第31話 思春期というものは
『ねえ! みんなでプール行かない!?』
夏休みが始まって一日目。ベッドでだらだらとスマホゲーで遊んでいた俺の元に、メッセージアプリの通知が届く。
俺、美千瑠、真宙、結菜の四人のグループトークに、キラキラなTHE夏! な青春メッセージが投稿された。送り主は結菜だった。
真宙と付き合っているのだから二人で行けばいいものを、前回の遊園地同様、どうやら四人でのお出かけ、もといダブルデートをご所望のようである。
『いいね! プール! 行きたい行きたい!』
『俺も行きたい! すげー夏って感じ!』
「まぁ、暇だしな」
夏休みに入り、学生ならではの特権である長期休暇を得たわけではあるが、これといった予定は全くない。
夏休みの課題はなるべく早く終わらせておきたいと思うものの、他にやりたいこともないしとにかく暇だった。
プールとなると中学校指定の水着しか持っていない俺は、水着を用意しないといけないのが少々億劫であるが、まぁ引き籠ってないでそれくらい買いに行くか。
『俺も参加する』
返答のメッセージを送信すると、すぐに既読マークが三つ付く。
早っ、揃いも揃って暇かよ……。
『じゃ、決まりだね~! 日程はこの日なんかどう?』
結菜は当然俺も同意すると思っていたのか、すでにプールの開放日や空いている日程をピックアップしてくれており、五日ほどの日程が候補として挙げられた。
これまた揃いも揃って暇で、日程は三日後にすんなりと決まったのだが、グループメッセージはまだ続いていた。
『結菜~、相談なんだけど、私、水着持ってないの……』
美千瑠の文章の後に、しょぼんと沈んだような顔をした猫のスタンプが張り付けられる。
『え! それは大変! 買いに行かなくちゃ!』
『俺も持ってない~~』
『え、真宙くんも!?』
『俺も』
『ええっ! 凍華くんも!?』
結菜は驚いていたようだが、『じゃあみんなで買いに行こっか!』と次は水着を買いに行く予定を立てることになった。
まぁ予定を立てるもなにもみんな暇なので、早速明日四人で買いに行くことになったのだが。
夏休みに入り、しばらく美千瑠と顔を合わせることもないだろうとほっとしていたのも束の間。
夏休み二日目にして、早速美千瑠と会うことになってしまった。
あれからももちろん俺達は恋人ごっこを続けている。
このままでいいのかと思う反面、結局流されてしまう俺がいた。
少し美千瑠と距離を置けば、俺も自身と向き合うことが出来るし、美千瑠もそれが出来ると思ったのだが、どうやらそうはいかないようである。
「退屈は嫌いだが、人間関係で悩むのはもっと嫌いだ……」
そう思いながらも美千瑠のこととなると蔑ろにしたくない自分もいて、思春期というのはなんとも厄介なものである。




