１１．ボス戦
ボス戦です。
リリィはボス部屋に進む門を開け、中に入ると、先程と違い、コロシアムのような場所に出た。さらに、通ってきた門が消えたかと思ったら……
「ブモモモォォォォォ！！」
コロシアムの真ん中には、門に描いてあった斧を持ったミノタウロスがいた。名前は【激昂のミノタウロス】となっている。
「思ったよりデカイね……」
そう、見た印象はデカイだった。リリィの身長は125センチぐらい。ミノタウロスは、3メートルぐらいはあったからリリィは見上げる形になっていた。
「よし、先手必勝よ！」
リリィはそう言って【魔屍のオーラ】を発動し、短剣を振り抜いて、【黒太刀】をミノタウロスに当てた。
「おっ、少しは減ったわ」
ボスには、普通のモンスターと違って、体力のバーが見えるのだ。ボスのバーは2本立っていた。その2本の内、1本のバーが5％ほど減っていた。
大体5％ってとこか？もしかしたら、ミノタウロスから離れて【黒太刀】あと39、40回は当てれば楽に勝てるんじゃ？
「ブモモモォォォォォ！！」
巨体なのに、思ったより速いな！？
リリィはそう思っていたが、距離があったし、簡単に避けていた。
「いきなり突進か」
リリィは喋りながら、【黒太刀】でダメージを与え続ける。その後も、ミノタウロスの突進、斧の振り回しがあったが、スピードはリリィより遅かったため、全て、簡単に避けていた。
「よし、これで半分！」
バーはあと1本分になっていたのだ。ここまでの時間は10分。
普通のＰＴでも、1本のバーを削るのに、15〜20分はかかるのだ。斧の振り回しでなかなか近づけないし、魔法耐性もあるから魔法も効きにくいのだ。だが、リリィの【黒太刀】は、スキルであって魔法ではないのだ。さらに【黒太刀】はSTRの強さで威力が変わるため、遠距離攻撃でも威力が高いのだから10分で1本のバーを削れたわけだ。
「ブモモモォォォォォ！！」
「むぅっ？」
ミノタウロスが叫んだかと思ったら、赤いオーラみたいのがミノタウロスを包んでいた。バーがあと1本になったから発動したのだ。
もしかして、【魔屍のオーラ】みたいなものか？ん、バーの横に〈憤怒〉があるぞ？
「ブモモモォォォォォ！！」
ミノタウロスは斧を振り上げ、地面に当てると、先程よりクモの巣のようにひび割れが広がった。
「威力が上がっているな？」
そう、〈憤怒〉は状態異常の1つであり、被ダメージが5％増えるが、STRが10％上がるものだ。
「威力が上がろうが、今までと同じように攻撃すればいいだけ！」
先程と同じようにミノタウロスから離れて【黒太刀】を放つ………
「ブモッ！」
「なぁっ！？」
ミノタウロスは黒い刃に合わせて斧を振り回していた。そうしたら、黒い刃が相殺されていた。
マジかよ。【黒太刀】は相殺出来たんだ……。うーむ、STRが上がったからか？ということならSTRは私と同じぐらいだから相殺出来たと考えた方がいいわね。
「あー、仕方がないわね。近づいて斬り殺すか」
もう【黒太刀】な遠距離攻撃は当たらないだろうと考え、近距離で斬ることにしたのだ。
「威力が上がってもスピードは変わらないんじゃ、当たらないわよ」
リリィは自前のスピードで撹乱させて、ガリガリと削っていくと………
「ブモッ！？」
急にスピードが鈍くなり、ミノタウロスの顔色が悪くなったように見えた。理由は、上のバーにある横を見たらすぐにわかった。
〈猛毒〉に〈鈍重〉ね。猛毒はわかるけど、鈍重は、動きが鈍くなるで間違いないわね。それにこの武器は私に合っているわね…………
そう、今みたいにスピードで撹乱しつつ、攻撃手数を増やしていけば、いつかは〈猛毒〉、〈鈍重〉が出て動きが鈍くなってリリィは避けやすくなり、さらに攻撃の当たる回数が増えていく。そして、ついに…………
「ブモォッ……」
体力バーは2本とも、真っ白になり、ミノタウロスは倒れて消えた。
『おめでとうございます。リリィ様は【激昂のミノタウロス】を討伐いたしました』
というようなアナウンスが聞こえてきた。
『リリィ様は、次の街である【ミディアの街】に行けるようになります』
おっ、私だけ先に進めるみたいだな。
『では、その後もお楽しみください』
アナウンスはそう言うと目の前に扉が現れた。その扉を通ると、もうここは【ミディアの街】にいた。
「へぇっ、ここは始まりの街と違った雰囲気があるな……」
うろうろと歩くと、広場みたいな場所に出た。そして、広場の真ん中にある石に気付いた。
なんだそりゃ？ええと、ボス討伐した者は10ＰＴまでの名前をこの石に残されるんだって？
リリィはまさか、と思い、最初のボスのとこを見ると……
【激昂のミノタウロス】を討伐し者
１．リリィ（ソロ） 〈00：19：26〉
２．
３．
４．
５．
６．
・
・
・
・
となっていた……。
あー、やっぱりかぁ。もう目立つことは決まりか……………。はぁ、考えても仕方がないか。次は何をするか？ここはプレイヤーが全くいないしな。……あ、ドロップ品を確認しないと！えっと…………
〈ソロ討伐ボーナス〉
スキルの種×1
〈ノーダメージボーナス〉
エクセサリー×1
〈討伐ドロップ品〉
重量の斧×1
ミノタウロスの肉×5
ミノタウロスの角×3
ミノタウロスの蹄×3
重量の斧は普通の重い斧で、STR+40だった。
ドロップ品はまだわかるが、〈ソロ討伐ボーナス〉のスキルの種は凄いものだな……。エクセサリーも初期から出るものじゃないだろ！？
〈スキルの種〉
スキルスロットを1つ増やせる。
〈エクセサリー〉
HPとMPを全回復する。
と言うような効果だった。リリィは早速、〈スキルの種〉を使ってスキルスロットを増やした。これでメインのスキルは、12個になった。エクセサリーはアイテムボックスに入れておいた。いつ使うことになるかはわからないが…………
とりあえず、その先にあるwiwnで見た【死血の城】に行ってみようと思う。ゴースト系に攻撃が効くか試したいし、私みたいな妖怪系のモンスターがいるなら見てみたいし♪おっ、街の中でも〈浮遊術〉を使えるんだ〜。
ここの街なら、まだリリィしかいないから人の目を気にせずに〈浮遊術〉を使えるのだ。
その先のモンスターはさらに強くなるが、リリィはピクニックと同じように歌いながら〈浮遊術〉で浮いて進んでいる。
またリリィのことで掲示板で騒がれていることを知らずに…………
とある掲示板にて。
【雑談スレ・リリィ編◆１◆】
1．リリィちゃんのことを注目している人が多いので、それ用のを建てておきました。
2．知っているか！？
3．広場での石みたいな奴だろ！？
4．ああ！前は無かったのに、急に現れたんだろ？
5．それはいい。重要なのはそこじゃない！中身を読んだか！？
6．ああ……、信じられないのを見た気分だわ……。まさか……
リリィちゃんが、【激昂のミノタウロス】をソロ討伐したなんて……
ありえなすぎて、ＧＭに聞いたぐらいだったわ！！
7．＞＞6で、本当のことだっただろ？
8．＞＞7ああ、しかも、ＧＭに「そんなことだけのために連絡をすんな」と怒られた……
9．そりゃ、そうだろうな。しかも、討伐時間が19分26秒って、どんだけだよwww
10．確か、βテスターの時はＰＴで挑んで、早くても30分くらいはかかったよな……？
11．ああ、斧の振り回しで近づけないし、魔法耐性も高いから全く効いてなかったよな……。
12．でも、リリィちゃんはソロで20分以内に倒しているよな……。
13．リリィちゃんだけの技や攻略方法があったとか？
14．あー、それもあるかもしれないが、わからないことを考えても仕方がないよな。
15．それはそうだな。今は次の街に行けるのはリリィちゃんだけか？
16．そうだな。ボスを倒さないと、次の街に行けないよな。生産職を極める人には厳しいよな。
17．ああ、護衛してボスを倒さないと職人を次の街に入れられないよな。
18．だったら、リリィちゃんに頼むのは？
19．幼女に守られるゴツい男達…………笑えるじゃねぇかwww
20．あー、プライドが許さないかもしれないが、今はリリィちゃんに連れてもらうのが1番の近道だよなぁ。
21．確かに。あ、ロードさんは？
22．今は【初南の樹林】でスキルレベルを上げているみたいだよ。
23．＞＞21うーん、ボスに挑むのは2日後になると思うぞ。
24．＞＞23あ、ロードさんですか？チースっす。
25．＞＞24そうだ。ロードだよ。それに、リリィは凄いよなぁ。
26．確かに、もうボス討伐って速いですよね。実力はまだ先ですが、大会の時にわかるのでは？
27．それまでにさらに強くなったりしてwww
28．確かに、それはあるかもしれないな。精進せねばな！
29．ロードさん、頑張って下さいね。もしリリィちゃんと戦いになっていたら、リリィちゃんのほうを応援しちゃうかもしれないけどwww
30．＞＞29ロードさんを応援していて、リリィちゃんの味方かよ？
31．＞＞30可愛いは正義だ！！
32．そうだ！可愛いは正義だ！！
33．リリィちゃんを見守る隊のリーダーの参上だっ！！可愛いは正義だ！！(ノ゜∀゜)ノ
34．可愛いは♪(ノ゜∀゜)ノ
35．いつでも♪(ノ゜∀゜)ノ
36．正義だ♪(ノ゜∀゜)ノ
37．なに、その歌はよ？
＞＞33リリィちゃんにまだ切り裂かれていなかったのか？
38．＞＞37まだ会えてないのだよ……
39．あー、なかなか会えないんだったな。今は次の街にいる可能性が高いから会うためにはボスを倒さないと駄目じゃないのか？
40．マジかよ……。今のスキルレベルではまだ勝てなそうだよ……
41．まぁ、頑張っ。
42．リリィは、その調子で何処まで行くのか、楽しみですね。
というように、リリィちゃんのことで盛り上がった掲示板でした。
次の街に入れるようになりました。（リリィちゃんだけですが）
感想と評価を待っています♪
この小説を友人達に広めてくれるとありがたいです。
