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「契約者の容量を契約相手が大幅に超えると、その力に耐えられなくなって、壊れちゃうんだ。まあ、今の俺なら50%解放程度なら、絶えられると思うぜ」
「その後、三日は寝込むでしょうけど。当分休養も必要ね」
「がははは、そこは秘密にしといて欲しかったな燐音ちゃーん」
いや、待てよ、と零は考えた。それなら50%以下の開放で手早く倒したほうが楽だったのでは、と思ったのだ。
「じゃあなんでさっきは開放しなかったんですか? 20%開放とかすればもっと楽に――」
「500秒あればダイドの詠唱が終わるからよ」
「そんなギリギリの戦いしなくても」
「ダイドが強くなればその分、本当に強いやつと戦うとき、私の力を解放できるの。なるべく経験積んだほうが、お互いのためなのよ」
「燐音さんはなぜ師匠と契約を?」
「ふふふ、零ったら正直ね。普通そこ聞けないよ」
「あ、失礼しました」
「いいのよ、契約を結ぶとね、色々特典がつくのよ」
「特典、といいますと?」
「当然、妖力が格段に向上するわ。それと傷の治りも早くなるし、パートナーも得られる」
「でも妖力上がっても開放できないんじゃ意味がなくないですか?」
「私、本当は――」
そこまでいったところでダイドが、おい、と口を挟んだ。
「何もそこまで言うことないだろ」
「零は私たちの仲間だよ、隠す必要なんてないわ」
「しかし燐音にもプライドってものが――」
「私がいいって言ってるの!」
「な、ならいいけど、さ」
突然言い争いを始めてしまい、零はあせった。きっと触れてはいけないところなんだろう。
「あ、僕いいです、いいにくいことなら。すいませんでした、色々質問してしまって」
「あら、本当にいいの? 今は話す気分だけど、明日気になって聞いてきても秘密~とか言っちゃうかもよ?」
少し意地悪そうな目で、燐音は言った。
「いや、触れたらいけないところみたいなので……本当にすいませんでした」
「すまんな、零。いつか必ず話す。まあ実際俺たち人間からしてみたらたいした話じゃないんだけどな。種族に誇りを感じる妖怪にとっては、色々あるんだよ」
「ダイドそれ答えいってない?」
ギロリ、と燐音が睨んだ。自分で言うのはいいんだが、人に言われるのは嫌なんだろう。
「え、あ、マジで? 零、ルル、わかった?」
「いえ、全然わかんないです、大丈夫です」
「ル、ルルもよくわかりませんでしたっ」
「ふぅー。セーフだそうですお嬢様」
「はいはい。じゃあ、戦利品を引き渡しに行きますか!」