12.イベントモンスター
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「うん、ここが【死血の城】だねっ!」
リリィは、【ミディアの街】からここまで5〜10分くらい浮いて進んできたのだ。
ここまでは、街道みたいな道だったからなのか、モンスターには一度も会っていないのだ。
どれくらいの差があるか、試したかったけど、会えなかったのは仕方がないかな?さて、城で試せばいいか♪
リリィは、墓場の真ん中を通っていた。何故、墓場なのかは、城の前には、テンプレ通りに墓場があったからだ。墓場を通らないと、城に着かないからリリィは墓場を通っているのだ。
「敵は……あ、いた!ゾンビかな?」
「キガァァ!!」
襲ってきたのは、【腐った死体】だった。敵は威嚇をしつつ、こっちに走ってくる。
まずは、【黒太刀】!!
リリィはお試しというように、【黒太刀】を発動した。その攻撃は、敵に当たったが、少し怯んだだけでまた走ってきた。
怯んだなら、ダメージはあるみたいだけど、オークやトレントみたいに一撃とはいかないみたいね。よし、楽しめそうだな!!
リリィは笑いながら【空中ステップ】で敵に近付いて短剣で手を先に落としていく。2本の手が落ちたとこで〈鈍重〉が付いて動きが遅くなったところに首に【二連撃】を放った。
「キガッ……」
リリィはダメージを受けずに敵を倒すことが出来た。だが、リリィは疑問が出来ていた。
思ったより、耐えたみたいだな?もしかして、ここのモンスターは物理耐性があるのかな?それとも、物理耐性がなくて、この基準が普通なのかな?
と、考えていたが、わからないままだった。実際、【腐った死体】はDEFが低いモンスターだが、体力が多いモンスターなのだから、リリィの攻撃をある程度耐えていただけなのだ。
「まぁ、考えても仕方がないかな?でも、私の攻撃は通用しているから、いいや」
考えるのやめて、先に進んだ。【腐った死体】や【腐ったウルフ】も出て来たが、【空中ステップ】+斬るだけでリリィに傷一つもつけられず、消え去っただけだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「よし、着いた!」
リリィは、墓場を抜けて、城の前までに着いた。見た通り、ドラキュラでもいそうな大きくて立派なお城だった。
「確か、ここは中ボスがいるんだよね……」
そう、リリィが戦った大ボスの【激昂のミノタウロス】とは違う中ボスがいるのだ。中ボスを倒しても、次の街に行けるというわけではない。中ボスは、経験値稼ぎのためにいるようなボスなのだ。
リリィはすぐに中ボスを倒すためにきたわけでもないので、もし、中ボスの扉があっても無視するつもりだ。
「ここで軽く力試しね!」
そう、リリィはここに来たのは、力試しが1番の理由だ。あとは、ゴースト系に攻撃が効くか、妖怪系のも見てみたいのもあるが……
「うわっ、迷いそう……」
城の中に入ると、正面は広場のようなもので、扉や道が沢山広がっていた。
うーん、左から順番に行った方がいいかな?迷って帰り道がわからなくなったら死帰りしなくならないなんて、嫌だしね……
リリィの言う死帰りとは、わざとモンスターにやられて街に戻ることだ。だが、死帰りはデメリットがあって、お金が半分になり、生き返ってから1時間はステータスが半分になり、身体が重く感じるようになるらしい。
「よし、左に進み続ければ大丈夫でしょ!!」
リリィは一番左側にあった道に進むことにした。少し進むと……
「おっ、ゴースト系だっ!」
目の前には、火玉みたいなモンスターがいた。名前は【ウィップ】と出ていた。
「名前はどうでもいい!!」
リリィは酷いことを言い、短剣で敵を切り裂いたが……
「ダメ?すり抜けているみたいだわ……」
何度か切り付けるが、全く効いていないように見える。リリィは短剣での攻撃は止めて、少し離れてから【黒太刀】を放った。だが……
「これも効かないんだ……」
【黒太刀】もすり抜けて後ろの壁に当たった。そのスキルも効いていなくて、リリィに体当たりしてきた。
そのスピードは遅いので、敵の攻撃は簡単に避けられるので、気にしていないが、こっちの攻撃が全く効かないのは困った。
「魔法じゃないとダメなのか…………あ、まだ一つあったじゃないか!」
まだリリィにスキルがあるのを思い出したのだ。そう、【浮遊術】だ。さっきまでは【浮遊術】は、【ステップ】との組み合わせて短剣で攻撃してきたから、【浮遊術】で攻撃出来ることを忘れていたのだ。
「あー、ここには石がないな……、仕方がない、短剣を飛ばしてみるか?」
この場に飛ばせる物が短剣しかないから短剣を飛ばすことにした。
「これはどうだ?」
敵に浮かした短剣を飛ばして当てたら……
「一撃!?」
そう、たった一撃で死んだ。【ウィップ】は、物理攻撃……つまり、STRに関する攻撃、スキルは、無効するが、その分、INTの攻撃には弱いのだ。だから【黒太刀】は無効され、【浮遊術】での攻撃は、INTの攻撃でもあるから効いたのだ。
「ふぅ、倒せたか」
リリィは少しホッとし、飛ばした短剣をまた浮かして手に納めた。
待てよ、短剣をずっと浮かして飛ばしたり、戻したり自在自由に動かせないか?それに2本も飛ばせるのか?
また疑問が浮かび、とりあえず短剣をずっと浮かして自在自由に動かせるか試した。さらに〈普通の短剣〉をアイテムボックスから出して2本同時に浮かしてみた。
「むっ、2本同時だと、意識が短剣にいってしまうな。浮かしながら敵の攻撃に意識を向けると上手く狙いが付けないか……?」
いや、難しいだけで、不可能じゃない。もしかして、デメリットがこれなのか?
リリィが思ったデメリットとは、意識が削がれてしまうと、上手く動かせないこと。浮かす数が増えると、脳に負荷がかかる。の二つだった。
まぁ、練習すれば問題ないみたいだな。
リリィは〈普通の短剣〉だけを浮かして、自分の周りをゆっくり回らせて、練習しながら先に進む。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「あ、行き止まりだ…………お墓?」
短剣を浮かしながら別れ道に出ると、全て左を選び、進みつづけたリリィだったが、ここで行き止まりになった。
行き止まりには一つのお墓だけがポツンと建っていた。
「ん、壁に何か書いてあるな?」
『沢山の呪具を装備者よ、挑むならお墓に立ちえよ』
「えっ、ここに…?」
リリィは指示されていた場所に立ってみると…………
パカッ!
「なっ!?」
指示されていた場所に立つと……立った場所が落とし穴になっていた。
「うわぁぁぁぁぁっ!!いきなり落とし穴かよ!?ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
リリィは叫んでいたが、急いで自分に【浮遊術】を使い、もうすぐで地面にたたき付けられるところに、フワッとゆっくりと降りた。
あ、危ねぇ……、使わなかったら落下ダメージを受けていたぞ!?
まだ心臓がドキドキしていると、いつしかのアナウンサーの声が聞こえた。
『稀少イベントが始まります。”殺戮の人形”(キラー・ドール)を倒せ』
「はっ?」
リリィがいきなりのアナウンスに理解できず、ぼうけていると、先程、見た同じような墓が目の前にあって、黒い霧みたいなものが集まると、その中心にいた。
ボロボロのワンピースで様々な武器を持った金髪の少女が。さらに頭の上にバーが3本ある。
「コロスコロス……」
「まさか、コイツを倒せと言う強制イベントなのかよ!?」
叫んでいる時に、右手に小斧、左手には鉈を持ち、こっちに向かってきた。
「くっ、こっちは何も準備してないのに、いきなりイベントが起こってんだよ!?」
叫びながらも、【黒太刀】で応戦するリリィ。
「コロコロ……」
人形は、【黒太刀】を斬るが、相殺出来ず、衝撃を受けて壁までぶっ飛ばされる。その攻撃で、1本目のバーが30%削られていた。
よし、防御は低いみたいだな!【激昂のミノタウロス】よりは弱いかもな。
壁にぶつかっていた人形は痛みはないように直ぐに立ち、泣いた。
「は?」
泣き声に聞こえるが……、涙は出てないで声だけで泣いていた。
「アアアアアアアッ!!」
「声だけ……?」
リリィは何かがあると感じたが、泣き声だけの敵に向けてまた【黒太刀】を発動したが………………………何も出なかった。
「何だとっ!?」
【黒太刀】が発動しないだと!?…………まさか!
リリィは自分の頭の上を見ると、名前の横に〈封印〉があった。
やられた!さっきの泣き声は、スキルを使えなくする〈封印〉にするスキルだったのか!?
「くっ、戦いにくい相手だな……」
これからはスキルなしで敵を倒さなければならないみたいだ。まさに、リリィはピンチと言える場面だった…………
次回に続きます。
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