14.対人バトル!
初めての対人バトルとなります。
【始まりの街】に戻ったリリィちゃんは早速、アイテムを売りにカリンのとこに向かったら…………
「あっ、リリィちゃんだ!」
「本当か!?」
「本当だ!!一緒にPTを組んでくれっ!!」
「ボス討伐を手伝ってくれ!!」
「〈オレジポーション〉と〈レモナポーション〉を売ってくれ!!」
「マイエンジェルリリィちゃぁぁぁぁぁん!!」
周りのプレイヤー達から勧誘や生産依頼を頼まれたり……、最後の台詞はなんだ?と思いつつ、プレイヤー達に囲まれていた。
「な、なんでこんなに集まっているのよ!?」
「あ、リリィちゃん。やっぱり、囲まれたわね」
「あ、カリンさん!助けて!!」
囲まれて身動きが出来ないリリィは、カリンを見付けて助けを願う。
「わかっているわよ。みんな、リリィちゃんから離れなさいよ!怖がっているじゃない!!」
カリンがリリィの周りにいるプレイヤーに向けて怒鳴ると……
「あ、すまん……」
「ついに会えたと思って騒いでしまったわ……」
「怖がらせてすまない……」
というように、皆は顔をバツそうにリリィから少し離れた。
「あの……、助けてくれたのは嬉しいけど、怖がっていませんよ……。ただ困っていただけですから」
リリィはぷーと、頬を膨らましていた。
「ははっ、こう言わないと離れないと思ってな。で、周りの人が言っていたことはどうする?」
「あー、すいませんが、PTはお断りさせて頂きたいのですが……、今はソロでも進めていますし。回復薬は、昨日、カリンさんのとこに売ったのですが……?」
「あ、もう売り切れたわ」
「早っ!?」
「そりゃ、そうでしょ。ここには1万人を超えるプレイヤーがいるんだから」
「そうですよね……」
リリィは思い出した。製品化された数は1万を超えていたことに。
「はぁっ、レシピを渡すので、自分で作ってもらえないかな?」
「あ、聞いておくけど、〈オレジポーション〉のレシピは、オレジの実と薬草と聖水もどきだよね?」
「あれ、知っていたのですか。それで、簡単に作れますよ?」
「「「ええっ!?」」」
「え?なんでそこで驚くのですか?」
「実はね………」
リリィには、何故、皆が驚いているのかはわからないようで、カリンが説明し始めた。
「実はね、〈製薬術〉のスキル持ちの人がさっき言ったレシピで作ってみたが、全員が20回ぐらいやって1回だけ成功して、他は失敗しているの」
「はぁ?」
「原因はおそらく、スキルレベルが低いせいね。スキルレベルが低いため、成功する確率が格段に低いわ」
「なら、何故私はほとんど成功しているの………あ、もしかして!」
「ええ、確率もLUKに当たるわね。だからリリィちゃんはほとんど成功していた可能性が高いわ」
「そうだったんですか……」
「そこで、お願いだけど、他の人が50%の確率で作れるようになるまで、毎日50個を作って売ってくれない?」
「50個ですか……」
50個だと、大体1時間はかかる。自動で作ってくれるなら、もっと早く終わるが、今はまだスキルレベルが低いため、手動でしか作れないのだ。
この依頼を受けると、毎日1時間は〈製薬術〉での回復薬作りになってしまうだろう。
それはリリィにとっては勘弁して欲しいのだ。リリィが困ったような顔をすると…………
「そこを頼む!材料なら俺達が準備するし、〈製薬術〉の人も頑張ってスキルレベルを上げているから」
「大体3日ぐらいでいいから頼む!」
「ああ、3日あれば、次の街に行けると思う。回復のスキルも売っているはず」
「え、だったら、私が買ってカリンさんの所で売ればいいんじゃ?」
「あー、リリィちゃんは知らなかったけ?スキルとかは買ったり捨てることは出来ても売れないんだよ。それに譲渡も不可能ときているんだ」
「えっ、そうなの!?」
「ああ、楽に進ませないためにそうしてあるだろうしな」
「そうなんですか……」
それでさらにリリィが困った顔をすると……
「オイ!ガキが、悩んでんじゃねぇよ!俺達のために作れと言ってんだよ!!」
「はぁっ?」
その声は、今まで囲んでいた人達ではなく、後から来た人のようだ。その人はモヒカンがリーダーのPTのようだった。後ろのPTのメンバーも文句を言いまくる。
「ふん、ガキがたまたまボスを倒せたからって図に乗ってんじゃねぇよ?」
「そうだぞ、俺達はあと1日あればすぐに倒せるからな」
「だからって、無理矢理作らせるつもりなの!?」
カリンがリリィを庇って反論している。周りの人もカリンに味方をして、ヤジを飛ばしているいる。
「ふん、イカサマでボスを倒したんだろ?」
「はん、お前がボスに勝てたなんて信じられないな?チビのくせに」
ピキッ………
「そんなこと………え、リリィちゃん?」
リリィはカリンの後ろから出てモヒカンPTに向き合っていた。
「だったら、貴方達はボスに勝てると?」
「ふん、当たり前だ」
「なら、私と戦いませんか?そっちはPTで構いません」
「なっ、待ってよ!?」
カリンが止めるが、無視して進める。
「はっ、面白え!たった1人で俺達に勝てると?」
「うん、勝てるよ」
「このチビが……」
自信満々のリリィに頭にきたのか、リーダーは青筋を浮かべていた。
『モヒカンPTがリリィにバトルを挑みました。【Yes/No】』
リリィはもちろん、【Yes】を押した。それに、観客も観戦できるようにした。そう、惨殺される姿を見せるために。
「リリィちゃん!なんで受けるの!?しかも、相手は6PTで貴女は1人なのよ!?」
「言ってくれたら手伝ったんだが!」
「そうだよ!今のは相手が間違っているんだから、受けなくても良かったんだよ!」
周りの人が心配して、声をかけてくれる。リリィは、笑顔で言う。
「大丈夫だよ。ムカつくモヒカン達を惨殺してくるだけだから♪」
周りの人はリリィちゃんは笑っているが、怒っていることに気付き、冷や汗をかいていた。
「それに、私の実力を見せるにもちょうどいいしね………」
リリィは笑顔だが、殺気立ちながらPVP専用フィールドの闘技場に送られた。
ここはボスの部屋で戦った場所に似ていた。コロシアム風で、周りには観戦する人が沢山いる。周りの人は、ほぼ、リリィが負けると予測しているだろう。ボスを倒したとはいえ、6人から同時に攻撃されてはたまらないからだろう。まさに、数の暴力。
だが、リリィは、それをひっくり返したら面白そうだなと考えていた。
「ふん、1分で終わらせてやる」
「ふふっ、早く終わらせないよ?」
「はぁ?」
「惨殺するんだから、早く終わったら困るの」
「ふ、ふん!チビが俺達を殺すって?」
「さて、話は終わりよ。あと5秒」
………4………3………2………1………スタート!!
「【召喚】!」
リリィは早速、【ドーラ】を召喚した。私に似た金髪で少女。ボロボロのドレスを着ていて、右手には小斧、左手には鉈を持って、リリィにひざまずいていた。
『マスター』
「おっ、喋れるんだ?」
モヒカンPTと周りの観客は、リリィがモンスターを召喚していたことに驚いているのだ。
『簡単な言葉なら』
「じゃあ、あいつらを惨殺するから酷く殺してね♪」
『了解いたしました』
ドーラが立つと、モヒカンPTは警戒した。
「まさか、モンスターを召喚したのか!?」
「教えるわけはないでしょ♪私は右ね」
『では、私は左で』
リリィとドーラが話している時に、モヒカンPTの後衛から魔法が飛んできた。だが、リリィは右へ、ドーラは左へ凄まじいスピードで避けていた。
「速い!?」
「遅いよ?」
リリィとドーラはもう後衛の後ろまで回っていた。そして、リリィは短剣をドーラは、鉈で後衛を一人ずつ狩った。
「なっ!?」
後衛は一撃で二人も死んだ。
「あれ?弱っ!」
『次は手足を狙いましょうか?』
「そうだね、手足なら、HPの少しは残るでしょうね♪」
『はい』
一撃で死んでもらっては不満なのだから、手足を切り落とすことにした。
「クソが!!」
「遅いね……」
リリィに攻撃したリーダーだったが、簡単に避けられてしまった。
『では足を貰います』
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!」
リーダーの左足はドーラによって狩られてリーダーは痛みで倒れる。部位破損すると、痛みは結構あるのだ。
「チビがぁ!!」
「だから、チビって言うなっ!!」
リリィは【血濡れ短剣】で少し掠らせる。
「ぐぅっ!?」
名前の横を見ると、〈猛毒〉になっていて、少し苦しそうだ。リリィはリーダーと猛毒にかかった人をほっといて、
「あと2人♪」
「ひぃっ!」
「ひゃあぁぁぁ!!」
残った2人に笑って近付くと、2人は逃げ場はないのに、逃げようとしていた。
「はぁ……、ドーラ、もういい、あの2人はいらない」
『了解しました』
リリィは、【魔屍のオーラ】を発動し、逃げる1人に向けて【黒太刀】を放つ。ドーラは残った1人を【霊針】を発動し、突き刺さった。
2人の見たことがないスキルに、さらに観客は驚いていた。
逃げた2人は一撃で死に、残った倒れているリーダーと猛毒の男に近付く。
「ひ、ひぃぃぃぃぃっ!!た、助けてくれ!」
「く、苦しい……」
リリィは命請いをするリーダーにニコッと笑ってやる。そして、こう言ってやる。
「駄目ぇ♪」
『あの男、うるさいので殺していい?』
「待って、あの男なら消していいから」
『了解した』
ドーラは猛毒の男の首を小斧で切り落とした。
「ひいっ!!」
「君にはちょっと実験に付き合ってもらうから」
リリィはそう言って【浮遊術】を使って浮かす。
「な、何を!?」
「ふむ、自分じゃなかったら簡単に高く浮かせるね」
リリィはそう言い、さらに高く浮かべる。コロシアムの限界まで浮かんだリーダー。
「何をするつもりだ!?」
「だから言ったでしょ?実験だって♪落下ダメージはどうなるか知りたいもん」
リリィはリーダーに使っていた〈浮遊術〉を解いた。
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
グチャッ……
「へぇっ、落下ダメージだと、潰れるのもあるんだ〜アハハハハッ!!」
『綺麗ですね。アハハハハハッ……』
コロシアムには2人の笑い声が響いていたが、観客からは声が出ていなかった…………
結果はリリィちゃんの圧勝でしたね。
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