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23.ソロでの特訓

はい、次話です。

「あ、おはようございます!」


 クナイはリリィを見つけると、笑顔で駆け寄って挨拶してくる。まさに、懐いてきた犬のような…………いや、ハーキャットだから、猫か?


「今日は早いね」

「いえいえ、たまたま早く起きれたので、すぐにログインしただけですよー」

「そうなんだ。これからはどうするかの話なんだけど…………」


 来週には運営イベントがある。リリィはぜひ、参加したいと思っている。そのために何をすべきかはもう考えてある。


「来週に運営イベントがあることは知っているよね?」

「あ、はい!内容はまだ発表されていませんが、参加したいよね!」

「ああ、私も参加するつもり。掲示板ではPT規模の戦闘関係のイベントと予想しているのが多いよね。私もそうだと思う」

「うん、個人では実力が突き抜けている人がいるし、リリィとか。ギルド規模といってもまだギルドはないですしね」


 名指しされたリリィだったが、それは無視して話を進める。


「そう、PT戦になるなら、私とクナイだけで組むとなるけどいい?」

「うん!他の人とじゃ、まだ無理そうですし……」

「そこは努力するしかないけどね……。まぁ、PTでのイベントならコンビで参加することに決まりで、内容が発表されるまではソロで行動したいんだけど、いい?」

「ええっ!?」


 クナイはソロで行動するとリリィから言われ、少し涙目だった。


「なんで、泣きそうなのよ?内容が発表されるまでと言ったんだけど……」

「……理由はあるのですかぁ?」

「あぁ、私はこれからは【死血の城】を攻略しつつ、ドーラをランク3に進化させたいの。レベルも頑張ればイベントまでには進化できると思うの」

「【死血の城】ですか……、確かに私は何も出来なそうですね」


 そう、クナイは魔法での攻撃方法を持ってない。ゴースト系に対してはダメージを与えられずに、リリィの邪魔しかならないのだ。


「そう、だからクナイは何処かで力をつけて欲しいの。【始まりの街】の周りにいる何処かの中ボスをソロで倒せるくらいにはね」

「え、ええっ!!無理無理ですぅぅぅ!!」


 クナイは凄い勢いで手を振って否定する。


「はぁ、クナイは自分に実力があることを気付いてないのね……」

「わ、私に実力が?」

「うん、今まで戦いを見せて貰ったけど、避ける技術は凄く高いわよ?他の人と比べてもね」

「え、そうなの……?」


 そう、今までの戦いでは1、2体同時でも傷一つも受けずに勝ってきたクナイなのだ。1体しか出ない中ボス相手でも戦い方を知っていれば、上手くすれば無傷で勝利を収められるのでは?とリリィは思うのだ。


「スキルの詮索はマナー違反かもしれないけど、言うね。クナイのスキルは、刀、ステップ、投擲、無音歩行の4つだけだよね?」

「えっ、見ただけでわかっちゃったの!?」

「わかったと言うより、推測に近いけどね。やっぱりスキルは4つしか持ってないのね」

「うっ……」


 今まで沢山狩りをしてきたなら、スキルは5、6に増えているはずだが、クナイは4つしか持っていなかった。


「アドバイスとは言えないけど、スキルは早めに手に入れた方がいいわよ?スキルレベルでポイントが上がるこのゲームではね」


 そう、スキルを沢山持っているだけでも、ステータスを上げるポイントを沢山、手に入れることが出来るのだから。リリィみたいに。


「なんで4つしかないのはわからないけど、ポイントを得るために安く売っている生産職を一つ買うなどもありだと思うよ」

「そこまで考えてなかった……」

「なら、アドバイスになったかな?では、聞きたいけど、スキルは1つしか買ってないのにお金が少ないのはどういうこと?」

「ええと……」


 この前、武器屋に行ったとき、11000yenは持っていたが、カリンのとこで売る前は5400yenしかなかった。スキルも1つしか買ってないし、忍者の服は500yen、さらにクナイを見ても高価なアクセサリーなどは付けているようには見えない。

 では、今まで、何にお金を使っていたというのは…………


「喫茶店でケーキを頼みまくっていました……」

「はぁ……」


 クナイの言う通りに街には喫茶店がある。このゲームには食べないとステータスが弱くなったり、死ぬなどのデメリットはない。いつかアップロードで満腹度などが更新されるかもしれないが。

 ここで食べても太ることはないから、心配せずに美味しい物を大量に食べれる。クナイもその口だった。


「まぁ、お金はクナイの自由だからいいけど、そこは自業自得だね」

「はい……」

「とにかく、イベントまでにはスキルを1つ買った方がいいわね」

「そうだね、私は忍者みたいなのを目指しているからどんなのがいいかあったら教えてくれる?」

「ん?忍者ねぇ……」


 そう言われてもね……。スキルを決めるのは本人だし、でも、参考程度なら教えてもいいかな。


「うーん、参考程度だけど、INTが高いなら【忍術】とか?物理攻撃に特化したいなら不意打ちしやすく、急所を狙いやすい【隠密】やクリティカルが上がるスキルとかだね。あるかわからないけど」

「なるほど…、どういう忍者になるかはスキル次第みたいですね」

「そうね。そろそろ私は行くけど、クナイは大丈夫?」

「は、はい。とりあえず、言われた通りにお金を貯めてスキルを買って【始まりの街】の周りにいる何処かの中ボスのソロ討伐を目指したいと思います!!」

「え、言われた通りに実行しなくていいんだよ?これはゲームだから、自分の自由だよ」

「私は、リリィに追いつきたい。リリィが言っていたことが1番の近道だと思いますので、そうするだけです!」

「私に追いつきたいのねぇ、まぁ、クナイが決めたなら私はもう何も言わないよ」

「はい!内容が発表されたらメールを送りますね」

「うん、気をつけてね」


 そう言って二人はこれからソロで行動することに。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 リリィは【死血の城】に着いた。


「よし、【召喚】!」

『マスター』

「今日はここで狩りをする。私はゴースト系を倒すからドーラは物理攻撃が効く【腐った死体】や【スケルトン】は任せるね」

『了解しました』


 【スケルトン】は骨のモンスターだ。前はたまたま出てこなかったが、出てきたらドーラに任せることに。


「むっ、早速か」


 リリィは浮いている火玉のようなのを3個、見つけた。〈普通の短剣〉を出し、【浮遊術】で飛ばして一撃で切り裂いていく。


「うん、操作に慣れてきているな。この調子で先に進んでいくぞ」

『はい、了解しました』


 リリィとドーラはどんどんと奥に進んでいく。途中で【腐った死体】や【スケルトン】が出てきて、ドーラは見つけ次第に、〈猛毒の斧〉で足を狙って持久力を潰し、〈ミスリルの剣〉でトドメを刺していく…………


「おー、アンデットには、〈ミスリルの剣〉が効くなー」

『はい、軽くて使いやすい剣です。ありがとうございます』

「いやいや、仲間なんだから強化するのは普通でしょ?」

『仲間ですか……』


 ドーラは小さく呟いだ。リリィには聞こえなかったようだ。


「ん?何か言った?」

『いえ、ありがとうございます』

「???」


 ドーラは再度お礼を言い、リリィはハテナを浮かべる。


『あ、前方に敵です』

「ん、またゴースト系か」


 リリィはドーラと話している時も浮かしていた短剣を飛ばして倒した。


「それに、まだ中ボスのとこに着かないなー」

『中ボスは一番奥まで行かないと会えません』

「あ、そうか。ドーラは元はここにいたからここの情報があるんだ」

『はい、でも細かい道まではわかりません。中ボスの居場所、宝庫室などの重要な場所までなら……』




 ピタッ…




「待って、何と言った?」

『はい?』

「中ボスと何の場所がわかるって?」

『宝庫室ですが』

「よし!先に宝庫室に行くわ!!案内出来る!?」


 リリィはテンションが上がった。ここの稀少イベントと同様に、wiwnにも情報は載ってなかったから、宝庫室があるとは知らなかったのだ。


「何処に!?」

『あ、はい。確か……』


 ドーラが先頭になって先に進んでいく。リリィは鼻歌を歌いながらドーラについていった。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 宝庫室に向かって歩く5分。そこで、ドーラは立ち止まった。


「ん、扉が三つあるみたいだけど?」

『はい、ここの扉を正しい順番に通れば宝庫室に着きます。だけど間違った扉を開けると、ダメージを受けてここに戻ってしまいます』

「なるほど、ここの扉は聞いたことがあるわ」


 この情報ならwiwnで見たことがあるわ。確か、【開かずの扉】だったっけ?


 この名称の通りに開かないわけではなく、クリア出来た人がいなかったからその名前が付いたのだ。


「始めはたいしたことないダメージだったけど、3つの部屋に続く扉になると、即死に近いダメージを受けてしまい、諦めた人が多かったよね」


 しかも、間違った扉を開けると、シャッフルされて、一回目に開けた扉がハズレとかもある。


「しかも、ヒントもないし、完全に運だよね……」

『その先からは私もわかりません』

「だよねぇ……」


 リリィは困った。宝庫室に進む扉を開けるか、諦めて中ボスの部屋に進むべきか。

 リリィのLUKがカンストしているんだから大丈夫だろ!と思う人がいるかもしれないが、それは間違っている。

 LUKがカンストしていようが、確率は100%ではないのだ。ただ、他の人より運が良すぎるだけなのだ。もし、確率が100%なら、【製薬術】でたまに失敗することはなかっただろう。さらにドロップ品のことも、たまに通常ドロップ品が混ざっている時もあった。

 だから、リリィはわかっているのだ。この世には、100%はないと!!


 LUKについて長く説明したが、この行動にはLUKは関係ないんだ……。LUKは、ドロップ品、ユニーク遭遇率、状態異常発生率などに補正がつくけど、今みたいな状況ではLUKは役に立たない。まさに、リリィとしてではなく、鷹野本人の運といいか、勘で進むしかない!!


「そうね、一回だけ挑戦して、駄目だったら諦めるね」

『はい、了解しました』


 リリィは自分の勘を信じて進むことに。


「始めは……右かな?」


 危険察知にも何も反応はしない。こういうのは反応しないのが普通だろうなと考え、扉のドアノブに手をかける。


「えい!」






「よし、何も起こらないわ」

『当たりですね』

「次からは4択だよねぇ……」


 いっそ、右から一つずつずらして開けていくか?もうそれも勘でさえもないよなー。


「よし、次は右から2つ目の扉!!」


 リリィは迷わず、手をかけてドバっと開けていく。


「あら、当たりみたいだわ」


 次は5択の扉がある部屋になっていた。


『おめでとうございます。あと一回です』

「決まっているわ。次は右から3つ目だから真ん中よっ!!」


 リリィはこの勢いを無くしたくないのか、走って真ん中の扉を開けた!!







 開ける時、目をつぶってしまったが、何も感じない。痛みもない、毒みたいな苦しさもない。リリィはそぉっと、目を開けていくと…………






 部屋の真ん中に一つの宝箱があった。






「や、やった!?ここが宝庫室なの!?」

『おそらく、そうだと思います。間違っていたなら、ダメージを受けて始めの部屋に跳んでいたので』

「そうだね!宝箱の中には何があるかな〜?」


 リリィは宝箱に近付き、開けると…………


「え、何これぇ?」



〈宝箱の中身〉


 スキルの種×1



 これはわかるけど…………



 呪恨の塊×1



 嫌な響きだな。触っても大丈夫なのか?もうアイテムボックスに入っているが……、内容はなんだ?



〈呪恨の塊〉


 様々な怨恨が詰まった塊。呪具の道具を作製する際に必要な素材品。




 …………まぁ、今は必要ないからアイテムボックスのこやしに決まりだな。


「スキルの種も出ただけでもマシか」


 リリィはすぐにスキルの種を使い、メインスキルは13個まで設定出来るようになった。


「ドーラ、もうここには用はないから中ボスがいる所に向かうよー」

『了解いたしました』


 リリィはゴースト系以外の戦闘はドーラに任せて、ステータスを更新した。




ステータス


リリィ


種族 座敷童子ざしきわらし


 HP 425/425

 MP 325/325


 STR  126→151

 DEF  65

 AGI  180

 DEX  39

 INT  153

 MDF  125

 VIT  100

 LUK 9999

 ポイント 0



 金額 672600yen



〈スキル〉


浮遊術Lv.31、武器解放Lv.30、ステップLv.30、危険察知Lv.24、魔屍のオーラLv.22、黒太刀Lv.24、製薬術Lv.27、サモンテイムLv.20、純闇魔法Lv.10


〈称号〉


幸運を司る者、ユニークを倒し者、聖母を殺めし者



〈装備〉


 武器 聖母殺しの剣 STR+90 AGI+50 LUK-50%

 頭防備 輪廻の髪飾り DEF+20 INT+40 スタミナ補正-50% LUK-50%

 体防備 菊花の和服 DEF+15 AGI+20 LUK-50%

 腕防備 なし

 脚防備 草履 AGI+2


 アクセサリー


 その一 スライムの指輪 DEF+2

 そのニ 疾走の指輪 AGI+2

 その三 邪心のロザリオ INT+80 MDF+100 LUK-50%


〈サモンテイム〉


・ドーラ(殺戮の人形) レベル91





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