一日中寝てるの?
また、知らない天井だ。
……良い匂い。
「おはよ」
「おはよ。 朝?」
「朝。 領事館の宿舎の一室だよ」
「イタズラしたでしょ?」
「してません」
「こんなにかわいい娘が無防備に寝てるのに? 服脱がしてるじゃん」
「一緒にしないで。 メイドさんに頼んだのよ。 よだれ垂らしながら服脱がしたりしないから。 後、自分でかわいいゆーな」
誰の事だよ?
よだれ垂らした事ないわっ。
「ユフィ抱っこして走ったら、船もフェルミナ殿下の所も一時間以上かかるからね。 殿下にはメイドさんから伝わってるはずだよ」
「ん、ありがと。 ジュノーは?」
「残念ながらまだかなぁ。 穴は小さくなった気はするけどね」
「そっか。 よし、行くよ」
「今から? 大丈夫なの?」
「大丈夫」
もう倒れないんだからっ。
…………チーン。
もう知ってる天井だ。
「起きた? お昼にしよっか?」
「そーいや夜も食べてないもんねぇ? ジュノーは?」
「まだ」
宿舎なのでお昼は食堂。
なんだか四面楚歌な雰囲気で視線が痛いけど、あの時のメイドさんと他数人からは感謝の言葉を貰えた。
「ご無事で良かったです。 またお世話になります。」
「ユフィ様のお陰です、ありがとうございました」
さて、行きますかっ。
…………チーン。
もう夜か。
明日も一日潰れそうだなぁ。
制御は難しい、突然くるから感覚じゃ無理かも?
メーターとかステータスがあれば楽なのに。
まぁ、もどして無いだけマシと言えばマシ。
エストアや人様に片付けて貰うのもねぇ。
コンコン。
「どーぞー」
「ユフィ、フェルミナ殿下が来てるよ」
「ユフィ様、今日は一緒に帰って頂きますわよ」
「倒れて寝るだけだからここでいーよー」
「では私もここで休みます」
「狭いよ?」
「狭い方が嬉しいです」
「はい……」
「夕食は?」
「まだでしたらご一緒に」
「食堂だよ?」
「お父様とご一緒しますか?」
「食堂でお願いします」
まさかのフェルミナの登場に、賑やかさのあった食堂も一気に張り詰めてしまう。
威圧的な振る舞いは無くても、纏っている雰囲気が違う。
まぁ、普通そうだよね。
ボクは見下してるつもりはないんだけど、どこか他人事と思ってしまってるのかもしれない。
フェルミナはやっぱりお姫様。
メイドさん達はともかく、話かけられたコックさんや給仕さんはカチコチになってしまう。
ボクもお姫様だけどねー。
おーい。
この食堂のメニューは一般人向けなので学園ほどの豪華さはない。
美味しいけどフェルミナは満足できるのかな?
食事が終わればまたジュノーの所へ。
フェルミナとお付のメイドさん達の見守る中で、張り切ってみるが。
…………チーン。
起きたのは朝なんだけど、今回は傍にフェルミナが寄り添っていてくれてる。
目が開いた彼女の頬を撫でて唇を重ね合う。
充電いっぱい。夢……いっぱい……?
夢か……。
夢ってなんだっけ。
充電いっぱい、愛いっぱい。
今日も頑張って仕事しようじゃないかっ。
まぁ、仕事時間は数分だけどさ。
食堂で朝食を頂くけど、朝から殿下に出会うのはショックが強そう。
ケケケケ。
けっこう穴は小さくなったよね。
ヒールを少しづつ放出するイメージはどうかな?
…………チーン。
お昼。
ベットで目覚めて、また寄り添うフェルミナと唇を重ねる。
何故寝ている?
まぁ、お姫様だから寝てても良いんだろうけどさっ。
巻き髪が崩れちゃうよね?
まぁ、お姫様だから、何回でも直して貰えるんだけどさっ。
お昼を食べたらまた仕事。
食べたら直ぐ寝て……。
起きたらまた寝て……。
もう、人でなし。
Oh………………。
太るね。
でも、異世界転生ご都合設定のお陰か太った事はない。
ジュノーくんよ、君……吸ってるよね?
ギリギリで終わろうしてるのに、そこからの減少感がヤバいもん。
でも、もう少しだからね。
吸われないように吸い込むイメージはどうだっ?
………チーン。
夜か。
傍に寄り添うフェルミナの顔を見て髪をいじってると、唇が重ねられるんだけど、一日中寝て過ごしてるの?
毎度傍で一緒に寝ているというのも、なかなかないシチュエーションだよね?
ジュノーの傷塞がってるじゃん。
もう回復いらなくない?
「ジュノー。 答えて」
返事はない。が、ただのしかばねではない。
ヒール……リリース。
まだ吸うのか……。
…………チーン。




