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~1~



「どっちにしろあのバカダコ倒さなきゃ進めなかったんだがな」

ダイドは高速で移動する船に乗りながらつぶやいた。

「まあ、私は零が『やります!』っていうこと信じてたけどね」

「もちろん俺も俺も!」

「零様、勇敢ですっ、素敵ですっ」

「ははは……」

よくほめてくれる二人だけではなく、崇拝されているといっても過言ではない一人が増え、ますます照れ笑いの増える零であった。


少し進むと、ルルの人魚一族が手を振って見送ってくれた。

ルルは少し寂しそうに手を振って、笑顔を向けていた。瞳にはうっすらと涙が浮かんでいるようにも、見えた。

「ルル、僕と契約してくれてありがとう。これでまた一歩妹に近づいたよ」

「妹?」

「そうか、いってなかったね。僕はこの世界の住人じゃないんだ。異世界から、妹を助けるためにやってきたんだ」

「そうだったんですか……」

「もう妹の場所はわかってる、ダイドさんの仲間が見つけてくれたからね」

「精一杯恩返しできるよう、がんばります!」

「うん、ありがとう」


陸が見えなくなり、360度海に変わった。この世界には我々4人しかいないんじゃないかという錯覚が、孤独心をくすぐった。

すると突然水しぶきがおき、100Mほど先の海面からオオオクトパスの群れが現れた。20体、は確実にいるだろう。

零はさっそく電をためはじめた。しかし、零の目前にすっとダイドの手がおろされた。

「このごろ連戦続きだろ。たまには休ましてやる。この数零にはちときついしな。よっくみとけよ。燐音!」

はいっ、と凛とした声が響き、6尾の狐に変化した。その背にのり、群れにダイドたちは突っ込んだ。

ダイドが空に手の平を仰ぐと、快晴だった青に、ゴロゴロと雷雲が立ちこみはじめた。

燐音とダイドの体が強烈な青に発光し、その雲に光が送られた。

雷雲は轟々と立ち込み、激しい落雷がオオオクトパスを襲う。

すべてのオオオクトパスは気絶し、海にプカプカと浮かんだ。


「ふう、楽勝だったな」

「すごい……これが本当の魔術師の力なんですね」

「いや、まだまだ本気の10分の1も出してないぜ」

「オオオクトパスをみてごらん。みんな殺さず気絶してるだけでしょ。もともとここに生息してるんだから、殺生はしない、ダイドの優しさよ」

「ほんとだ。僕は殺されないよう精一杯で加減とか出来ませんでした」

「アクオスのやつはアレでよかったんだよ。町荒らしてたしな」

「なるほど」

「ま、もっとすごい技いろいろあるから、楽しみにしとけよー」

「調子にのらないの!」

「はい」


そうこうしてる間に船は目的地に着いた。ここは魔族がうじゃうじゃと蔓延はびこる、孤島だ。もともとは人類が住んでいた島らしいが、魔族に占領されてしまったらしい。ダイドにギルドから直接ここの奪還を命じられ、やってきたのだ。

しかし、空気が悪い。所謂いわゆる瘴気というものだろうか。

ずっとこの島にいたら、体を悪くしそうだ。


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