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25.鍛治

はい、どうぞ。


 リリィは【死血の城】ではなく、【ミディアの街】にいた。


「スキルの検証は終わったし、これからはどうするかな?」


 ドーラのスキルの検証はもう終わっており、効果や威力は大体掴んだ。


 特に、【霊体分身】は使えるみたいだ。


 ドーラのスキルの一つ、【霊体分身】は、2体までしか分身出来ないが、効果は高い。命令すれば、ドーラに少しは劣るが、高い実力を見せてくれた。HPは100しかないが、当たらなければいいし、分身もスキルが使えると確認出来た。だが、MPも100しかないので、MP50も消費する【怨霊の波動】は2回しか使えない。

 そして、武器は本体と変わらない物を持っていた。防具もドーラと同じだった。

 威力を試すために【腐った死体】と何回か戦ってもらったが、本体は急所を狙わないで2、3回は切れば倒せる。分身は、4、5回は必要だが、体力が多い【腐った死体】にそれだけの攻撃で倒せるなら分身も充分、攻撃力が高いようだ。

 それに、リリィも〈普通の短剣〉を持ってやってみたのだ。弱い武器を持って、他のプレイヤーより弱い攻撃力になったところで攻撃したら、18回でようやく倒れたのだ。

 つまり、おおまかだが、分身でも強いと証明できただろう。


 それに、【怨霊の波動】も試したんだが、さすがにMP50も使うのだから、威力は高かった。リリィの使う【純闇魔法】の【闇の槍】と同じぐらいの威力があった。


 というように、スキルの検証を終わらせて、街に戻ってきたリリィなのだ。


「スキルの検証は終わったし、生産職を何か買おうかな?………あ!」


 宝庫室で見付けた〈呪恨の塊〉のことを思い出した。


「だったら、【鍛治】が一番いいかな?【武器解放】もあるから色々な武器を使えるしな」


 そう思い、スキル屋に行って【鍛治】を買った。さらに鍛治で使う〈初心者ハンマー〉をもらった。8000yenで買えた。


「スキルは手に入れたが、場所が必要だね」


 鍛治は、スキルだけでは何も出来ない。まず、鍛治屋に行って、部屋を借りないと駄目らしい。

 というわけで、他にやることがなかったリリィは鍛治屋に向かった。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「すいませんー、誰かいますか?」

「あん、お嬢ちゃんだと?ここはお嬢ちゃんには危ないぞ!」


 奥から出て来たのは、NPCのドワーフ族の男だった。手にハンマーを持っている。おそらくは作業中だったようだ。


「作業中、すいません。私も鍛治をしたいので、部屋を借りにきました」

「お嬢ちゃんが鍛治をか!?」

「そうですけど、悪いですか…?」

「すまんすまん、ワシはドワーフ族のガドだ。ここでは親分と呼ばれている。部屋を借りたいなら1時間で500yenだ」


 部屋を借りるというか、部屋にいくつかの作業場所があって何人かが使うようだ。


「そうね、3時間借りたいから1500yenを払うね。後、私はリリィです。よろしくお願いします」

「了解したぞ。鍛治についての説明は必要か?」

「はい、私は初めてなので、説明をお願いします」


 ガドは、了解したように、作業場所に案内し、鍛治のやり方を説明してくれた。


 鍛治はまず、材料と道具がないと始まらない。材料は当たり前だが、自分で準備しないといけない。道具はハンマーだけは自分で準備し、後は作業場所にある物を使っても良い。


 まず、材料をインゴットに作り変える。例えば、今持っている鉄の成分が多い〈不純物の鉱石〉を炉にぶち込んで、〈鉄インゴット〉にする。

 初めの鉱石は、全て〈不純物の鉱石〉として手に入れる。何の成分が入っているかは、鑑定してもらわないと、わからない。今回のは親分に手持ちにあった〈不純物の鉱石〉を鑑定してもらったら、鉄成分が含んでいるのがわかった。


「これで〈鉄インゴット〉が出来たな。次はどんな武器を作りたいか決めるんだ。練習として、ショートソードを作ってみな」

「はい!」


 作るのは初心者が良く作るショートソードにすることに。

 〈鉄インゴット〉を炉で溶かして、剣の型を作る。型を作り終わったら、ここからがハンマーの出番となる。


「炉から剣を取り出したら赤い丸がいくつか出る。その中を赤い丸が消えるまで叩く。それを3、4回を繰り返すだけだが、力加減、叩くまでの間隔、叩いた場所の順番によって剣の出来が変わる」

「なるほど、決して、同じ剣は出来ないのですね」

「ああ、STRが同じ剣が出来ても、形が違う、重さが違ったりするんだ」


 その叩く作業を3、4回やって終わりが来たら、光る。そして、出来上がる。このように。



 ショートソード STR+10 〈制作者 リリィ〉



 と、出来上がった。プレイヤーが作ると、制作者の名が出るようだ。


「へぇ、面白いね」

「だろ?あぁ、言っておくが、違う2種類のインゴットや珍しいアイテムを混ぜたりするには、スキルレベルが必要だからな。無理に混ぜようとしても失敗して材料を無駄にしてしまうから、自分の実力をよく考えてやりな」

「はい!教えてくださって、ありがとうございました」


 ガドは構わんといい、最後に今持っている鉱石を鑑定してくれた。全て、鉄だった。


「よし、練習を始めるぞ〜」




◇ ◆ ◇ ◆ ◇



ピッピピーー


「あれ、もうあと3分で3時間?」


 リリィは鍛治に熱中して、出来た武器はこちら。



 ショートソード×5

 鉄の剣×4

 鉄の槍×2

 欠けた剣×2



 が出来た。欠けた剣は、失敗した剣で、STRが2しかない。他のは平均10ぐらいの武器として出来た。

 失敗した理由は、叩く度に、赤い丸は小さくなっていき、叩く場所がズレてしまい、その時に光って〈欠けた剣〉が出来たのだ。


 これはもっと集中しないと、難易度が高いと赤い丸はもっと小さそうだね……


 今の鍛治のスキルレベルは5になっていた。ほとんど初心者が作る武器だったからそんなに上がってないようだ。


 これでは、〈呪恨の塊〉を使うのはもっと先になりそうだわ……


 と、考えていた時に、ガドが来ていた。


「おう、お嬢ちゃん。武器は出来たか?」

「はい、これだけですが」

「おお、初めてでこれだけ出来れば充分だぞ」

「この武器を買い取ってくれるお店はありますか?」

「ここでも買い取れるぞ?」

「そうなんですか。では、全部よろしくお願いします」

「了解した。ええと、1700yenでどうだい」

「はい、よろしくお願いします」


 武器は全部売り払った。あと、ここで武器を研いでもらえるか聞いてみたら……


「出来るぞ。100yen必要だがな」

「これでもですか?」


 リリィは、〈聖母殺しの剣〉と〈血濡れの短剣〉をガドに渡した。


「ぶっ!ま、まさか、呪いの武器じゃねぇのか!?」

「声が高いです!しっ!」


 ガドが高い声を出したせいで、周りで作業をしていたプレイヤーがなんだ?とこっちを注目してきた。元からリリィが入ってきてから、珍しさで注目されていたが、今のでさらに注目されてしまっている。


「あ、すまん。こっちに来てくれ」

「あ、はい」


 注目されてしまったので、奥にあるガドの部屋に行くことに。


「で、これを研いで欲しいんだったな。持っても呪われないよな?」

「はい、装備しなければ大丈夫です」

「お嬢ちゃんはこんな武器を使っているのかよ?」

「そうですが?デメリットはそんなに気にならないですし」

「まぁ、いいさ。呪われないなら、研いでやるよ」

「よろしくお願いします」


 リリィはお願いし、ガドはすぐに研いでくれた。


 耐久性は表示されないが、使うほどに、切れ味が落ちてしまい、威力も少し落ちるので、時々研がなければならないのだ。


「終わったぞ」


 研いでくれた武器を返してもらった。ガドに200yen渡した。


「おー。ピカピカになっている」

「そりゃ、今まで研いでなかっただろ?見てすぐにわかったぞ」

「切れ味が落ちてなかったからまだ大丈夫かな?と思っていたけど、やっぱり時々研いであげたほうがいいわね」

「ああ、そうしとけ」


 材料もなくなったので、鍛治屋を出て材料を集めることに。


 材料を集める前に【死血の城】で集めたドロップ品を売るか。


 リリィはそう決めて、カリンのとこに行くことに。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「あ、リリィちゃんじゃないか。聞いたぞー」

「え?何をですか?」

「鍛治を始めたって?」

「あ、はい。生産職をもう一つやろうかなと思って【鍛治】にしたんです。やってみたら結構面白いですよ」

「そうか、なら私のとこに来たということは材料を買いに?」

「えっ、売っているのですか?」

「少数だがな。第3の街まで行かないと採掘場がないからな、モンスターのドロップ品か宝箱に入っていたのだけだが、売っているぞ」

「か、買います!!あ、その前にこのドロップ品を買い取ってもらえますか?」


 アイテムボックスから沢山のドロップ品をカリンに渡す。


「これは、【死血の城】のドロップ品だね。ふむ、全部で120000yenだよ」

「了解です。よろしくお願いします」


 リリィはドロップ品を売って、〈不純物の鉱石〉をカリンから20個ほど買った。もっと欲しいが、あるだけ全部買うと、他のプレイヤーに睨みつけられてしまいそうだから、足りない分は自分で調達することに。


「では、狩りに行ってきます!」


 リリィはこの〈不純物の鉱石〉を落とす【鉄棒のポンタ】がいる【緑丘の草原】に向かった。


 あと、30個ぐらいは手に入れたらまた明日も鍛治を続けるか!!


 と考えながら「ポンポン、ポンタ。何処にいるの〜?優しく惨殺するから出ておいで〜」と歌を歌いつつ、敵を探し回っていた。

 もちろん、【浮遊術】を使って浮いて進んでいる。


 掲示板を見ていたら、【浮遊術】のスキルはほぼわかっている様子だったから、もう隠す必要はないと思い、今使っているのだ。

 それに、運営イベントではスキルを全て使ってでも、優勝を狙うつもりだ。





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