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第43話 混浴でどうでしょう?


「今、お湯溜めるから!」

「いや、だからいいって」


 俺の制止の声も聞かず、美千瑠はバタバタと玄関を上がり、風呂場に入って行く。

 シャーっと水を流す音が聞こえて、ピッピッ、と給湯器のボタンを操作する音がする。そしてすぐにドバドバと湯船に水を溜めているであろう水音が聞こえ始める。


 今日も例に漏れず美千瑠の姉は仕事でいないようで、室内はしんと静まり返っていた。


 だからそう簡単に男を家に上げるなって……。


「お湯、溜めてる間にとりあえずタオルで拭こう?」


 バスタオルを手渡され、俺はそれを受け取る。大分乾き始めていたが、髪はまだ意外と濡れていた。

 湯が溜まるのを待つ間、美千瑠が甲斐甲斐しく温かいお茶を用意してくれたり、濡れたプリントやノートを乾かしてくれた。


 俺は何故だか頭がぼーっとしており、上手く身体を動かすことが出来ず、ただただその様子を見ていた。


「へっ、くしっ!」


 何度目かのくしゃみをした頃、ようやく風呂が沸いた。


「凍華、先に使って!」

「は? なんで? 美千瑠の家なんだから美千瑠が先に入れよ。お前だってかなり濡れただろ?」

「そうだけど……。凍華、さっきから顔真っ赤だよ。このままだときっと風邪引いちゃうよ」

「別にこれくらい大丈夫だから」


 俺が頑として動かないでいると、美千瑠は焦れたように言う。


「じゃあ一緒に入ろう! それなら文句ないよね!?」


 美千瑠は顔を真っ赤にしてそう言った。


 美千瑠が何を言っているのかいまいち分からなかった。

 人の心配ばかりしているが、自分だって顔が真っ赤じゃないか。冷えたんじゃないのか。そう口に出したいのに、何故だか億劫で上手く喋れなかった。




「はー、気持ちいいー」


 頭と身体を念入りに洗い、俺は湯船に浸かる。

 先程から少し頭がぼーっとするが、やはり身体が冷えていたようで少し暑いくらいの湯船が実に心地よかった。


「先に入らせてもらってよかったかもな……」


 どっちが先に入る、入らないの押し問答をしていたはずだが、ぼーとしている間に俺が先に入ることになっていたようだ。


「まぁ、なんでもいいけど、美千瑠に感謝しないとな」


 美千瑠も寒がっているだろうし、早めに上がらなくては。


 そう思ったところで、ガラっと風呂場の戸が開け放たれる。


 きょとんと目を丸くする俺の目の前にいたのは、バスタオルで前を隠した素っ裸の美千瑠だった。



「!?!?!?!?」



「お、お邪魔します……」


 恥ずかしそうにやってきた美千瑠は、ゆっくりと風呂場の戸を閉めた。

 ぼーっとしていたはずの俺の頭は、目の前の光景に一気に覚醒した。




「なにやってんだお前!?!?」




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