表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変人王子から逆ハーレムをつくれと命じられました。髪色ピンクな令嬢ですがそんな才能はありません  作者: キモウサ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/6

第二話 地味女子に逆ハーレムなんて無理無理!

 シリウス殿下から頭に変な黄緑色の液体をかけられて騒いでいたら、王宮の侍女さんが気がついて駆けつけてくれた。その侍女さんは親切な人で、本や書類が山積みになったソファを片付け、そこに私を座らせて濡れた髪を拭うタオルまで持ってきてくれたのだ。


 結ってある髪をほどいて濡れた髪を拭きたいけれど、今は上から軽くタオルで押さえる程度しかできない。そして、私のピンク色の髪は黄緑色の液体をかけられてもピンクのままだったため、晴れて地色だということが証明できた。


 シリウス殿下はその事実に満足げだった。そうそう、親切な侍女さんがこっそり教えてくれたけれど、このクソ王子はやっぱり本物で、私が今いる部屋は殿下の執務室だそうだ。


 それにしても新しい配属先の初日に、まさか頭から黄緑色の液体をかけられるとは思ってもいなかった。殿下は私の対面に座り、なにやら書類を熱心に読んでいる。


 「黄緑色の液体に気をとられて自己紹介もしておりませんでした。私、アリシア・グレイと申します。グレイ男爵家の長女です」


 かなり嫌味っぽいニュアンスで自己紹介してみる。


 「アリリアか……今日から俺がお前の上司だ」


 初っ端から名前、間違ってますね。いや、それより殿下が私の新しい上司とか初耳なんですが……。

 

 「アリリアではなくアリシアですが、シリウス殿下が私の新しい上司……ですか?」


 「そうだ。よろしく頼む」


 王宮の人事課の担当者が新しい配属先について、ごにょごにょと誤魔化していた理由が分かった。変人王子が上司だと知ったら、私が拒否するかもしれないと思ったのかもしれない。


 現金が必要なんで、変人王子でも拒否なんてしないんだけどね。


 それにしてもシリウス殿下、私に変な液体をかけたことを、まったく気にしていないみたいだ。謝罪の一言もない。じとりと眼の前に座っている殿下を見る。あれ?殿下が読んでいるのは、以前、提出しておいた私の履歴書みたい。今頃読むの?


 「――アルリア・グレイか。王立学園を首席で卒業。王宮の採用試験もトップで合格。3ヶ国語に堪能とは凄まじく優秀だな」


 3カ国語に堪能といえば聞こえはいいが、私のように国境に近い辺境の地に住んでいれば、隣国の人たちと関わる機会も多い。なので辺境の地では普通のスペックなのだ。


 「私の名前はアルリアではなくアリシアですが、お褒めにあずかり光栄です」


 それにしても、まるで私の履歴書をたった今、読んだかのような言いっぷりだ。成績が優秀なので、騎士団を放り出されたときに殿下が拾ってくれたのかと思っていた。じゃないと三ヶ月で放り出されるような奴を引き受けたりはしないと思っていたのだが違った?


 殿下は履歴書に目を通すのをやめて、私を真剣な眼差しで見始めた。より正確にいうのならば、私の髪を真剣に見ている。


 「髪色がピンクの者がいたら寄越すようにと指示しておいたのだが、これほど見事なピンクが来るとは……」


 そうか髪か……成績じゃなくて私の髪がピンク色だから連れてこられたのか。がっかり。でもまあ運も実力のうちと言うじゃない。髪色も実力のうちよ。そういうことにしておこう。現金さえ稼げればなんだっていい。


 でも、なぜピンク色の髪をした部下が必要なんだろう?そんな疑問を抱いていると、急に殿下の目がキラリと光った。

 


 「逆ハーレム、もう作っているのか?」

 


 いきなり殿下からおかしな質問がきた。これが王族ジョークってやつか?高貴な方の笑いのツボが分からん。私は分厚いメガネをくいっと指で持ち上げながら、デキる文官らしく冷静に答えた。

 


 「シリウス殿下、私をよく御覧くださいませ。このように地味な女に逆ハーレムは不可能でございます」

 


 ついでにソファから立ち上がり、殿下の前でくるりと一回転してみせた。全身をごらんくださいませ。


 自分でいうのもなんだけど、面白みのない容姿だ。顔立ちは悪くないが良くもない。鼻が少し低い。色白のせいでそばかすが浮き上がって目立つ。


 身長も体重も普通。貴族学園に通っていた頃のあだ名はシスター・アリシア。修道女のように厳しく、クソ真面目で面白みのない女という意味だ。


 どうやっても私から学年首席の称号を奪えない、愚かな令息どもが名付けたあだ名だけど私は嫌いじゃなかった。


 殿下は私を頭の先から爪の先まで、じっくりと観察している。普通であれば若い男性、しかも超イケメンの王子様からジロジロと見られたら、気恥ずかしく思うだろう。


 だけど不気味な黄緑色の液体をかけられた後じゃねぇ。なんとも思わん。浮ついた気持ちの入る(すき)がない。

 

 「確かに、君では逆ハーレムは無理そうだ」

 

 うん。自分でも分かっていたけれど、人から事実を指摘されるとムカッとするね。特に相手が変人王子だと。上司が変人なのは不安でしかないが、同僚と一緒に頑張っていこう。


 「ところで他の同僚の方々にも、新任のご挨拶をしたいのですが」


 「ん?私の部下は君ひとりだが?」


 この変人王子と二人っきりってこと?王子のくせに側近もいないの?無理だわー!無理無理。――いや、我慢だ。現金現金。王子を見たら現金と思え。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ