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島に降り立つと、さっそく敵が現れた。ブクブクを沸騰しているようにみえる、ゼリー状の塊が7体。
「そいつらは弱点は水だ。さっそくルルと一緒に倒してみろ」
零の親指の紋章が水色に光った。
「ルル!」
「はいっ」
ルルの擬態が解除され、甘美な人魚の姿となった。ルルが大きく腕を振ると、爪から水の刃が現れ、ゼリーを寸断した。しかし、千切れたゼリーは再びくっつき、一体の大きなゼリーとなった。ブクブクと沸騰し、嫌な熱気が立ち込める。
「ルル、切り裂くだけじゃだめだ、水の柱で倒そう」
「了解です」
ルルの両掌から水球があらわれ、ゼリーを挟むように移動させた。
零がルルに力を注ぎ込むと水球は巨大化し、勢いよく放水された。
ゼリーは蒸発し、消え去った。
「やった」
水が扱えなかった零は感動と興奮を覚えながらルルを見た。
「お疲れ様です零様っ」
ルルもすぐに人間の姿に戻り、零に飛びつく。優しく頭を撫でながら零は言った。
「うん、ルルもお疲れ様」
しかし、二人の喜びとは違い、ダイドと燐音は少し厳しい口調で、戦闘を評価する。
「水の刃で切り裂くのではなく、量で蒸発させるという指示は大したものだ。だけど、零、お前うごかなすぎ」
「敵が移動速度の遅いスライム状のものだったからよかったけど、俊敏な敵では今みたいにはいかないわ。もっと色々動き回って、攻撃に参加しなさい」
「なるほど、その通りです、アドバイスありがとうございます」
「まあ、こんぐらいの魔族なら余裕ってこともわかった。ここは二手に分かれるか」
「少し不安だけど、大丈夫かしら……」
「燐音は零を過小評価しすぎ。大丈夫だよ。俺は瘴気の濃い右周りで山頂まで敵を掃討する。そっちの雑魚共を零に頼む。俺からみて雑魚でも零にとっては気を抜けば命にかかわる連中だ。集中していけ。出来るな?」
「はい。ルルもいることですし」
「がんばりますっ」
「よっしゃ、山頂集合な。この山の頂上にはヤバイ奴がいる。俺らより早くつきそうになったら、先にいかず待っていろ。確実に殺されるからな」
ケケケ、と笑いながら燐音とダイドは深い霧の中を進んでいった。
さっきの厳しいアドバイスは分かれるのを汲んでのことだったんだろう。
どこまでも優しい二人に零は感動した。
「じゃあ僕たちも行こうか」
「はいっ」
二人は薄い霧の中へ進んでいった。