美少女連れ込み事案発生
また、知らない空間だ。
美少女連れ込み事案発生。
真っ白な空間の中でボクの隣には一人の少女。
ジュノーに変化があったのは三日目の夜。
魔力注入の後にけたたましい音と共にジュノーが再起動する。
元々凄い起動音なのにより甲高い音が辺りに鳴り響き周囲の建物から人々が飛び出してきて、国王陛下と王子まで出てくるほど。
「へっへっへ。 終わったよフェルミナ。 ……君は誰?」
隣にいたのは髪はストレートだけどフェルミナのそっくりさん。
見た感じは十二歳ほど、綺麗な薄紫色の髪に綺麗な顔も同じでお人形さんそのもの、普通の空間で出逢ったならフェルミナの血縁を想像できる。
「君……、私を引き継げ」
綺麗な声だけど何の感情も入ってない。
「ボクにジュノーの王になれと?」
「そうだ。 私を受け入れろ」
王様か、権力なんかに興味はないし、他人の人生の責任なんてとれない。
でも、誰かを幸せに出来るかもしれない。
でも、それ以上の人を殺すかもしれない。
でも……、でも……、でも……、でも…………。
でも、その覚悟があるなら……その覚悟が出来るなら。
「はい」
「良い。 始める」
ボクと少女を囲んで、視界を埋め尽くす多重構成陣が展開された後にガラスが割れた様にパラパラと崩れ落ちる。
終わった?
「既に神を宿しておる。 引き継がせる事叶わぬ」
あっ、静がいるから?
あれっ? ボクの覚悟は?
「それを。 私は時を待つ」
「ちょっとまっ…………」
空間が消滅して元の場所に戻される。
そこにジュノーの姿はなく、静寂が辺りを包んでいてボクの手には真っ白な細剣が握られている。
「ユフィ様、ジュノーは?」
「これがジュノーだよ」
「この剣が……」
「ユフィ様。 陛下がお呼びです。 フェルミナもおいで」
「はい、お兄様」
ルクレツィアの招きのままに宿舎の応接室に入り、少しして陛下が入って来るのをフェルミナと敬礼で迎える。
「楽にしてくれ」
「はい」
陛下の目はジュノーに向けられている。
「君はシュツルムを引き継いだんだね」
「シュツルム?」
「そうだ。 ルクレツィアのファウスト、フェルミナのエンゲージ、そして君のシュツルムだ」
「残念ながら、引き継いではおりません。 私は既に神を宿しており、シュツルムは「時を待つ」と」
「既に神を……。 名を聞いても?」
「サイレンです」
「本当か?! 北の魔神サイレンを?」
「眠っておりますが、真実です」
「なるほどそれなら君の強さの説明がつく。 神器は持ってないと言ってなかったか?」
ボクの強さは自前でございますよ陛下。
此奴は寝ているだけの役立たずでございます。
いてっ。
…………中空からタライが落ちてきたと思ったけど気の所為だった様だ。
ボクがキョロキョロしたので全員が中空をキョロキョロしてしまう。
「すいません。 神器は無いと思っております。 眠っていますので確認はとれませんが」
「そうか。 しかし、シュツルムは君に剣を託したのだな?」
「はい」
「消える前のシュツルムを見たかね?」
「見ておりません」
「君の魔力の影響だろうな。 全く別の姿になっていたよ。 まぁ、よい。 ここに四体のジュノーと操者がいる。 フェルミナとユフィ君にも知っていてもらいたい事がある」
ジュノーはもうすぐ転生の時期で転生が始まると数日間動けない為、そこを狙っていると考えられる事。
転生期まで10〜30日の間と思われる事
転生するのは国王のジュノー本体のみだけど眷族もその間は弱体すると考えられる事。
そして、ルシル王太子はシャルマンとの繋がりが疑われており、王太子とチェスターによりシャルマンに情報が漏れていて、今の小競り合いはジュノスの強さから転生を見定めようとしていると思われる事。
「ユフィ君。 この間の話は白紙にして、フェルミナに嫁ぐつもりはないかな? ジュノーが認めた君なら王族に入るに何の問題もないのだが」
「お父様……」
「私には過ぎたお話ですね。 だが断るっ(ふふんっ、言ってみたかった)。 私は地位や権力に興味はありませんが、彼の地には大切な物は多くあります。 フェルミナと一緒になるなら、ジュノーのユフィではなくファーレンのユフィとして貰い受けたいと思っています。 ダメかな?」
「いいえ。 お傍に置いていただければ、それだけで幸せでございます」
「ありがと」
「国王としては認められる行為ではないのだがな。 まぁ、まだ時間はある考えておいてくれ。 私個人としても君が欲しいと思っている」
「お父様!」
ほっぺを膨らますフェルミナに強く抱き寄せられる。
あぁ、大きすぎなくて安心する。
「何を考えている。 女性として興味を持つはずが無いだろう。 えらく変わって帰って来たものだ。良いのか、悪いのか」
「では、ボクとお食事などいかがでしょうか?」
「お兄様もダメですっ」
この流れで誘われても嬉しくないからねー。




