第22話 続・女の子だったんだな
お土産は帰りに買うことにして、猫耳カチューシャだけを購入しグッズショップを後にした俺達は次なる目的地である、トロッコマウンテンへと向かう。
トロッコマウンテンとは、まあ要するに絶叫マシン、ジェットコースターである。山のような起伏のあるレールの上をトロッコのような車体に乗ってわーきゃー叫ぶ乗り物だ。
「はー、この並んでる時間が一番ドキドキするよな!」
提案者である真宙は、声を弾ませながら今か今かと順番を待ちわびている。
俺の隣に並ぶ美千瑠も、うきうきと前を見つめていた。
「結菜は絶叫系大丈夫なのか?」
うきうきする真宙と美千瑠に対して、結菜はやけに静かだった。いつも賑やかというわけでもないが、並び始めてからというものの、やけに静かなような気がする。
結菜がギギギギと機械のように俺を振り返った。
「だ、大丈夫だよ~……」
その声は酷く震えており、凡そ大丈夫な感じは全くなかった。本当に大丈夫なのだろうか。
そうこうしている間に俺達の順番が回ってきて、俺と美千瑠、真宙と結菜のセットでトロッコに乗り込む。
「いってらっしゃ~い!」と爽やかに手を振るパークのスタッフさんに見送られ、俺達四人を乗せたトロッコはギシギシと音を立てながら進んでいく。
先程まで楽しみにしていたはずの美千瑠は、トロッコが動き出すと「このまま真っ逆さまに落ちたらどうしよう~」と急に弱気なことを言い始める。
「落ちない落ちない。そんなことが簡単に起きるようなことがあったら大事故だ」
「でもでもっ!」と美千瑠は慌て出す。
トロッコが斜面をゆっくり登って行く。このあとはお決まりの急速落下だ。この俺でさえ少し動悸が早まってきた気がする。落ちることが分かっていてもどうしても少しドキドキしてしまう。
いよいよ頂上までトロッコが登り、そして落ちる、その瞬間。
美千瑠が俺の手を握り、あまつさえその腕に抱き着いてきた。
何か柔らかな感触が当たって、俺は驚きで美千瑠を見る。
美千瑠は俺にしがみ付いたまま、ぎゅっと目を瞑っていた。
「みち……る……」
声を掛けようとしたまさにその時、トロッコは勢いよく落ちて行った。
「きゃあっーーーーーっっっ!!!」
隣から盛大な悲鳴が聞こえる。
起伏の激しいレールは上に下にとトロッコを揺さぶるが、俺の脳内も身体もそれどころではなかった。
全神経が美千瑠に触れられている右腕に集中していて、改めて思い知らされる。
美千瑠が、普通に女の子であったことに。
「はーっ怖かったぁ……!!」
怖かったのか楽しかったのか、トロッコを下りた美千瑠は笑顔だった。
先程俺に抱き着いていたことも忘れているのか、無意識なのか、美千瑠は無邪気に俺に笑いかける。
……なんか……マジで調子狂う…………。




