしね」


 参加するPTは16PTが募集され、ちょうど4で割り切れて、A〜Dグループを4PTずつに分けて勝ち残ったPTが決勝トーナメントに参加できる。

 決勝トーナメントも4PTのバトルロイヤルになり、優勝が決まる。

 リリィPTはBグループで、ロードPTはDグループと決まったようで、お互いが戦うためには、決勝トーナメントに行くしかない。


「もし決勝に進んでも負けないからな!」

「私だって負けませんよ?敵に回る愚かな人には容赦いたしませんからね」

「はは……、こちらも簡単にやられないから遠慮なくやろうぜ」

「はい」


 ふむ、さすがにロードさんか。殺気をちょろっとだけ出したが、動じないし。このイベントは面白くなりそうだね。あ、クナイは……


「あうあう…」


 人見知り発動中でした。いつものようにリリィの後ろに隠れるクナイ。


「戦いが始まったら戦えるのか…?」


 それが心配だった。もし無理なら、自分とドーラだけで戦うことになるんじゃ?とリリィは思っていた。


「あ、はい!戦いになれば戦えますから!」

「そうなの?ならいいけど……」

「お、着いたぞ。」


 目の前には、いつの間にかに大会の様子が見れる大きなテレビのような映像が浮かんでいた。

 と、その時にロードPTの人達がいた。


「あ、リリィちゃんだ!」

「よう、リリィちゃんじゃないか」

「リリィちゃんも参加するんですね」

「がははっ、おらも負けねえからな!」


 というようにあいさつしてきた。大会前で、テンションが高いようだ。


「私だって負けませんよ。決勝トーナメントで会いましょう」


 というように軽くあいさつしていると、浮かんでいた映像が写りはじめた。



『マイクテステス〜。皆様、聞こえていますね?』


 ちらほらと頷く人がいる。


『はい、確認は取れましたので、進めます』


『私はアナウンサーを担当させて頂いているAIのミサと言います。よろしくお願いします』


『では、これから第一回運営イベントの再開をさせて頂きます』




 ついに、第一回運営イベントが始まったら瞬間だった…………




主人公は、変態で性格が悪い人でしたー。

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