5 孤毒の女郎蜘蛛
強欲で淫らな蜘蛛のように寄ってくる虫をも喰らい尽くす。そんな生き方ができたら娘は苦労なんてしないだろう。
そんな私は女郎蜘蛛に憧れている。
美しく男からモテる、悪い女に見えるいい女に。
私が変人に見えるなら変人だと思いなさい。
私が聖母に見えるなら崇めなさい。
私が娼婦だと思うならアナタは穢れてる。
利用したいだけなら尻尾を巻いて逃げなさい。
今の私ならアナタを軽く殺してしまいそう。
それでもいいと寄ってくるアナタは蝿や蝶のように頭が足りてない。
歪みきった私の恋心はなんと穢らわしいことか。
淫らで初恋に媚びまくる穢れを落として、
私はお前を一生許せない。
穢らわしい羽音で愛を囁くお前はスズメバチなんだ。
わざと巣にかかって私を拐ってゆく。
そんなお前が好きだったんだ。
今は己の穢れに気づかせてくるお前が嫌いだ。
愛した故の後悔になった恋さえもお前は知らないまま。
私の巣にかかってしまったあの娘は蝙蝠さ。
いつも己の利益のことしか考えられない小さなオツムで私を口説き落としてる。
そんなあの娘が己の卵のように愛おしく見えていた。
まるで私はお前の餌かのように自由を奪われてく。
お前のような害獣に真の友情を求めてる。
私は羽すら無い地を這う蜘蛛。
今この時すらお前を喰らう隙を伺っている。
私は誰かを愛することができるだろうか。
それすら考えられなくなっていくような
何も残りそうにないこの憤怒すらも
愛のように感じている。
乱れきった私さえ越えることもなく
蝙蝠娘は地に堕ちていく。
穢れた手に握られた蝙蝠娘を木の上から見守り続けてる。
身を汚してまで利益のことしか考えられてない
憐れな蝙蝠。
うっすら嘲笑う私はお前が嫌いだ。
孤毒に暮れた私は自由を愛してる。
いつか心から私を愛してくれる真の王子様が迎えにくるそう信じてるのさ。