お風呂行こうよっ
早いと十日か……。
明日はゆっくりーとか言ってられないなぁ。
もう遅いので今日も宿舎で寝ないとね。
フェルミナは当然ボクについて来るのだけど……。
「エストアどしたの? 一緒に寝たいの?」
「ば、ばか……違うわよ。 これからはフェルミナ殿下の護衛に付くのよっ」
「エストア様、ご一緒頂いてもよろしいですわよ」
「遠慮させていただきます。 殿下とユフィの時間を邪魔する無粋は致しません」
「お心遣い感謝致します」
「寂しくなったらノエルちゃんが優しくしてくれるよっ」
「はぁ? 要らないわよっ」
フェルミナさんや? 数日ぶりに普通に睡眠と思っているのだけど?
綺麗な顔なのに興奮が隠せなくて残念美人になってるので軽く唇を合わせて逃げてやる。
フフッ、期待を裏切られて拗ねる顔が愛らしい。
「お風呂行こうよっ」
「はい」
宿舎は共同浴場しかないので、フェルミナの登場にまたしても場が凍りついていく。
わらわら。
しかし、彼女は惜しげもなく全裸になるから同性といえども興味を抑えるのが難しいみたいで、みんなの目が釘付けになってしまう。
ボクはちゃんと隠すよー。
まだまだ慣れないよー。
メイドさん達には遠慮してもらったから、ゆっくり彼女の髪を洗ってあげるのだ。
大変だけど嫌ではない。
ミネルバ製の泡立ちの良くて香りの良いシャンプーに気持ち良さそうにしてくれる顔がかわいくて見とれてしまう。
ボクの髪も彼女が細い指で丁寧に洗ってくれて実に癒される。
ボク達に感化されたのか、みんな洗いっこを始めたのでシャンプーと石鹸をサービス。
クセになるけど高級品だよ。
同じ様に洗っても泡立たない事に不思議そうな人には手短にレクチャーしてあげると、ボクをとられたフェルミナがペアのいない娘の髪を洗い始めたので娘ちゃんは真っ赤になっちゃって。
のぼせるなよー、惚れるなよー。
いや、惚れるなと言う方が無理があるね。
部屋に戻るなりフェルミナの唇を奪う。
さっきのお返しか、逃げようと下がる彼女だけど逃がす訳もなくベットに押し倒し、朱くなりながらもほっぺで抗議する彼女がかわいくて唇を合わせると、重ね返してきてくれる唇に心がとろける。
………………
「ユフィ様……」
「おはようフェルミナ」
顔を上げる彼女に優しく唇を合わせて、更に求めてくる唇に指で蓋をする。
「だぁめっ」
「寂しいです」
「かわいいね。 でもボクがダメになっちゃうから」
「……わかりました。 帰りをお待ちしております」
「うん、頑張ってくるよ」
いつもの冒険者風の服をきて、フェルミナと唇を合わせ、エストアにキスをイヤイヤされて、アシェ達の船に向かって足を進める。
「おはようアシェお姉様。 おはようサシャ」
「おはようユフィ。 早いな、何かあったか?」
一応昨日までの報告と、これからの予定と……。
「ちょっとシャルマンまで行ってくるよ」
「ちょっとで行くとこじゃねーし、しかも婚約確定してんじゃねーかっ」
ジュノーの転生の件は話さないつもりだったけど予測はしてたみたいでアシェから匂わせてきた。
前回の軍議の問題点は解決済。
エストアはフェルミナの護衛で、有事の際は姉様達が王族の直ぐ側に配置される。
後はシャルマンの地形や戦況を確認して終了。
「ありがと。 ボクが帰るまでは保たせてね」
「あたしが負けると判断したら逃げるのは変わらないから、そんな状況になる前に帰ってこい」
「わかってる」




