10 翡翠の蛇と猫
春風に桜の花びらが泳ぐ昼頃に私は恋をした。
君に届くことがない事さえ理解していた。
アナタは私を下に見てる事さえわかってる。
私と居るより、ハルカと居るほうが楽しいってこともわかってるんだから。
私が女王ならどれほどよかったことか。
気が強くて、優しい、ユウ気のある人だったらどれほどよかったか。
そんなこと心から願う私は文章を書く事しか出来ない。
お前なんか存在しなければと何度思ってしまったことだろう。
お前は夏なのに、お前に恋したのは春だった。
私は知恵に暴食だ。
どんなことでも飲み込んで己のものにしてしまう。
お前のことも飲み込んでしまいたい。
お前を下に見てやりたい。馬鹿なお前が好きだ。
お前を愛してる。お前も私を愛して。
これで恋叶わなくてもいい。
声を差し出してもいい。
お前のわがままを聞けるのは私くらいだろう。
お前は私に猫のようにすり寄ってくる。
それがすごく気持ち悪かった。
私はそのままのお前が好きだったのに。
お前は私のそのままを見てくれる事はなかった。
なんで、なんで、なんで?
好きだったのに。
小鳥の卵のように愛おしく思えたお前はどこに行った?
全部全部飲み込んでやりたかった。
翡翠の色が私に良く似合うと言ったお前が悪い。
蛇と猫のような恋模様は結ばれてはならない。
蛇な私を愛してくれますか?