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最弱魔法で追放されたけど、田舎で畑を耕したら世界樹が芽吹きました  作者: しげみち みり


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第21話「言葉の戦(いくさ)──席を増やせ」

1. 戦の後に来るもの


 黒炎の背骨が折れ、残り声も吐き戻した翌朝、砦には遅れて来る痛みのような静けさが漂っていた。

 葉幕は露を含み、湿土は層を増し、堀の脈はゆるやかに落ち着いている。

 人は火を恐れる。だが火が去ったあとこそ、物語が燃え上がる。――カサンドラは昨夜、そう言った。


「今日から始まるのは、剣でも灰でもない。“言葉の戦”だ」

 彼女は長机の端に乾いた白墨で大きく席という字を書き、三本の線で囲った。

 「王国・議会・紅月。三つの旗が、ここで“勝ちの物語”を奪い合う。……なら、私たちは“誰のものでもない席”を増やして、言葉の熱を逃がす」


 俺は湧き水に掌を落とし、世界樹の脈を確かめた。

 深く、静か。けれど、わずかに期待の拍が混じっている。

 樹は眠らない。眠らないから、言葉の熱も吸い、冷やしてくれる。


2. 長机の改造


 長机は一夜にして「広場」へ変わった。

 木を足し、枝を梁にし、葉幕を軽く垂らして風を通す。

 中央に、誰も手を置ける**共のともいた**を据え、左右は自由席だ。

 王印も議会印も紅月の通牒も、置くならここ。置けないなら、外でどうぞという作り。


 ラグが鼻を鳴らす。「椅子が多いほど、ケツの我慢比べになる。俺は好きだぜ」

 老婆は笑った。「年寄りには座りやすい椅子を混ぜな。言葉は尻から漏れるもんだよ」

 ミレイユは席順を「番号」ではなく葉の模様で示す案を出し、文官が書式を整えた。数字は序列の匂いを帯びる。葉は季節の匂いしかしない。


 カイルは周囲の導線を見直す。「逃げ道を四つ。どの旗が荒れても、民が抜けられるように」

 テールは緑の糸で掲示用の枠を編い、ロナは“祈らない誓い”の短い文を葉に書いた。

 ――『この席では、祈りではなく呼吸で話す。祈りは夜に持ち帰る。眠れ。』


 そうして「葉の広場」は午前の日を迎えた。


3. 最初の来客


 先に現れたのは王国の副使だった。

 昨日の顔よりわずかに若返ったように見えるのは、黒炎が折れたことで“王の顔”が戻ってきたからだろう。

 彼は金糸の縁の外套を整え、共の板に手を置いた。


「王は告げる。“黒炎は神罰にあらず、背信なり”。――勇者と守り人の働きに感謝を捧げ、世界樹を王権の下に“正しく”置く」


 カサンドラが首を傾げる。「“正しく”とは?」

 副使は紙を開く。「監査、徴発、駐屯、祈祷の独占権。……守り人は職として王に属し、畑の産には一定の上納を」

 要は、鎖を磨いて“正当”という名を刻む話だ。


 続いて現れた議会の使節は、わざと紙束を机にどさりと置いた。

 「民の名において言う。世界樹は民の屋根だ。――守り人は民会に属し、畑の産は民の胃に入る」

 要は、鎖を布に巻いて“民意”という柄に差し替える話だ。


 そこへ、紅月の使者ジルベルトが黒い羽根飾りを揺らして現れる。

 「昨夜の敗北は深い詮索を要しない。――ただ、世界樹の加護は人類すべてに等しくあるべきだ。ゆえに紅月は“献木けんぼく”を求む。枝の分与、根の移植、術の共有」

 要は、家の柱を持っていく相談だ。


 三者三様の美辞麗句。

 葉の広場は、まだ燃えない。風が抜け、言葉の熱を散らす。


4. 息の憲章ケンショウ


「こちらからも紙を出そう」

 カサンドラが立ち上がり、薄い板を共の板の中央へ置く。

 文字は少ない。だが一字一字、葉脈のように深い。


息の憲章

一、世界樹の息は、誰の冠にも入らない。

二、畑の産は、まず腹に、ついで物語に入る。

三、祈りは夜に、はかりは昼に。

四、席は誰のものでもない。

五、守り人は、“拍”にのみ従う。


 副使が眉を上げる。「王は第五条を認めないだろう」

 議会使節は笑う。「私は第一条を愛するが、第二条は財布が泣く」

 ジルベルトは扇を弾く。「第四条は詩的だ。だが詩は刃に弱い」


 俺は鍬の柄に額を預け、静かに言った。

 「詩に刃を向ければ、刃が勝つ。だから席を増やす。刃が全部は届かないほど、席を増やす」


 老婆が横から口を挟む。「追加の条を書きな。『六、眠れない夜は、皆で眠らず、皆で朝を迎える』」

 ロナが笑って頷き、葉に追記を写した。


5. 無署名の記録


 言葉は風で散る。散らせたくない言葉は、水に預ける。

 俺たちは堀の上流に**板葉いたば**を浮かべ、広場の議論を“無署名”で記録し始めた。

 誰の発言かを重くせず、拍の変化だけを綴る。

 「この拍では熱が高かった」「この拍では笑いが漏れた」「この拍で沈黙が効いた」。

 文官が記し、テールが緑糸で綴じ、子らが各集落へ流す。

 記録の末尾には必ず一行――『これは誰のものでもない』。


 ジルベルトが皮肉げに笑う。「責任の所在が曖昧だ」

 カサンドラが返す。「火の夜、責任は皆に広がる。――だから席は皆に広がる」

 副使は苦い顔で、それでも板葉を懐に収めた。

 議会使節は声を潜める。「……こういうのは、議会の廊下で一番効く」


6. 王都の唄と、紅月の影


 午後、王都から**吟遊ぎんゆう**の一団が入ってきた。

 華やかな衣、明るい調子。

 彼らは広場の隅で竪琴を爪弾き、“勇者と王の栄光”を歌い出す。


 ――危ない、と直感が告げる。

 歌は祈りに近い。祈らぬ拍子が乱れる。


「歌は夜だ」

 俺は穏やかに言い、湧き水に掌を落とした。

 「昼は広場、夜は火の下。……ここで歌うなら、“席の歌”にしてくれ」


 吟遊の若者は戸惑い、おさが瞬時に場を読んだ。

 「承知した。――“誰のものでもない席の歌”を、民と一緒に作ろう」

 彼は楽器を置き、紙と炭を取り出し、子らに「今日の一番楽しかった拍」を尋ね始めた。

 老婆は笑い、ラグは大声で韻を踏み、文官が拍子を整える。

 やがて生まれた新しい調べは、祈りではなく呼吸を増やした。


 一方、紅月からは陰書かげがきが漂い込む。

 “献木の正当性”“守り人の暴走”“勇者の裏切り”。

 ジルベルトは「公式ではない」と肩を竦め、しかし視線は鋭い。

 テールが陰書を拾い上げ、緑糸でほどき、紙を細く裂いて泥に混ぜた。

 紙は燃えず、泥になる。泥は畑の肌になる。


7. 三つの席――王席・民席・境席


 争いは避けられない。なら、場所を分ける。

 カサンドラは広場の周囲に三つの小さな環を描いた。

 王国の使者が腰を下ろす王席、議会と民会の自由議論の民席、そして旗を下ろした者だけが座れる境席。


 「境席に座る条件は三つ」

 カサンドラは葉に書いた。

 「武器を置く。祈りを持ち込まない。自分の名前で話さない」


 ジルベルトが扇で口元を隠す。「名を明かさぬ席など茶番だ」

 ロナが静かに言う。「祈祷は名を縛る。名を置いて話すとき、人は祈祷師を降りて、人になる」

 副使は渋面を崩さず、しかし境席に腰を下ろした。

 議会使節も続く。

 ジルベルトは最後に、扇をたたんで座った。


 境席で交わされた言葉は無署名で板葉に記された。

 そこでは、王も民も紅月も、同じ高さでしか話せない。

 高いも低いも、葉の上にはない。


8. “徴発”という刃


 午後過ぎ、王都から新たな紙が届いた。

 『黒炎鎮圧に伴う――糧秣徴発』

 今すぐでなくとも、近く大規模な徴発隊が来る。

 「守るために取り上げる」。それが王国の常套句だ。


 広場がざわめく。

 子どもの手が母の裾を強く握る。

 祈りの匂いが立ち上りかけ、葉がそっと鳴って押しとどめた。


「――“徴発の席”を作る」

 カサンドラが即決した。「王席の脇だ。王印の紙は必ずそこに置いてもらう。置けない紙は紙に非ず」

 副使は苦い顔で席に紙を置いた。

 俺は紙の上に小石を三つ置いた。「三拍の間、異議を受け付ける。拍ごとに小石はひとつずつ外へ落ちる。――落ち切るまで、誰も動かない」


 ジルベルトが嘲る。「落ちる小石で腹は膨れぬ」

 ラグが笑った。「落ちる前に腹を満たすのが畑のやり方だ。拍は腹に効く」

 議会使節は感心したようにうなずく。「この“拍の留め具”は議場に導入すべきだな」


 三拍の間に、王席の紙は加筆を重ねられた。

 「徴発の対象は外縁の余剰」「発効は収穫後」「守り人の同意なき掠奪は禁ず」

 副使は押し問答の末、最後に短く吐いた。「……王印を汚さぬ範囲で認める」

 拍の石が落ち切ったとき、紙は刃から契約へ変わっていた。


9. 紅月からの“献木”


 日暮れ前、紅月の輜重が境に現れた。

 箱が二つ。ひとつは香り高い茶、もうひとつは黒い土。

 ジルベルトは扇を広げ、「献木の象徴」として黒土を広場に置いた。


 土は冷たく、重い。

 ロナが指先でつまみ、湧き水に一粒だけ落とした。

 水は嫌がらない。むしろ少し明るむ。

 「この土は“祟り”の土ではない。――紅月の民の畑の土だ」

 ロナの声に、広場の空気がわずかに変わる。


「献木は拒む。だが、土は受ける」

 俺は黒土の箱から一握りを取り、世界樹の外縁に植えた若木の根元へ撒いた。

 若木は葉を震わせる。

 「土は混ざる。国は混ざらない。――なら、土を先に混ぜる」


 ジルベルトが目を細める。「詩人だな、守り人」

 カサンドラが肩を竦めた。「詩は刃に弱いが、土に強い」


10. 旅の種と、息の地図


 「種守」は戻り、また出て、戻り続けていた。

 各地の石や布や手紙が広場に積まれ、板葉の端に貼られる。

 「井戸が浅い村」「風の強い谷」「祈りの濃い宿場」

 息の地図が、葉脈のように広がっていく。


 カイルは地図の隙を見つけ、分水の枝をそこへ伸ばす提案をした。

 文官は板葉の記録を“曜日”ではなく拍の型で整理し、ミレイユは王都の学院から白樺の苗を取り寄せる段取りをつけた。

 テールは緑糸の編み目を細かくし、葉幕の修繕に子どもたちを加えた。

 ロナは“祈らぬ夜”のやり方を歌にして、吟遊たちと一緒に眠りの輪唱を作った。


 老婆が言う。「戦の話は腹が減る。眠りの歌は腹を落ち着かせる。――どっちも必要だよ」


11. もうひとつの宣言


 日が傾いたころ、リオンが境席に立った。

 剣は鞘に、鞘口の紐は緩く。

 「勇者リオンとしてではなく、名なき一人として話す」

 境席の条件を自ら守る彼に、広場の熱は少し下がる。


「黒炎の陣は、今夜、紅月で“敗戦の物語”に書き換えられるだろう。だが、それは祈祷の言葉だ。……俺はここで、“呼吸の言葉”を残したい」


 彼は共の板に短く刻んだ。


『剣は、席の外で抜く』

『席は、剣の外にある』

『明日の朝食は、ここで食う』


 笑いが起こり、熱が溶け、拍が整う。

 俺は彼の肩を軽く叩いた。「粥でいい」

 「粥がいい」

 言葉は増やさない。約束だけを増やす。


12. 夜の鈍火にび


 広場がいったん解散し、人々が料理の火を囲む。

 火は小さく、鈍い。

 祈りは夜まで持ち帰る約束だが、歌は許される。

 吟遊たちの新しい輪唱に、老婆の昔歌が混ざり、子どもの笑いが拍をとる。


 カサンドラは板葉を数えながら、ぽつりと言う。

 「王都で“席”が流行ればいい。紅月で“境席”が増えればいい。――どちらも無理でも、息の地図が広がれば、刃は散る」


「刃は散っても、影は寄る」

 カイルが火を見つめた。「今夜、どこかの旗が“密の刃”を投げてくる。言葉の戦で負けそうな方が、先に投げる」


 テールが立ち上がる。「糸は俺が受ける。今の俺の糸は喉を切らない」

 ロナが頷く。「もし刃が“祈り”を纏ってきたら、俺がほどく」

 ラグは笑って大槌を肩に乗せた。「刃が席に乗ったら、席ごとひっくり返してやる」


 世界樹が軽く鳴り、葉が二枚、火に落ちず手元に舞い降りた。

 厚い葉――ここに残る者へ。

 薄い葉――遠くへ行く者へ。

 俺は二枚をそれぞれ彼らに渡した。


13. 密の刃


 夜半、密やかな気配が堀を舐めた。

 風の筋がひとつ乱れ、葉幕の影がわずかに揺れる。

 来た。


 黒い影は歌の合間を狙って滑り込み、境席の共の板へ細い刃を置こうとした。

 刃には小さな印――“暴言”の札。

 席を汚し、明日、王都や紅月で「席は荒れた」と広めるつもりだ。


 テールの緑糸が音もなく走り、刃の柄をやさしく絡め取る。

 刃は喉を切られず、座らされた。

 ロナが指先で空気を撫で、祈祷の結び目をほどく。

 札はただの紙に戻り、泥へ混ざって消えた。


 影は逃げる。

 追わない。

 追えば物語が“血”に傾く。

 今夜は眠りの夜だ。

 俺たちは歌を途切れさせず、火を上げず、朝まで呼吸を続けた。


14. 朝の布告、朝の粥


 夜が白み、鳥が鳴く。

 王都と議会から、それぞれ朝の布告が届いた。

 王は“黒炎の停止”に王印を重ね、議会は“境席の試験導入”を告知した。

 どちらの紙にも、周縁に葉の小さな印が押されている。――昨夜、境席で押した「誰のものでもない印」だ。


 紅月からは、沈黙。

 沈黙は時に、言葉より重い。

 ジルベルトは扇の陰から目だけで笑った。「沈黙の詩もある」

 カサンドラは肩をすくめる。「詩は土に混ぜよう」


 そして――粥。

 広場の真ん中で、老婆の大鍋が湯気を上げる。

 リオンが椀を持ち、子どもに先を譲り、ラグが笑い、カイルが短く礼を言い、ミレイユが薬草を一枚ずつ落とす。

 ロナは泥の盃で水を飲み、テールは糸を手から離し、文官は板葉を伏せ、吟遊は竪琴を寝かせた。

 俺は鍬を立て、世界樹の根に手を置く。

 ――朝食は、皆で食う。


「宣言する」

 カサンドラが椀を掲げる。

 「**席のいち**を開く。毎朝、ここで。王印も議会印も紅月の紙も、民の願いも、旅人の歌も、全部ここへ。――燃えるなら、席で燃えろ」


 歓声ではなく、深い息が広がる。

 世界樹が微かに鳴り、葉が一枚、共の板に落ちた。

 葉脈が朝の光を吸い、息の憲章の文字が浮かび上がる。


15. 根の誓盟、言葉の継ぎ目


 昼下がり、俺は世界樹の外縁に植えた若木の根元に膝をついた。

 紅月の黒土と王都から届いた白樺の苗土、そしてこの砦の土。

 土は混ざり、境が消え、湿りだけが通っている。

 そこへ指先で小さな溝を刻み、湧き水の薄い脈を引いた。


「ここに“誓盟せいめい”を足す」

 俺は独り言のように呟き、短く刻む。

 『根は境を越える。――席も、越える』

 文字はすぐ土に滲み、見えなくなった。

 見えないが、拍として残る。


 背後で足音。

 リオンが立っていた。

 剣は帯に、鞘口の紐はまた緩い。


「王都で席が増えるか?」

 俺が訊くと、彼は肩で笑った。

 「増やす。増えないなら、増えたことにする。――物語は後から追いかける」


 彼は鍬の柄に手を添え、短く言った。

 「明日も、粥だろう?」

 「ああ。粥だ」

 「粥がいい」


 それで十分だった。

 言葉は長くなくていい。

 席が長く続けば。


16. 遠い息


 夕方、種守の子らが新しい石と布を抱えて戻ってきた。

 石には雑な世界樹の絵。布には下手な文字――『ここにもいき』。

 字は間違っている。

 だが息は合っている。


 板葉に貼ると、地図の葉脈がまた一本伸びた。

 遠い村、さらに遠い峠。

 そこにも、席が生まれつつあるのだろう。

 火の代わりに鈍火。祈りの代わりに眠りの歌。

 剣の代わりに鍬。王印の代わりに葉の印。


 世界樹が高く鳴り、鳥が一斉に飛び立つ。

 見上げれば、枝の間に夕星。

 その光は弱い。だが、消えない。


17. 終わりではなく、始まり


 黒炎は折れた。

 だが、言葉の戦は続く。

 王は冠を磨き、議会は布を繕い、紅月は詩と影を交互に送るだろう。

 そのたびに、俺たちは席を出す。

 刃が全部は届かないほど、席を増やす。

 祈りが熱を上げすぎないよう、眠りの歌を増やす。

 火が高くならないよう、鈍火を囲む。


 畑は臓器だ。

 世界樹は眠らない心臓だ。

 堀は胃で、葉幕は肺で、長机は舌だ。

 そして人は、言葉を咀嚼する歯であり、飲み込む喉であり、吐き戻す意志だ。


 俺は湧き水に掌を落とし、脈を数えた。

 一、二、三――呼吸は合っている。

 椀を持つ手が震えていない。

 子どもの笑いが、祈りに変わっていない。

 火は鈍く、葉は青い。

 それで、今日は十分だ。


 鍬を立てる。

 世界樹が、眠たげに鳴いた。

 ――明日も耕そう。

 粥を炊き、席を拡げ、息を通す。

 物語から半歩外れて、現実の方へ根を伸ばす。


 それが、ここでの勝ち方だ。


つづく

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