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第21話 女の子だったんだな……


「善は急げ!」と結菜の号令によって迎えたのが本日のダブルデートだった。


 パーク内は休日とあって混み合っていた。社会人も学生も土日休みがほとんどなのだから当然のように混み合う。このあとは夏休みも控えているし、きっと夏はいつ行ってもこんな感じで混んでいるのだろう。


「みんなはどこから回りたいかな?」


 結菜が入園時に貰ったパンフレットを手に、俺達三人に問い掛ける。


 「うーん……」と悩んだ俺達が口にしたのは。


「このホーンテッド猫屋敷、ってなんだ? お化け屋敷系か?」

「グッズショップ寄りたい! にゃーんのカチューシャとか、みんなで付けて回ろうよ!」

「トロッコマウンテン一択! やっぱ遊園地と言ったらジェットコースターだろ!」

「因みに私は、パレードをゆっくり見たいな」



 いつものように四人ばらばらの意見だった。



 この感じ、なんだか懐かしいな……と思いながら、俺は口を開く。


「空いてるところから回ろうか」

「「「おーっ!」」」


 この感じも、なんだかとっても久しぶりだ。




 俺達はまず初めに、美千瑠の提案であるグッズショップに寄ることにした。


 美千瑠が言っていた『にゃーん』と言うのは、このアミューズメントパークの猫のキャラクターのことだ。少しクリームがかった白猫で、かぼちゃ色の三白眼が特徴的だ。可愛いという印象よりもハロウィンチックなホラー感がある。


「結菜はどのカチューシャにする?」

「うーん、どれも可愛くて迷っちゃうなぁ~」


 女子二人は猫耳カチューシャを夢中になって選んでいる。


 さすがに男子の俺達は付けないだろうと、俺は全く別のグッズを見ていたのだが、真宙がとんとんと俺の肩を叩く。


「凍華、見てくれ! すげー似合ってね?」


 ここにノリノリで猫耳カチューシャを付ける男子を発見。


 真宙はなんの羞恥もないのか、鏡で猫耳姿の自分をチェックしている。


 真っ黒な髪に真っ黒な猫耳は彼によく似合っていた。まぁ、真宙はイケメンだし、何を付けても似合うんだけどな。


「俺、これ買う!」と結菜と美千瑠に見せに行く真宙。女子かな?

 「いいね! 似合う! 似合う!」と女子二人もきゃっきゃと盛り上がっている。


 美千瑠はクリーム色っぽいスタンダードにゃーん色、結菜は赤いリボンの付いた真っ白な猫耳カチューシャに決めたようだ。


 美千瑠が店内のあちらこちらにある鏡にどやっと猫耳姿でポージングを決め、ちょうど鏡に映ってしまった俺に声を掛けた。


「あれ? 凍華は? もう選んだ? まさか買わないなんて言わないよね?」


 美千瑠から圧を感じるが、さすがにこればかりは恥ずかしいので抵抗する。


「俺は付けないよ。第一似合わないし」


 売り場から立ち去ろうとする俺の襟首を、美千瑠がぐいっと掴んだ。

 喉がきゅっと締まる。


「美千瑠……! なにするっ……」


 文句を言おうと振り返ると、美千瑠は手に持っていた猫耳カチューシャを俺の頭に乗せた。


「うん! 凍華はやっぱりこの色だね! これ買いな! にゃーんのボーイフレンドのキャラだよ」

「え……」


 鏡に映る俺の頭には、限りなく黒に近い紫色をした猫耳カチューシャが付いていた。


 …………似合わないにもほどがある…………。


 美千瑠に抗議しようとしたが、三人はさっさとレジに並んでしまっていて、抗議するタイミングを見事に逃してしまった。


「仕方ない……買うか……」


 俺も渋々レジに並ぶ。


 手の中の紫色の猫耳カチューシャと目の前で楽しそうに笑う三人を見て、まぁ今日くらいお揃いも悪くないか、と思った。



 ていうか、にゃーん、ボーイフレンドまでいる女の子だったんだな……。




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