ゆいこのトライアングルレッスンB〜社会人一年目が贈るアクセサリー〜
「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」にて採用していただきました。
詳しくは
https://youtu.be/ZlcrFuiWKIU?si=T0TDuU1hZtFUPaCw
をお聞き下さい。
そもそも「ゆいこのトライアングルレッスン」とは?と思われた方は、
ゆいこのトライアングルレッスン〜軌跡〜
https://ncode.syosetu.com/n1009ic/
をご一読いただくと、より楽しめると思います。
「ハッピーバースデー、ディアゆいこ〜、かんぱーい」
「かんぱーい!ってやっぱひろしがいないと盛りがらないよ。」
「仕方ないだろ、仕事で遅れるから先始めていてって言うんだから。とりあえずケーキ以外は食べてようぜ」
「そうだね。」
社会人一年目のひろしとたくみは、会社が近いということで二人で同居をしている。そのお家にお邪魔しているわけなんだけど、会社勤め半年のひろしは残業が多いらしい。
「9時かぁ、まだ帰ってこないなぁ。」
「そうだ。ゆいこ、バースデープレゼントやるよ。」
「わぁ、ありがとう。」
リボンのかかった細長い箱を受け取る。
「開けていい。」
「もっちろーん。」
箱を開けてみると、中には青く輝く雫型のネックレスが入っていた。
「大人っぽくてステキ!サファイアかな?」
「そう。9月の誕生石だってよ。つけてやるから、はい、鏡持って。」
渡された鏡を持つ。金具を止める指がうなじに触れてこそばゆい。鏡越しに首元を見ていたが、ふと目線を少し横にずらすと、真剣な眼差しのたくみが映った。
「できた。うん。ゆいこ可愛い。」
鏡の中で目が合ったたくみは、そのまま後ろから両手で包み込んできた。
バックハグ…。たくみどうしたの?と言葉に出せずにいると、突然ガチャっとドアノブを回す音がした。
「ひろし、おかえり。」
「珍しいな、たくみが出迎えてくれるなんて。ゆいこ、遅くなってごめん。ん?どうした鏡なんて持って。」
「えっと、たくみが誕生日プレゼントにネックレスをくれて…」
「あぁ。似合ってるよ。」
ケーキを食べて、ひとしきり盛り上がったあとは、たくみは酔っ払ってソファにもたれて寝てしまった。
「もう、たくみったら、飲み過ぎなんだから。」
「いつものパターンだよ。あ、ゆいこ、忘れないうちに誕生日プレゼント。はい、おめでとう。」
「わぁ、ありがとう。」
リボンのかかった正方形の箱を受け取る。
「開けていい?」
「あぁ。」
中には、内側が濃い赤で外側に向かって白へのグラデーションの花びらが何枚も重なった花が2つあった。
「わぁ綺麗!ピアス?」
「つまみ細工でできたダリアのピアスだよ。」
「ダリア?」
「9月の誕生花なんだって。」
「つけていい?」
「俺が左耳つけるよ。」
左横20センチくらいの距離にひろしの顔があった。耳朶をつままれたまま、ピアスが穴を通り、キャッチをつけてくれたのを感じた。あまりの近さにドキドキが止まらず、自分ではなかなかピアスを穴に通せない。
「そっちもつけるよ。」
右隣に移ったひろしはすぐにつけてくれたのだろうけど体感は、すごく長い時間だった。胸の高鳴りがどんどん速くなっていく。
「ゆいこ、こっち向いて。」
と、声をかけられ、ひろしの方を向く。ピアスをつけてくれたひろしの手は、そのまま私の耳から顎にかけて添えられていて、穏やかな顔をしたひろしと目が合う。見つめ合ったまま、頬がじわりと熱を帯びてきて、ひろしの手のぬくもりよりも熱くなりそうだ。
「ゆいこ〜、ハッピーバースデ〜」
静寂を破ったのは、たくみの声だった。二人してたくみを見ると、たくみはまだ寝ている。
「なんだ、寝言…あっ、私、そろそろ、帰る時間だ。」
「あぁ。駅まで送るよ。」
何事もなかったように帰り支度をしていると、たくみが起きてきたので、3人で駅に向かう。塾に迎えに来てくれていたあの頃のように、私は二人に挟まれて歩くのだった。
トライアングルレッスンな交流ができたらいいなと思っていますので、コメントなど残していただけると嬉しいです。
シリーズ「トライアングルレッスン〜三角関係でいたい私たち〜」のU〜和服の試着は至近距離〜とU2〜ゆいこがもらった第2ボタン〜の間に位置する物語です。もしご興味を持っていただけたのなら、こちらも覗きにいらしてくださいませ。




