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お前……もういい

 細くて軽いなぁ。

 スリスリスリスリぃ。

 へへへ。

 彼女を抱きかかえてメイドさんに預けるけど、降ろす前に頬の感触を堪能しておく。

 充電、充電っ。

 柔らかくてすべすべぇ。

 メイドさんが変な目で見た気がしたけど……、気の所為みたいだね。

 


 さぁ、ゴミ虫君。 期待はしてないけど気分悪くさせないでね。

 あれ? こいつ誰だっけ? まぁ、いいけど。


「王太子殿下はお逃げにならないのですね?」

「身分を弁えろ不愉快だ」

「不敬を承知でお願いに参りました。 私に対する処分の撤回をお願いしたいのです。 それだけ叶えば損害も補償いたします」

「成る訳が無いだろう。 ゴミは生きているだけで害しかもたらさんからな」

「私の実力はご覧になっていただいたと思いますし、ここにいる者はだれも殺めてはおりません」

「エストアは身内だろう? うまく演技したものだ」

「近衛の操者二人も倒しましたが?」

「随分と油断していた様だな。 近衛の資格があったのかさえ疑われる。 適性を考えねばならんな」

「…………。 認めてはいただけないと?」

「当たり前だろう。 お前は不敬罪で死刑に処する。 平民付勢が付け上がりおって偉そうに、お前程度はいくらでもいる」


「そうですか。 最後に国王陛下にお目通りさせていただく事は叶いませんか?」

「不敬だと言っている」

「そうですか」


 はぁ、どうしよう。

 フェルミナとの約束は守りたいけど、こいつはダメだ。

 一旦立ち去りたいのだけどゴミ虫殿下は何かあるらしい。


「何処へ行くつもりだ? お前は死刑だと言っている」

「一人で何言ってるの? 誰がボクを捕まえられると?」

「笑わせるな。 感謝するのだな。 私が直接手を下してやる」



 インフェルノ、シールドプリズン……リリース。

 魔力の動きに対して、指の合図でゴミ虫が炎に包まれる。

 ボクの結界は神器でも破壊に時間がかかると思ってる。

 1・2・3・4・5……30…………。

 動きがない。 

 死んだ?

 

 突如、結界が膨らんで弾け空間の歪みが拡がっていく。

 バキバキと領事館のホールが崩れ落ちていく。



「クラスっ! みんなを護って。 エストア起こしてっ」

「Yes Master.」


 こんのバカ王子ー。

 魔力探知サーチ、短距離転移テレポート……リリース。

 テレポートを連発して順番に領事館にいる人をクラスの防壁の範囲に連れ去ってくる。

 承諾なしで転移させるから魔力消費がハンパない。

 魔力がキツイー。


 三階の広い部屋に座る落ち着いた雰囲気のオジサマと騎士服の若者。

 目が合った瞬間に強制転移出来ないと判る。


「時間がありません。 私を信じて転移を受け入れて下さい」


 目の返事を受け取り直ぐに転移。


 …………よし、生きてる人は全員。

 誰も死んでない事を祈るよ。



「綺麗な魔装機……」

「エストアっ。 呆けてないで避難させてっ!」

「は、はいっ」


 頭の痛みと目眩を感じてその場に膝をつく。

 やっば、ゴミ虫の相手が出来ない。

 目の前には完全に姿を現した真っ白の美しい機体が迫るが、その斬撃はクラスが防壁で弾いてくれる。

 …………。 


「おい、ゴミ虫……。 何でここでジュノー出した? 今のもそう……、周りにまで被害でるよねぇ?」

「兵士と平民など数に入らん。 それに私の手であの世にいけるのだ、これ以上の幸せがあるか?」

「民をないがしろにして国が成り立つと思ってるの?」

「民など勝手に増える。 王さえいれば国は成る」

「フェルミナは最後まで民と共にあるそうだよ」

「あいつは愚か者だ。 優しさで国は治まらん」


 愚か者か。 

 このセカイの考え方として普通なの?

 判らないけどボクにはフェルミナの方がいい。


「お前……もういい。 死ねよ」

「この……、ゴミがっ、ゴミがっ、ゴミがっ」



 子供の様な斬撃を魔装機の防壁を展開させて受ける。

 うん、耐えれてくれてありがとう。

 さぁ、行こうかっ。



「おきろよ、グラム。 その力、セカイに示せっ」

「Yes Master.」


 ジュノサイザー、3番機グラム。

 ボクを中心に空間の歪みができて自然にコクピットに入る形でジュノサイザーの全身が現れる。

 響き渡る駆動音に胸が高鳴る。

 良い音。

 セラリスとはまた違う低くて力強い響き。

 

 目の前のジュノーは純白で繊細で……、タキナを思い出す。

 その音は何故か物悲しく聞こえてしまう。

 ゴミ虫には相応しくない。



「グラム。 ジュノーのデータはある?」

「ありません」

「そっ。なら先ずは一当ていく」


 もう領事館は半壊してるし、敷地くらいは我慢してもらおう。

 武器はシールド収納の直剣三本に実体弾か。

 様子見に実体弾斉射、低い姿勢で抜き放ちの胴薙からの切り返し。

 共に防壁に弾かるのは想定内。

 ジュノー自身には動きはない。

 余裕ですか? 避ける必要も無いと?

 でも攻めるしかない。

 

「ジュノーは何で動かない?」

「わかりません」

「あっそ。 防壁抜ける?」

「可能な範囲です」 

「チューニングを動力に。 一気に抜くっ」


 ダラダラしても仕方ない。

 呼吸を整えろ……集中を切らすな。

 足を拡げて上段平突きの構えで引き絞る。

 溜めて、溜めて、溜めて、溜めて…………。

 狙いは胸一点…………、参るっ。


 全身のバネを使って一気に飛び出す。

 ジュノーは動きがないけど関係なく最速で突く。

 グラムの剣は防壁を突き破り、そのまま動かないジュノーの胸を貫いた。


 「…………」


 ?

 聞き取れなかったけど、ジュノーが何か話した気がする。


 

作品を読んで頂いてありがとうございます。

面白いと感じてもらえたら、いいね、ブックマーク、☆評価お願いします。


至らない点が多数あると思いますが減らして行けるように頑張ります。

作品は今後も加筆、修正あります。

投稿は不定期です。


先に閑話的作品を投稿して……と思ってたんですが、本編と大幅にズレてきたので書き直しか別の作品になりますね。

一緒に読んで評価いただけたら嬉しいです。

本編の執筆が忙しく更新は止まっております


https://ncode.syosetu.com/n2673im/


カスタムキャストでイメージを作ってみました。


※画像はイメージであり、実際のものとは異なります。

挿絵(By みてみん)

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