表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神使見習いは、まだ空を飛べない ー神と人のあいだで、選ぶ物語ー  作者: 月代


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/7

第一話 まだ、空を飛べない

 神域の朝は、白い。

 空なのか霧なのか分からない淡色が、

 ゆるやかに流れている。


 月代ミコは、掌に残るかすかな熱を見つめていた。

 つい今しがたまで、そこには小さな光があった。

 神へ祈りを届けるための、神使の基本――

 それすら、彼女の手の中では形を保てない。


「……また、失敗です」


 独り言のように零した声に、返事が落ちてくる。


「集中が足りない」


 振り返ると、白い羽織を翻した神使の先輩

 白峰が立っていた。

 鋭い眼差し。背に感じる圧は

 ミコがどれほど慣れても和らがない。


「力はある。だが、制御ができていない。

 これでは正式な神使にはなれん」


「分かっています」


 分かっている。

 分かっているからこそ、胸の奥がひりついた。


 神域に集う神使たちは、

 人ならざる気配をまとっている。

 角、翼、影、声の重なり。

 だがミコには、何もない。


 ――半端者。


 人間と神使のあいだに生まれた存在。

 どちらにも完全には属せない。


「今日はここまでだ」


 白峰はそう言って、空を見上げた。

 白い靄の向こう、昼夜の境目に、

 月だけが浮かんでいる。


「ツクヨミ様が、見ておられる」


 その名に、ミコは胸元の勾玉を握った。

 母から渡された、ただ一つの形見。


「……どうして私は、ここにいるんでしょう」


 思わず零れた言葉に、白峰は振り返らない。


「理由を探すな」


 冷たい声。だが、どこか疲れている。


「ここにいるという事実だけが、お前の資格だ」


 慰めなのか、突き放しなのか。

 ミコには、まだ分からなかった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


第一話は、

ミコが「神使見習い」として立っている場所と、

まだ空を飛べない理由を描きました。


この物語は、

強くなっていく話というよりも、

迷いながら選び続ける話です。

ゆっくり進みますが、その分、

心情や関係性を大切にしていきます。


次話では、神域の中でのミコの日常と、

少しずつ歪み始める“裁定”の気配が見えてきます。


よければ、続きを読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ