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オオオクトパスも溶解液を吐き出し、ビームにあらがう。
しかし勢いのます溶解液にビームはおされはじめる。左手で電撃の練成をはじめる。
バチバチと音をたて、力がたまっていく。零は空にいる燐音を見た。
ビームの放出をとめる。拮抗していた溶解液が勢いよく零を襲う。船の先端がとけ、目前まできたとき、燐音が液を焼き払った。すかさず左腕を突き出し、すべての力を電撃にこめた。
巨大な雷の柱がオオオクトパスを襲う。刺さっていたナイフが体内まで電撃を浸透させた。大きく腕を振り下ろし、ナイフをオオオクトパスの体内深くまで突き刺さるよう誘導した。
巨体は倒れ、水面に浮かび上がった。
零は膝をつき、血を吐き出す。魔力不足による急性吐血をおこしていた。
ダイドが零の船に飛び降り、急いで魔力を零の体に流し込む。
「ありがとうございます」
「限界を超える放出はしたらダメだといったろう、体がおいついてない」
「あんぐらいやらないとあいつは倒せそうになかったんで、つい」
「ついで死んじまったら意味ないだろ」
「はい……」
「あと少しでも魔力を放出していたら体の魔力が0になり死んでいたかもしれん。魔力は生命力の一員であることを忘れるな」
「はい……」
「ま!しかし!勝利には変わりない!!よくやったぞ!」
「実はタコの姿みたとき、これは負けたなと思いました……」
「実際、燐音いなかったら液吐かれたときにとかされてたしな。最後の一撃も燐音いなかったら放出する前に跡形もなくきえさってただろう」
「ホントです、燐音さんありがとうございます」
「まったくハラハラさせないでよ、ビーム出してるときこっちみたでしょ?ああ、なんかするなと思って緊張したわ、もうっ」
「すいません。でも絶対大丈夫、燐音さんならなんとかしてくれると思ったので」
爽やかな顔で零は微笑んだ。
「そんなかわいい顔しても許さないんだから!もう無理しちゃ嫌よ」
「そうだ、いくら燐音が大妖だからといっても限界がある。もし燐音のミスで死んだら傷つくのは燐音だからな。罪悪感は一生消えない」
少し影をもって発された言葉には妙な説得力があった
「はい、すいませんでした……」
「でも信頼し合うことはいいことだぞ。お互いの力を見極め、ギリギリまで戦闘に集中できるようになる」
「はい」
「それに、戦闘方法は目を見張るものがあった。退魔のナイフを刺し電撃を体内に流し込んだり、そのあとにそれらを退魔力によってさらに突き刺しとどめを刺すのも立派だ。先を見据えた戦闘ができる奴は生き残る。これからも頭を使っていけ」
「退魔力と魔力の合成を思いついてその場で実行できるのもすごいわ。相当訓練つまないとできないはずよ」
「そうだ、それがあった!あれは本当にすごい。天才なのかもな零は」
「あんまりおだてないでくださいよっ」
「さ、かえるとするか。」
オオオクトパスの死骸はダイドのもっていた小さなの袋にすごい勢いで吸収された。
反省会を終え、船で帰宅する途中、水の中から人魚が20人ほど現れ、そのうちの一人が話かけてきた。
「あ、あのっ!オオオクトパスを退治してくださってありがとうございますっ」
「お前にいってんだよ、ボサっとしてんな」
零がキョトンとしていると、ダイドが嬉しそうに背中を押した。
「あ、僕ですか?僕ですよね、いえ、その、はい、えーっと」
「もじもじすんなや!男らしく「もう大丈夫、この海の平和は僕が守ったよ」っていってみせろい」
からかうようにダイドがいうと、燐音はいつものように、ださっ、と毒づいた。
「両親もお姉ちゃんもあいつに食べられてたんです、感謝してもしきれないです」
人魚一同は頭を深く下げた。