第1話(53話) オリジンパワー
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第53話(第1話)
ここはイギリス。俺は、ザックス・アンドレス。英国系日本人で日本名は海藤 こうきという名前を持っている。いきなり話しても誰も信じてくれるわけ無いが一部の人の中では俺がこの世界を作り上げたことになっている。まぁ、そんなことを言っても誰もわかる訳が無い。もっと言えば一部のひとのなかではこの世界は1週間前にできたという設定になっている。もちろんほかの人がそんなことを知っているわけが無い。ほかの人の中ではこの世界は何千年前、何億年前からできている設定になっている。
どうしてこんなことになったかというと・・・原因はひとつだけ。
「オリジンパワー」のせいだ。
今は俺だけしかもっていないが俺の知っている前の世界には術というものが存在していていろんな種類の術を持っている術師と呼ばれる人たちが居た。その中の一人が俺。その術はすべてオリジンパワーという誰にも解説できない特殊な力でできている。それを術に開発することができたのは俺の父さん。デイビス・アンドレス。父さんといってもはっきり言って一緒に居た記憶がほとんど無い。俺は父さんをずっと嫌っていた。嫌っていたというより父さんと認めたくなかった。母さんが死んだ時だって葬式にすら来なかったほどの奴だった。
簡単にまとめられると俺たち術者は父さんのモルモット役だ。
まぁ、今は俺たちと言うのは正しくない。俺って言うのが正しいかもしれんが。
これが俺の知っている世界だった。だが、この世界は違う。術という存在よりもオリジンパワーという存在が無いのだ。だから術によって死んだ人はこの世界で生きている設定になっている・・ということだ。
俺の知っている世界だったら恋人を戦争中に俺の身代わりとして死んだ人がいたんだ。だが、オリジンパワーというものがこの世の中には存在しないためそいつはこの世界で行き続けている。俺の母さんは術者狩りが俺を探しているときに母さんに俺の居場所を聞き続け最終的に口を閉ざしていた母さんは殺された。だが、さっきと同じくこの事実はこの世界ではなかったことになっている。
もちろん、こっちの世界のほうがいいんだよな・・・ 亡き人もここにいるし・・・術も無い戦争も無い平和な日々を過ごすことができるし・・・ でも何か違うんだ・・・俺の本当の気持ちの何かが・・・ いったい何なんだよ・・・
「ザックス?どうしたの?」
とマリは俺に声をかける。
そう、俺とマリはデート中でハンバーガーチェーン店に来ていた。
「いや、なんでもない・・・」
と俺は言う。
俺は自分の仲間には俺が術を持っていることと違う世界から来たことは黙っている。だからこっちの世界に居た俺と同じことをしているわけだ。
「最近ザックス調子がおかしいよ?大丈夫?」
とマリは聞く。
「あぁ、少し疲れているだけだよ・・・ありがと」
と俺は言う。
「なんか悩みとかあったら相談してよ?」
とマリは言う。
「あぁ、そのときは話すよ」
と俺はいい食事を続ける。
俺は今でも驚いているんだ。なんで俺は今マリと一緒に食事をしている?デートをしている?
俺は過去に死んだマリに会うために旅をしたことがあるんだ。それなのにこうやって食事をしている・・・ 不思議だ・・・
とずっと思っている日々だった。
こんな日々も悪くない・・と思いながらずっと考えていた。
「そういえば、今朝のニュースに書いてあったけどどうやらイギリスが新しい軍事力をつける予定って言ってたわ。」
とマリは俺に教える。
俺はその話に耳を傾けた。
「軍事力?この国はまた戦争でもするつもりなのか?」
と俺は言う。
「どうなのかしら・・・裏ではそう考えてるかもしれないわ・・・」
とマリは言う。
マリは将来、新聞記者になりたいらしい。だからそういう情報は毎日欠かさず見ているんだ。
「まぁ、うわさだろ? それじゃあ誤情報かもしれないしよ!」
と俺は話を変えようとする。
まさかこの話がこれから重要になるとは知らずに
「そうね・・・ 先のことを言ってもしょうがないわよね。」
とマリもいい話は変わる。
・・・・
・・・・
食事の後、俺たちはいろいろと店を回り家に帰ることにした。
家に帰ってきたときはもう夕方近くだった。
久しぶりに出かけたせいか少し疲れていた。
日本の学校は夏休みにちょうど入ったからどうにか大丈夫みたいだ。
俺の知っている世界だったらミイナのために日本へ引っ越したんだがこっちの世界だと俺は自分で日本の学校へ行くといって飛び出したという設定になっていた。
まさか、俺がそこまでするわけないのに。
俺は家に帰るとすぐにベッドへと飛び込んだ。
そして今日1日携帯のメールをチェックしていなかったことに気づく。
携帯は充電がすぐなくなるスマートフォンだからメールのチェックは手動更新でチェックするようにしている。
するとキリヤからメールが来ていた。
『Dear Andres Davis
デート中だったかしら?
真っ最中だったらごめんね。
いろいろと情報を集めたから伝えたいことがあるので午後7時に駅前まで来てくれないかしら?
よろしく。
Kiriya』
最初の分が嫉妬みたいな感じだったが何かを伝えたいと書いてあった。
キリヤだけが俺の事情を少し知っている人だ。だがミイナのことについては何も知らない。
まるで居なかったかのように。
時間は午後6時半だった。まだ間に合うと思い外へ飛び出す。
・・・・
・・・・
近くの町の駅へついた。
この駅はロンドンへの特急電車も止まる大きな駅でロンドンまで30分ぐらいでいける便利な電車にも乗れるわけだ。
午後7時。約束どおり駅前に着く。
まだ日は暮れ始めていた頃だった。
そして俺はキリヤを見つける。
「わりぃわりぃ、待ったか?」
と俺はキリヤに話しかける。
「私もちょうど来たところよ」
と笑顔でキリヤは言う。
正直こんなキリヤは初めて見るような感じだった。
「今日、いろいろと時間が空いてたからあんたの父さんのことについて調べたわ」
とキリヤは言う。
「まぁ、ここは人も多いからレストランにでも行きましょう。」
とキリヤは言うと俺の手を引っ張って近くのレストランまで走る
・・・・
・・・・
レストランはイタリアンの店だった。
4人掛けの席に座るとキリヤは話し始める。
「あなたの父さんはデイビス・アンドレスで合ってるわよね?」
とキリヤは言う。
「あぁそうだ。」
と俺は答える。
「ならば、大丈夫だわ。あなたの父さんはこっちの世界だとイギリスのために新しい能力を開発するチームに加入されていたわ。それと正確に言えばデイビス・アンドレスはこっちの世界ではあなたの父さんではないみたいだわ。5年前に離婚しているみたい。」
とキリヤはすべてを言う。
「私のわかったのはここまでかしら。」
とキリヤは言う。
「そうか・・・」
と俺はつぶやく。
「それとさ、あんたはこれから何をしたいの?」
とキリヤは聞く。
「こっちの世界は平和だしマリもあんたの母さんもいる。こっちの世界で過ごすほうがいいんじゃないかしら。その・・・ミイナって子を見つけたところで元の世界に戻れるかわからないし。」
とキリヤは言うと
「俺だってわからねぇよ。これからどうすればいいかわかんねぇよ」
と静かに俺は言う。
「とりあえず、俺は父さんに会ってみる。記憶がなかったとしても・・・何か知ってるかもしれない。だから・・・父さんの居場所を教えてくれ。」
と俺は続けて言う。
「分かったわ。明日行ってみよう。」
とキリヤは言うと最後におやすみと言い家を出て行く。
やっと分かるかも知れない。本当のことを。
-end-
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