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第39話 私のあそこ、触ったでしょ?


 美千瑠の浴衣の中に手を突っ込むと、温かくてしっとりとした弾力のあるものに手が埋もれていく。


 自分の脈が速いのか、はたまた美千瑠の心臓が忙しなく動いているのか、どくどくと熱い脈動を感じる。


 美千瑠はくすぐったいのか、「んっ……あっ……っ」と謎に艶やかな声を出してい

る。


 早く虫を探さなくちゃいけないというのに、俺に寄り掛かった美千瑠が耳元でそんな風に吐息を漏らすものだから、上手く集中できない。


 虫! 早く出て来てくれ! 頼む! 


 そう念じながら美千瑠の浴衣の中を弄る。美千瑠が身を捩るせいで、余計にその捜索は難航していた。


「んんっ~~~っ! とうかぁ、早く~っっっ!!」

「少し静かにしてくれ! 今探してるから!」


 美千瑠の熱い息が掛かって上手く集中できない上に、俺はとあることに気が付いてしまう。


 先程から美千瑠の浴衣の中に手を突っ込んでいるわけだが、手に触れるのは浴衣の優しい生地と、美千瑠の柔らかい肌。絶対的にあるはずの金具のものがなく、俺はまた驚いて声を上げる。



「お前っ!? なんで下着付けてないんだよ!?」



「んぅっ……、だ、だって、浴衣の時はっ、下着って付けないものでしょ……っ」


 いやいやいつの時代の話をしてるんだよ!? そもそもそれは寝巻として使う時であって、さすがに出掛ける時は付けるだろ!?

 などとツッコむ余裕はない。


 くそっ……、気が付かなければよかった……。


 悔やんでいると、さらっと何かに触れたような感覚が手にあって、俺はようやく虫(?)を見つける。


「いたぞ!」

「本当に!? 早くっ! 早く取って!!」

「分かったからっ、動くなって……っ」


 せっかくそれっぽいものに触ったのに、逃がしてしまう。

 俺は手に当たる柔らかい感触を無視し、なんとかするすると逃げ惑う虫(?)の後を追う。


「捕まえたっ!!」


 俺はそれを指で摘まみ、美千瑠の胸元から引き抜こうとして…………。



「ひゃあぁぁんっっ……!」



 柔らかいものの中にある少し硬くなった突起に触れてしまい、美千瑠の甲高い声が響き渡った。


 俺と美千瑠は互いに顔を真っ赤にして見つめ合う。


 まさか、俺が触ったものは……。


 美千瑠ははっとしたように胸元を戻すと、自身の身体を両腕で抱きかかえた。



「凍華のえっち! 変なところ触らないでっ……!」


「えっちはどっちだ!? この痴女! 下着くらい付けろ!」

「ち……っ……。うう、それはごめんだけど……。ていうか凍華! 早く手から離しなよ! その虫!」

「あ、忘れてた」


 俺は慌てて自分が摘まみ上げていたものに意識を向ける。すると。


「ん? 虫……、じゃ、ないじゃないか…………」



 俺が摘まみ上げていたのは、ただの葉っぱだった。散々虫だ虫だと騒がれていたものは、ただ風で巻き上げられただけの葉っぱだったのだ。


 こっちがどんな気持ちで美千瑠の浴衣に手を突っ込み、必死になって探したかも知らないで、美千瑠は「あれ? 虫じゃなかったんだ」とあっけらかんと言う。


「お前なぁ……!」


 心底腹が立っているというのに、美千瑠は可愛らしく「えへっ!」とお茶目に舌を出して見せる。それが余計に俺をイラつかせた。


「お前……っ」と美千瑠に苛立ちの言葉をぶつけようとすると、美千瑠は先程のお茶目な表情を消し、上目遣いで俺を見つめてくる。


「でも凍華、……触ったでしょ?」

「は?」



「……私の、……あそこ……」




 先程触れてしまった柔らかな感触と、その中心にあったぷくりとした膨らみを思い出す。


「ぐっ……」


 それを引き合いに出されては、俺は何も言い返せない。

 ただの事故だったとしても、美千瑠に訴えられたら俺は当然負けるのだ。


 いや、頼んできたのは美千瑠だけどな!?



「……凍華の、えっち……」



 そう呟いた美千瑠の表情は、色っぽく艶やかで花火よりも綺麗だった。




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