10.三個目の呪い装備
はい、出来ましたので載せました。
じっくりと読んでくださいね。
スリスリスリスリ……………
リリィが何故、ずっとすり鉢で薬草を摺っていると言うのは、1時間前に、アイテムを売りにカリンのとこに行ったことが始まりだった。
〜〜1時間前〜〜
「カリンさん、また売りたいのですが……」
「あ!リリィちゃんが来た!ねぇ、お願いがあるけど、いい?」
「え?お願いですか?」
「ええ、お願いというのは……」
カリンさんから聞くと、〈オレジポーション〉のことが広まったようだ。また掲示板でということらしい。それに……
あのリーダーがロードさんだったのかよ……。確かに、身こなしが他の人と違うなーと思ったんだけど……
リリィはβテスターの最強であるロードのことは一応、知っていた。この前、カリンから掲示板のことを教えてもらった時、掲示板にロードの名前が出ていたのを覚えていたのだ。
「掲示板で〈オレジポーション〉のことが広がったから〈製薬術〉の使い手が増えるけど、今は甘い回復薬が全くないからら、リリィちゃんにお願いをしたいの」
ふむ、掲示板は昨日のだから、甘い回復薬が作れるまでは時間が必要になるだろうな。だからもう作れる私に売って欲しいと言っているわけね。
「わかりました。いくつ売ればいいですか?」
「おっ、受けてくれるのね!うーん、100個は欲しいな」
「100個!?あの……、〈製薬術〉のスキルは、手作りになっているので、時間がかかると思いますよ……?」
「そこをお願い!!報酬を出すから!」
カリンは拝むように手を合わせて頭を下げて頼む。
「え、報酬?」
「ええ、売り出した金額の別に報酬があるよ。こっちからお願いしているから、出すのは普通だよ」
「なるほど。なら、受けましょう。あ、〈オレジポーションLv.5〉と〈レモナポーションLv.5〉を50個ずつでいいですか?」
「〈レモナポーション〉って?」
「あ、はい。味が違うだけで、どっちもHP50、回復しますよ」
「なるほど、効果もNPCより高いから、1つで200yenでどうだい?」
「え、そんなに高くてもいいのですか?」
「これが妥当だと思うよ?〈微回復薬〉より効果が高いし、味も甘くなっているから」
「そうですね、わかりました。それでよろしくお願いします」
「いやいや、こっちがお願いしているから。よろしくね」
ということで、プライベートルームでスリスリと〈製薬術〉に集中していた。
あと5個……
リリィは頼まれる前に、自分用のために30個ずつ作って置いてあったのだ。頼まれた二つポーションの他に〈バナバナポーション〉もあるが、効果が…………
〈バナバナポーションLv.5〉
製作者 リリィ
HP50、MP10が回復する。味が改善された微回復薬。
になっていた。まさか、まだ始まりの街にいる時点で、MP回復が出るのは早過ぎるよな?これも、LUKの補正のせいか?とりあえず、これはまだ表に出せないから、自分用に使うしかないな。
もし、表に出したら、製作依頼が沢山来てしまって作る時間に取られてしまうからだ。
はぁっ、………あ、出来た。えっと、アイテムボックスに50個ずつ……よし、あるわ。
作り終わって、すぐにカリンの元に向かった。
「え、もう出来たの?」
「ええ、30個ずつ作り置きがあったので、思ったより早く終わったの〜」
「そうだったのね。ありがとう」
リリィはカリンにアイテムボックスから〈オレジポーションLv.5〉と〈レモナポーションLv.5〉を50個ずつ出して渡した。
「ええと、確かに受け取りました。では、売り金の20000yenと報酬の…………これね」
そう言って、お金と、報酬を貰った。報酬は…………
〈輪廻の髪飾り〉DEF+20 INT+40 スタミナ補正-50% LUK-50%
この髪飾りは綺麗な装飾が付いていて女性に人気がある。溺れて無くなった小さな女の子が、付けていた物。付けていると息苦しさを感じてしまう呪いの防備。
また呪いの装備なの!?なんでこれを報酬にするの!?
リリィの顔に出ていたのか、カリンが説明してきた。
「始めに言っておくけど、悪戯や持っても邪魔だから報酬にしたわけじゃないからな。リリィちゃんだったら使えると思ったから渡したんだよ」
「ええと、確かにデメリットはたいしたことないですね」
「でしょ?座敷童子だったらLUKは問題ないとして、ロードさんから聞いたけど、【ステップ】を使っても息切れしてなかったからスタミナ補正は高いだろうと思ったのもあるわね」
「そうですね、ありがとうございました。でも、これはどうしたんですか?」
「ああ、これを売ってきた人は拾ったと聞いたんだ。だけどスタミナ補正-50%がキツイらしくて、装備出来なかったから私に売ってきたと」
「なるほど……、それを買い取ろうと思えましたね?」
「確かに解呪方法はわかってないが、リリィちゃんみたいに装備しても困らない種族があるかもしれないからね」
「そういえば、私以外のレア種族はまだわかってないのですか?」
「ああ、おそらくは隠している可能性が高いかな。特徴を知られてしまうと、不利になる種族もあるとか?」
「ああ…、確かにあるかもしれませんね。私の場合は服関係しか装備できませんしね」
「それを補うのが呪いの装備を使うのは凄いと思うけど……」
「たまたまデメリットが無くなるのが呪いの装備だっただけですから」
カリンとしばらく話してから店から離れた。これからは戦闘のスキルを上げようと、今は【深遠の森】にいる。
「そういえば、ステータスを更新しないと」
スキルレベルが上がり、ポイントが貯まっていたのを思いだし、更新することにした。
ステータス
リリィ
種族 座敷童子
HP 173/173
MP 93/93
STR 58
DEF 25→45
AGI 52→85
DEX 18
INT 13→53
MDF 15
VIT 50
LUK 9999
ポイント 0
金額 52600yen
〈スキル〉
浮遊術Lv.7、短剣Lv.7、ステップLv.10、危険察知Lv.3、魔屍のオーラLv.2、黒太刀Lv.3、製薬術Lv.7
〈称号〉
幸運を司る者、ユニークを倒し者
〈装備〉
武器 血濡れの短剣 STR+50 VIT+20 LUK-100%
頭防備 輪廻の髪飾り DEF+20 INT+40 スタミナ補正-50% LUK-50%
体防備 菊花の和服 DEF+15 AGI+20 LUK-50%
腕防備 なし
脚防備 草履 AGI+2
アクセサリー
その一 スライムの指輪 DEF+2
そのニ 疾走の指輪 AGI+2
その三 なし
よし、ポイントは全てAGIに入れた。ここまで【ステップ】を使って走ったけど、全く息切れをしないな。座敷童子の特性か妖怪だからか、スタミナ補正-50%は無効になっているみたいだ。マジで座敷童子って凄い種族だったんだな……。
座敷童子だから凄いのではなく、たまたま座敷童子の特性に合った呪いの武器や防具に出会ったり、本人の運もバカには出来ないのだ。なにせ、1枠しかない座敷童子を引き当てたのだからだ。
「よし、オークとトレント相手に切りざむか!!」
可愛い少女の口から信じられないようなことを言葉にしつつ、奥に進む。
奥に進むと、モンスターがワラワラと出て来て、リリィの解体作業が始まるのであった。
「ハハハッ!!」
リリィはいつものように笑いながら、まず【魔屍のオーラ】を発動して、【空中ステップ】で近付き、〈血濡れの短剣〉を振り回す。オークは右手左手右足左足と、バラバラに解体し、トレントは、木の割れ目に短剣を突っ込んで、中から【黒太刀】のスキルを発動して、中から殺す。それを繰り返して、何十体と惨殺し続けた。
しかも、リリィは一度も攻撃をまともに受けていない。時々掠ったりして4、5ダメージは減るが、問題なくワラワラとモンスターが沸いて来る奥に進んでいた。今、最後の1匹を切り裂いたところで…………
「あれ?あの門は何だろ?」
リリィは木が沢山立っている向こう側に、門があるのを見つけた。近付いてみると、何の門なのか、わかった。
「あ、牛の絵が描いてある。もしかして、ボスの部屋に進む門なのかな」
門に描いてある牛とは、大きな斧を持ったミノタウロスのことだ。ボス相手には、普通なら6PTで挑む相手だが……
「よし、挑んでみっか?」
リリィは、ソロでボスに挑むようだ。周りに人がいたら止めていたが、残念ながら、リリィを止める人はいなかった…………
リリィは挑む前にステータスの更新と〈バナバナポーション〉を飲む。準備が終わったところでリリィは門に手をかけた。
ステータス
リリィ
種族 座敷童子
HP 173/173
MP 93/93
STR 58→68
DEF 45
AGI 85
DEX 18
INT 53
MDF 15→25
VIT 50
LUK 9999
ポイント 0
金額 52600yen
〈スキル〉
浮遊術Lv.10、短剣Lv.11、ステップLv.12、危険察知Lv.5、魔屍のオーラLv.3、黒太刀Lv.6、製薬術Lv.7
〈称号〉
幸運を司る者、ユニークを倒し者
〈装備〉
武器 血濡れの短剣 STR+50 VIT+20 LUK-100%
頭防備 輪廻の髪飾り DEF+20 INT+40 スタミナ補正-50% LUK-50%
体防備 菊花の和服 DEF+15 AGI+20 LUK-50%
腕防備 なし
脚防備 草履 AGI+2
アクセサリー
その一 スライムの指輪 DEF+2
そのニ 疾走の指輪 AGI+2
その三 なし
次回はボス戦となります。