16.マリアの像
次話です。
【聖母殺しの者】→【聖母を殺めし者】に変えました。
この前のバトルから翌日。リリィは何をしているというのは…………
「はぁっ、まだ自動の機能が出ないのか……?」
リリィは愚痴りながらすり鉢で薬草をすっていた。依頼された〈オレジポーション〉と〈レモナポーション〉を製作していた。
「あと1つぅ……」
スリスリスリスリ………
「完成した!!」
ようやく25個ずつの〈オレジポーション〉と〈レモナポーション〉が完成し、すぐにカリンのとこへ売りに行った。
お金も受け取り、カリンと少し話をしてお店から離れた。
「さて、今日は何をしようかな?」
まだ予定は決まっていなくて、ウィンドウを弄っていた。ステータスを見たら、一つ思い付いた。
「そろそろ強い武器が欲しいな。【始まりの街】にこれより強いのあるかな?」
そう、リリィが装備しているのは〈血濡れの短剣〉。この武器はあるユニークを倒して、手に入れた呪いの武器。
なかなか出会えないユニークがなかなか落とさないレアドロップ品なのだが、リリィは凄まじいLUKな高さで、手に入れることが出来たのだ。
ボスの通常ドロップ品の〈重量の斧〉でさえも、STR+40なのだ。だから【始まりの街】にはこれ以上の武器があるとは思えないが、リリィは試しに探してみることにした。
「武器と言えば、武器屋なんだけど、置いてなそうだなー」
でも、この前、仕立屋でこの呪いの装備〈菊花の和服〉を手に入れたのだから、また裏においてあるとかもありそうだから、行ってみることにした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「店長さんー、この武器より強いのあるー?」
「こ、これは呪いの武器ですか!?」
「そうだけどー?」
「まさか、使っている人がいるとは思ってなかったからな」
おっ、この反応、何かありそうだな?
「もしかして、何かあるのですか?」
「いや、これ以上のはここにはないよ」
「そうですか……」
店長の反応で期待していたんだが、この武器より強いのはないらしい。呪いの武器を見せて来ないのは、ここにはないということだろうとリリィは推測した。
「あ、すまないね。役に立たなくて」
「あ、いえ!大丈夫です」
「そうか?あ、今はこの後の予定はない?ないなら依頼をしたいんだが」
「依頼ですか?」
「ああ、簡単な依頼だ。ここから北にある浜辺の傍にある教会にこの剣を届ける依頼だ。報酬は10000yenを出す」
ふむ、先の予定はないし、請けてみるのもいいかな?北はまだ行ったこともないし。
「いいですよ。請けましょう」
「おおっ、助かる!」
『リリィは武器屋の店長からクエスト依頼を請けました』
……ふむ、NPCからの依頼だと、アナウンスが流れるんだな。
「では、届けに行って参ります!」
リリィはすぐに北へ向かった。街を出て、浜辺までの道にモンスターがいたが、リリィの敵ではなく、全て一撃で切り捨てて、進んだ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
街を出てから10分ぐらい経った。
「ここが教会なんだね………ボロッ!?」
リリィが着いた教会は、ボロボロになった教会だった。その教会には、誰もいないように見えた。
「ノックしても反応がないし……入っちゃっていいのかな?……………すいませんー」
リリィは一応、声をかけて、入ってみる。だが、中には誰もいなかった。
「この剣は誰に渡せば…………あれ?」
店長は何と言った?確か、誰かに渡せではなく、教会に届けることだったはず。
「もしかして、この剣を置く場所が決まっているのか?」
そう気付いたリリィはとにかく、置かなければならない場所を探していた。さらに何かヒントがあるかもしれないから探してみた。
「あ、何か書いてある」
マリアの像の足元に字と窪みがあった。
「なになに……」
『封じられ場所を独りで開いてみよ!』
と書いてあった。ここでリリィは気付いた。
まさか、あの時みたいなイベントなの!?
この窪みは、この剣を突き刺して封じられ場所を解放するということらしい。
「まさか、店長に話しかけたら、このイベントが起きる仕組み?いや、だったら前に起きてもおかしくはなかったはず……」
私より先に話しかけたプレイヤーは沢山いるはずが、何故、私にこの依頼が来た?前に〈普通の短剣〉を買った時は何も起こらなかった。その時、私に何がなかった……………あ!!また呪い関係なのかよ!?
リリィは今、呪いの装備をしている。さらに、店長に呪いの武器を見せている。それがトリガーだったということだ。
「また……戦う可能性が高いわね……」
リリィはそれでもイベントを起こさないという選択はない。
せっかく見つけたし、やってみるか?
リリィはそう決めて、窪みに剣を刺した。そうすると、マリアの像が動いて、後ろに下に降りる階段があった。
「何が出るか……?」
警戒を高めて、階段を進んでいく。だが、階段には何も起きなくて、階段を降り終えたら、部屋みたいな場所があった。
「何も出ない?」
部屋の真ん中まで行くが何も起こらない………と思ったら、通ってきた入口が無くなった。
『稀少イベントが始まります”この部屋の謎”を15分で解け。』
「まさか、戦いじゃなくて、謎解きなの!?」
リリィは思ってなかったことが起きたことに驚いていた。まさか、謎解きがあるとは思わなかったのだ。
『ヒントはこの部屋にある。時間内に謎を解き、ここから脱出すればクリアになります。解けなかったら死が訪れます』
マジかよ!?何もない部屋に何があるというんだよ!!あ、ドーラにも手伝って貰えばいいじゃん!【召喚】!
『マスター』
「よし、ここに部屋の謎を解くためのヒントがあるから探し出せ!」
『了解しました』
マリアの文章に、独りと書いてあったが、召喚モンスターは含まれないそうだ。含まれるなら、召喚出来ていなかったはずだ。
二人はなにもない部屋を探りまくった。すぐに見つけたのは、謎を解いたとき、答えるためのインターホンみたいなものが壁についていた。この部屋の謎がわかったらインターホンに向けて答えを言えばいいのだ。
『マスター、これが怪しいです』
「これは……水?」
あと10分のとこでドーラが怪しいと思うとこを見つけてくれた。
なんで水が?んんー?これだけじゃ、わからないな……。
リリィはわからず、壁に手を付けると、少し冷たかった。リリィはおかしいと感じつつ、地面と比べてみた。
「壁の方が冷たい?」
ドーラが走って他の壁も比べてくれた。あと5分になった…………
『四方の壁、全て冷たいです。それに気になったのですが、ここは何処なんですか?』
「ああ、ドーラにはわからないんだったな。ここは浜辺の傍にある教会…………あ!!」
リリィは、謎を解いたようで、インターホンのような物に向かった。
『わかったのですか?』
「ああ!ドーラの質問で全てのヒントが繋がった!」
リリィは間違えたら何かが起こるかわからないが、覚悟を決めて息を吸って、答える。
「ここの部屋は海の中だ!!」
『正解です。イベントクリアとなりますので、入口は元に戻ります。報酬は教会のマリア像の中にあります』
よっしゃ!!正解したか!
「ドーラ、ありがとう!!」
『いえ、マスターの手伝いが出来て嬉しいです。また何かあればお呼びください』
ドーラはそう言って、魔法陣が足元に現れて、消えた。
「よし、報酬はマリアの像の中にあるんだな」
早速、来た道を戻り、出口の横にあるマリアの像を見ると…………
先程と違い、苦しんでいる顔をしたマリアの像の胸に剣が刺さっていた。
「縁起悪っ!?あ、あの剣は持ってきた剣?」
なんでこういうことに…?と思ったら、階段への入口が消えて、マリアの像が崩れた。さらに刺さっていた剣も、形が変わり、色も黒くなっていた。リリィは崩れたマリアの像に近付くと、黒くなった剣と、もう一つのアイテムがあることに気付いた。
〈イベントクリア報酬〉
聖母殺しの剣×1
邪心のロザリオ×1
うおっ!名前だけでも両方が呪いの装備だとわかる!えっと、剣の効果は…………
聖母殺しの剣 STR+90 AGI+50 LUK-50%
効果1……80%の確率で〈猛毒〉を与える
効果2……20%の確率で〈麻痺〉を与える
〈称号〉
聖母を殺めし者
神に愛された聖人を貫いた凶刃。神に嫌われたただ一本の呪いの武器。
なんで私がやったわけじゃないのに、こんな〈称号〉が付くのよ!?えっと、効果は…………
【聖母を殺めし者】
聖母を殺した者に与えられる称号。基本魔法(火、水、土、雷、氷)と光魔法が使えなくなる。闇魔法の威力が20%強くなる。
デメリットがキツイ!?闇以外の魔法が使えなくなるなんて……。もう一つのアイテムは……?
邪心のロザリオ INT+80 MDF+100 LUK-50%
〈スキル〉
【純闇魔法】
元は神が持っていたロザリオだったが、邪神のもとに移られて、純粋な闇が込められたロザリオ。
このセットだったら、デメリットは思ったより重くはない……かな?いや、そう思いたい!!【純闇魔法】って、【闇魔法】とは違うのかな?
【純闇魔法】
この魔法は人間が作った闇魔法とは違って、邪神が作ったと言われている魔法。闇魔法より強い魔法が使える。
ほおー、普通の魔法と違って強いんだな。
あ、ついでステータスも更新して、装備しておこう。
ステータス
リリィ
種族 座敷童子
HP 240/240
MP 200/200
STR 79→119
DEF 45
AGI 100→150
DEX 18→19
INT 53→133
MDF 25→125
VIT 50→60
LUK 9999
ポイント 0
金額 372600yen
〈スキル〉
浮遊術Lv.18、短剣Lv.20、ステップLv.18、危険察知Lv.10、魔屍のオーラLv.10、黒太刀Lv.15、製薬術Lv.15、サモンテイムLv.3、純闇魔法Lv.1
〈称号〉
幸運を司る者、ユニークを倒し者、聖母を殺めし者
〈装備〉
武器 聖母殺しの剣 STR+90 AGI+50 LUK-50%
頭防備 輪廻の髪飾り DEF+20 INT+40 スタミナ補正-50% LUK-50%
体防備 菊花の和服 DEF+15 AGI+20 LUK-50%
腕防備 なし
脚防備 草履 AGI+2
アクセサリー
その一 スライムの指輪 DEF+2
そのニ 疾走の指輪 AGI+2
その三 邪心のロザリオ INT+80 MDF+100 LUK-50%
〈サモンテイム〉
・ドーラ(殺戮の人形)
リリィは、改めてステータスを見るが……、やっぱりチートだと思った。三桁の数字は、まだ【始まりの街】にいる時点、早過ぎると思う……。
まぁ、手に入れたから考えても仕方がないよな。あ、剣のスキルは、長剣のスキルだったっけ?あとで買いに行かないとな。まず、武器屋の店長から報酬をもらっておかないとな。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
というわけで、武器屋に戻ったのだが…………
「え、前の店長ですか?辞めましたよ」
「えっ!?それじゃ、このクエスト依頼はどうなりますか?」
「あ、書き置きが残っていたな。これを渡せと」
ああ、良かった、ちゃんと報酬は貰えるみたいだ……………あれ、お金じゃない?
〈クエストクリア報酬〉
【武器解放】
なんだこれ?クリックっと!
【武器解放】
全ての武器のスキルが使える。戦いの途中でも念じるだけでも別の武器を出せるようになる。別の武器を出したら前の武器はアイテムボックスに戻る。スキルレベルが上がることで使える技は他の武器のスキルとは変わらない。
また、私に都合のいいスキルだわ……。まさか、私が剣を手に入れることを見越して、報酬はこれになったとか……?店長は何故辞めた?謎ばかり残っているな……。いや、もういいや!!!
リリィは考えるのを放棄した。スキルを手に入れると、【短剣】が消えて、【武器解放】に変わった。スキルレベルは短剣の時と同じのようだ。
「今日はなんか、疲れたからログアウトしよ……」
リリィは今日、色々ありすぎて、精神的に疲れたからログアウトすることにした……
ステータス
リリィ
種族 座敷童子
HP 240/240
MP 200/200
STR 119
DEF 45
AGI 150
DEX 19
INT 133
MDF 125
VIT 60
LUK 9999
ポイント 0
金額 372600yen
〈スキル〉
浮遊術Lv.18、武器解放Lv.20、ステップLv.18、危険察知Lv.10、魔屍のオーラLv.10、黒太刀Lv.15、製薬術Lv.15、サモンテイムLv.3、純闇魔法Lv.1
〈称号〉
幸運を司る者、ユニークを倒し者、聖母を殺めし者
〈装備〉
武器 聖母殺しの剣 STR+90 AGI+50 LUK-50%
頭防備 輪廻の髪飾り DEF+20 INT+40 スタミナ補正-50% LUK-50%
体防備 菊花の和服 DEF+15 AGI+20 LUK-50%
腕防備 なし
脚防備 草履 AGI+2
アクセサリー
その一 スライムの指輪 DEF+2
そのニ 疾走の指輪 AGI+2
その三 邪心のロザリオ INT+80 MDF+100 LUK-50%
〈サモンテイム〉
・ドーラ(殺戮の人形)
謎が簡単過ぎない?と思う人もいると思いますが、【始まりの街】のイベントなので難しくない設定になっています。
あと武器が強すぎると思いますが、呪いの武器を装備してないとクエスト依頼を受けられなくて、普通は依頼をされなくて、強い武器に出会えません。
リリィちゃんは運が良かったのですよ。
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