~3~
意識が戻ると、零は村の寝室にいた。上体を起こすと傷が治っていることに気付いた。
「あ、ダイド、目がさめたみたい」
「おお、よくやったぞ零!お前なら倒せると信じていたよ」
背中をバシバシと叩かれる。
「でも本当によくやったよ零。ギルジャーネの蛇に捕らわれたときは、すぐに燃やしちゃおうと思ったもん」
「あのとき燃やすの止めて正解だったろ?」
「結果的には、ね」
少し頬を膨らまし、腕を組みダイドを燐音がにらんだ。
「あはは。それにしてもこのグローブすごいですね。力がものすごく制御できるようになりました」
「おう、この村で一番高価なものだしな。むしろグローブなしで初めに力を発動させた零のがすげーよ」
「そうなんですか、ありがとうございます」
右手を眺める零。この力があれば、妹を救える。そう思った。
「おう。それに戦闘の中で成長しているってのもある。オーガには勝てる予定だったが、ギルジャーネには負けるかと思っていた。危なくなったら燐音に燃やさせようと思って準備していたぐらいだ。戦闘の中で限界を超えて成長する、なかなかたいしたやつだよ」
「ほんとよ。私はいつ発動しようかハラハラしてたんだから」
「すいません、心配をおかけしました」
「零に文句をいってるんじゃない、ギリギリまで粘ったダイドにいってるの!」
「あちゃー、俺か。まあいいじゃん、成長できたし。な!」
「はい!」
「まったく……」
「そうだ、零。朗報だ。お前の妹らしき子供を、俺の仲間が今保護しているらしい。しかし、大分遠い。危険がたっくさんだが、いくか?」
「ほんとですか?もちろん行きます!あぁ、よかった、生きてた」
喜びの涙があふれ出た。ずっと心配していたんだ。無理もない。それに僕は運がいい。
もしこの人たちに出会わなかったらオーガに殺されていただろうし、万が一生き延びても遠い町に出る手段はない。
「本当にありがとうございます……。そういえば、ダイドさんの願いって僕がこの世界にとどまって戦うことじゃないんですか?妹と合流して元の世界の戻れたりしたら元も子もないんじゃ」
「この世界にきちまった原因ってのがな、俺の倒したい妖怪が原因だとにらんでるんだよ。とゆうか間違いない。だが、俺と仲間たちだけではどうにも分が悪い。一人でも優秀な退魔師が味方になってくれたほうがいいんだ。つまり俺たちの利害は一致してるってわけよ。」
「なるほど!僕、精一杯強くなるためにがんばります、ご指導宜しくお願いします!」
「おう。そこでだな、お前も妖怪か精霊と契約しといたほうがいい。俺と燐音はどちらかが自然死するまで契約は切れず、戦闘などで死んだ場合は両方死ぬ本契約だが、本契約してないものは仮契約というものが結べるんだ。心が通いそうな妖怪か精霊がいたら俺に教えてくれよ。まあ先の話だと思うが」
「了解しました。そういえばなんで燐音さんの格好って制服なんですか?」
燐音の頬が赤く染まった。
「ああ、これは俺の趣味だ!!!」
ダイドの頬も赤く染まった。ビンタの痕で。
「それは人に言わないって約束でしょ!恥ずかしいっ」
「いててて。まてよ……制服ってことはお前の世界の学生はみんなこんなエロい格好してるのか?うらやましい!!」
さらに深くダイドの頬が赤く染まったことは言うまでもない。